前々回、『HEAVY RAIN(ヘビーレイン) -心の軋むとき-』の大絶賛レビューをやっておいて何なのだが、どうもここのところ“洋ゲー”は高精細な映像、重厚なシナリオ、複雑な操作という志向に凝り固まっている気がしてならない。
もちろん、濃密な作品は世界観にドップリ浸れるので嬉しいのだが、そればかりではお腹一杯になってしまうのも人情というもの。軽く遊べるような作品で、何か新しい出会いはないものか…と思っていた矢先、『ワールドゲームパレード』のニュースが飛び込んできた。
『ワールドゲームパレード』とは、『NO MORE HEROES 英雄たち
の楽園』や『朧村正』など、どちらかといえばパッケージ作品のリリースで知られるマーベラスエンターテイメントの新プロジェクトだ。名前から半ば想像できるかもしれないが、海外発のゲームの中から面白い作品を日本に持ち込もうというのが狙いである。
基本的には誰にでも親しみやすいタイトルを、Wiiウェア向けに配信していくという本プロジェクト。しかし、配信予定のタイトルを見てみると、カジュアルゲームのひとことでは収まらない、個性的なライナップが並んでいる模様…。
いったい、本プロジェクトの真意は何? ということで、今回の「やじうまゲームニュース」は、『ワールドゲームパレード』のプロデューサーを務めるルイ・ラマール氏に、そこんとこ聞いてみた。
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| ▲今回、取材に応じていただいた『ワールドゲームパレード』シリーズプロデューサーのルイ・ラマール氏 |
――本題に入る前にまず、ルイさんのプロフィールを教えていただきたいと思うのですが。ご出身はどちらですか?
★ルイ・ラマール氏氏(以下、ルイ氏)
フランス、リヨンの出身です。パリとマルセイユの間に位置する都市ですね。先週、欧州チャンピオンズリーグでレアル(レアル・マドリード/スペイン)に勝ちましたが、サッカーチームの本拠地がありますから、それで知っている方も多いかも知れないです。
――サッカーファンには、リヨンはお馴染みでしょうね。ちなみにお仕事はずっとゲーム業界でされているんですか?
★ルイ氏
以前にも、日本のゲーム会社の欧州担当として働いていました。それから今のマーベラスエンターテイメントに入社して5年目、ライセンスの取得など海外との折衝や、国内向けにローカライズされた作品を手掛けるプロデューサーとしての仕事を受け持っています。
――海外との折衝ということですが、そちらのお仕事の中で、今回の『ワールドゲームパレード』立ち上げに活かされている部分はありましたか?
★ルイ氏
そうですね。仕事の性質上、海外のディベロッパー/パブリッシャーとの付き合いが多くなりますから、やり取りの中で活きている部分は多いと思います。
たとえば、Wiiウェアは欧州や北米ではソフトを開発した会社が直に配信を行えるんですが、日本では間にパブリッシャーを挟まないといけないんです。なので、日本での配信を模索している海外の開発会社から「日本でゲームを配信したいけど、どうすれば?」という相談を持ちかけられることが多くありました。それで、実際にゲームを見せてもらうと、とても面白かったんです。
――そのように相談を受ける中で、海外発のゲームの中から光るものを見出していったと。
★ルイ氏
すぐに作品が集まったわけではありませんが、とりあえず今発表している4タイトルがそろったところで、新ブランドを立ち上げることになりました。日本に紹介されていない作品でも、日本のユーザーの嗜好に合うカジュアルなゲームは多いんですが、知ってもらう機会の少なさが惜しいと思っていました。
――ルイさんの日本のゲームに対する印象っていかがですか?
★ルイ氏
日本に限らず海外市場もそうなのですが、全体的にちょっと元気がないなという印象はあります。日本では海外のゲーム市場はとても景気の良いとらえ方をされますが、以前ほど勢いはありません。ただ、今まで次世代機といわれきたWii・PS3・Xbox 360が広く普及したことで、タイトルも大手中心とはいえ充実してきましたから、2010年は何か動きがあるのではないかと、個人的には考えています。
あとは、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』が10万本以上というセールスをあげたことなどを聞くと、日本のゲーム市場がだんだん、いわゆる洋ゲーに開かれてきたとも感じます。
――そのような状況で、Wiiウェア向けに配信タイトルを企画した理由は何でしょうか?
★ルイ氏
確かに、洋ゲーが日本のユーザーに受け入れられ始めていますが、まだまだコアユーザー向けが中心だと思うんです。Wiiウェアならライトなユーザーも含めて、幅広く訴求できます。ハイデフで、凝ったゲームシステムだけが洋ゲーの魅力ではなくて、気軽に遊べる作品にも十分魅力的なものがあることを知っていただきたかったんです。
また、パブリッシャー側である程度自由に価格を設定できるのも、Wiiウェアの利点です。パッケージの6,000~7,000円という価格帯だと「高い」という印象になってしまいますが、Wiiウェアのように配信すれば500~800円相当の手頃な価格で提供できます。自宅にいながらして購入できる気楽さもありますし。
――ということは、今回のラインナップはWiiウェア向けの配信を前提として集められたということですか?
★ルイ氏
とりあえずは、というところでしょうか。今回の4タイトルを皮切りに、『ワールドゲームパレード』はさらに続けていきたいと考えていますし、次のタイトルに関しても検討しています。将来的には、PS3やXbox 360の配信タイトルにも手を伸ばせれば良いかなとは思います。が、まずはWiiウェアです。
――ルイさんがタイトルを選定する時の基準を教えてください。
★ルイ氏
まずは操作がわかりやすいことですね。洋ゲーというと複雑な操作というイメージがあるのですが、人が遊んでいるのをみて、「自分にもできそう」「やってみたい」ってすぐにわかるような、シンプルな操作性が必要です。
もうひとつは、インパクト。カジュアルゲームだからと言って軽いだけではなくて、一度目にしたら忘れられなくなるような強烈なインパクトや個性を持った作品を集める、ということで作品を探していました。第1弾の4作品はみごと当てはまります。
――第1弾の作品はいずれも開発された国が異なっていますが、開発会社を4ヶ国にふり分けたことには何か理由が?
★ルイ氏
いえ、どこの国の開発会社か、ということは作品の選定に際してはほとんど気にかけていません。私がフランス出身だから、フランス発のゲームを選ぶということもありませんよ(笑)。
実際、どこの国の開発会社が作ったゲームかは聞かずにプレイして、おもしろければ開発元に連絡をとるという姿勢でした。私自身がおもしろいゲームを求めるゲーマーでもありますし、国がどうこうという考えはありません。国に関係なく、おもしろい作品を紹介したいですね。
――ルイさんはいろいろな国のゲームを見てこられたと思います。国によってゲームの“カラー”といいますか、その国の特色が現れていることはありますか。
★ルイ氏
今回の『ワールドゲームパレード』の第1弾タイトル『ゾンビ イン ワンダーランド』は、スペインのAkaoni Studioという開発会社が作っています。おとぎ話のキャラクタたちの前にゾンビが出現して、しかも舞台が大正時代風の日本という荒唐無稽な設定で、そういう奇抜な発想はスペインらしいのかな、と思ったりはしますね。
第4弾の『かたむきスピリッツ』は私の出身でもあるフランスの開発会社が作っていますが、何となくお国柄のようなものが出ているような気はします。よく、フランスはファッションの国というとらえ方をされるのですが、実際フランス人はそれほどお洒落な格好している人は多くなくて、意外にみんな地味です(笑)。ただ、一方で奥深い文化を持っているので、『かたむきスピリッツ』の一見カジュアルに見えるけれど奥深いゲーム性にも共通するものがあるかもしれません。
――第3弾の『らくがき☆ヒーロー』は、デンマークの会社が手掛けていますよね。何となく、北欧のハイセンスな感じが漂っているような…。創造性を重視するあたりは、たとえば「レゴブロック」にも通じる部分がありませんか?
★ルイ氏
はっきりとは言えませんが、一見子どもっぽく見えるのに、実は奥深くクリエイティブな遊びになっているあたりは、デンマークらしいかなとは思いますね。
――では、ローカライズ作業に関して伺いたいと思います。海外で見つけた作品を日本国内で配信するにあたって、どのようなローカイズを行うのでしょうか?
★ルイ氏
ゲーム中に使用される言語を日本語に変更するのは当然としても、グラフィックや音楽は基本的に手を加えていません。各作品を日本人のテイストに合わせるというよりは、そのままを楽しんでほしいと思いますし、受け入れて貰える自信があります。
ただ、作品をより良くするという狙いでオリジナルに付け加えている場合はあります。『ゾンビ イン ワンダーランド』では、日本人がよりファンタジーだと感じられるようにシナリオを書きなおしています。結果として、大阪弁で話すキャラクタも出てくるようになりました!
『ビットマン』の場合は、欧州・北米版と比べてボリュームが増しています。オリジナルでは操作するキャラクタが必要なビットを集めるとステージクリアでしたが、日本版ではキャラクタの動きが速くなるフェイズ2に移行します。ステージ構成もより凝ったつくりになっているんです。
| 『ワールドゲームパレード』配信決定4タイトルを詳しく |
――では、ここから『ワールドゲームパレード』で現在配信されることが決定している4タイトルを、詳しく見ていきたいと思います。
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おとぎ話の世界でバイオハザード発生! 桃太郎や白雪姫、ドロシーといった童話の主人公たちを操り、迫りくるゾンビたちをマシンガンなどの銃火器でなぎ倒していく。基本は横移動しつつ敵を倒していくというシンプルなゲーム性ながら、画面上のあらゆるオブジェクトを破壊できるという作り込み、大正ロマンあふれるステージさえある異色の世界観で、『ワールドゲームパレード』の切り込み役を担う。
・スペイン/3月配信予定 |
――見た目の奇抜さもありますが、ゲーム性としてはオールドファンには堪らない感じのシューティングですね。
★ルイ氏
左右にキャラクタを操作して銃で戦うシューティングゲームですね。往年のガンシューティングで言うと、『オペレーションサンダーボルト』などを彷彿とさせます。
――キャラクタイラストを日本人イラストレーターが担当していたり、日本風のステージが登場するのは、やはり日本での配信をふまえての仕様ですか?
★ルイ氏
いえ、私たちが日本での配信を提案する以前から、キャラクタや世界観は日本風になっていました。スペインでは日本のゲームやアニメが人気なのですが、本作を開発したAkaoni Studioのスタッフにも日本ファンが多いらしく、このような世界観になったそうです。
日本での展開は考えずに開発はスタートしていますが、日本での配信が決まってスタッフはとても喜んでしいました。なぜ、おとぎ話にゾンビを合体させたかは、やはり謎です(笑)。
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| ▲モモタロウ 16歳、職業:フリーター |
▲ドロシー 14歳、職業:ギャル |
▲白雪姫 18歳、職業:王女様 |
開発:Akaoni Studio S.L(スペイン)
ジャンル:お伽噺アクションシューティング
配信日:2010年3月予定
価格:800Wiiポイント
プレイ人数:1~2人
CERO審査:「B」(12歳以上対象)
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“ドット”ならぬ“ビット”イートアクションが、『ワールドゲームパレード』第2弾として登場。主人公のキュービを操り、迷路の中に散らばったドット(ともだち)を集めていくアクションゲームだ。道中には、個性的な能力を持つモンスターが立ちふさがる。
その名のとおり、コンピュータが扱うデータの最小単位“ビット”がキーワードとなっており、4ビット、8ビット、16ビット、32ビット、64ビット、128ビットと時代(ステージ)が進むにつれて、グラフィックも進化していく。
・オーストリア/3月配信予定 |
――テレビゲームの歴史を凝縮したようなタイトルですね。
★ルイ氏
最初の4ビットは「Atari 2600」くらいのスペックを忠実に再現しています。グラフィックはもちろん、音色なども当時のゲームをリアルに再現しました。操作感覚もビット数に応じているので、当時を知る方はそのあたりにも注目していただきたいですね。Wiiリモコンを縦に固定すると、ジョイスティックのように操作できるのも楽しいです。
――32ビットの時代には、ちゃんとロード画面(演出)まであるんですね。 待たされる時間がリアルだ!
★ルイ氏
そうなんです。3Dグラフィックも、当時のマシンスペックに合わせて、ちょっと粗い感じに仕上げてあります。シンプルですが、細かい部分まで作り込んである作品です。
開発:Bplus(オーストリア)
ジャンル:ビデオゲーム歴史アクション
配信日:2010年3月予定
価格:500Wiiポイント
プレイ人数:1~2人
CERO審査:「A」(全年齢対象)
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ヌンチャクでキャラクタを操作、Wiiリモコンでらくがきを描いて、横スクロールのステージを進んでいくアクションゲーム。絵の中の世界に平和を取り戻すことが目的。Wiiリモコンで描いたらくがきは、ステージ上で物質化するという特性を利用して、傘を描いて有害な雨から身を守ったり、足場のない場所に橋を描くなど、らくがきを駆使して全15ステージのクリアを目指していく。
・デンマーク/4月配信予定 |
――らくがきを傘にしたり、足場にしたり、重石にして敵をぺしゃんこにしたり、多彩なアクションが用意されていますね。
★ルイ氏
謎やギミックの解き方がひとつではないので、色々試して自分だけの攻略法を見つけられるのが楽しみです。発表している4作品の中でも特に、実際に触って面白さを知っていただきたいタイトルでもあります。
――Wiiリモコンによる自由な描画機能に加えて、ゲーム中のオブジェクトが物理エンジンによってリアルに挙動するというのが驚きです。下世話な疑問ですけどこの作品、もと採れるんですか? これ、かなり工数が……。
★ルイ氏
大丈夫です。『らくがき☆ヒーロー』に限ったことではないのですが、『ワールドゲームパレード』で紹介する作品は価格を1,000Wiiポイント以上にしたくなかったんです。やはり気軽に購入してほしいですから、価格はできる限り抑えています。加えて、人気のWiiウェア作品は価格が1,000Wiiポイントを切っている作品も多く、価格を抑えることでより人気が出てほしいという狙いもあります。
開発:PressPlay(デンマーク)
ジャンル:アクション
配信日:2010年4月予定
価格:800Wiiポイント
プレイ人数:1人
CERO審査:「A」(全年齢対象)
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現在配信が決定している『ワールドゲームパレード』の作品としては、最後のラインナップ。Wiiリモコンを左右に傾けるとゲーム画面も傾くので、上手くゴールまでボールを誘導していこう。全64ステージにはボールの進行を阻む様々な障害物が設置されており、シンプルながらひと筋縄ではクリアできない奥深さが魅力。最大4人まで対戦プレイが可能だったり、操作がバランスWiiボードに対応しているなど、お買い得感はピカイチ。
液体の入った水準器(地面が水平か確かめる機器)をユラユラさせる感じ、といえばプレイ感覚が伝わるだろうか? 某バラエティ番組で人気だった「イ●イラ棒」のような遊び心地、と言えなくもない。おそらく、後者の方が的確だろう。
・フランス/4月配信予定 |
――Wiiリモコンでの操作に加えて、バランスWiiボードにも対応しているのが面白いですね。
★ルイ氏
バランスWiiボードで遊べるWiiウェア作品は、珍しいと思います。500Wiiポイントと手頃ですし、対戦まで盛り込んでいますから、この価格でやらないと後悔するかもしれませんよ(笑)。
開発:BA DK-GAMES(フランス)
ジャンル:バランスパズル
配信日:2010年4月予定
価格:500Wiiポイント
プレイ人数:1~4人
CERO審査:「A」(全年齢対象)
――といった感じに、現在明らかになっている『ワールドゲームパレード』の4作品を見てきました。ちなみに、海外で配信タイトルは受け入れられているのですか?
★ルイ氏
配信タイトルに参入する企業は増えていますし、パッケージ版では展開が難しい場合でも提供方法を配信向けにすることで、ヒットに結びついた作品も少なくありません。
――今後、ルイさんが日本に紹介したいタイトルがあれば教えてください。
★ルイ氏
私はシューティングゲームが好きなのですが、現在は海外でもシューティングの新作を発表する会社はほとんどないので、残念に思っていました。そんな中で昨年、Xbox LIVE アーケードでシリーズ黎明期の作品をリメイクした『- R-Type Dimensions』が発売され、『スーパースターソルジャー』が配信されるなど、シューティングファンは確実に残っているのだとも感じます。
そういった個人的な動機もあり、『ワールドゲームパレード』で世界の面白いシューティングゲームを日本に紹介できればと思いますね。
――では最後に、『ワールドゲームパレード』を待つユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。
★ルイ氏
『ワールドゲームパレード』での配信決定を、それぞれの作品を送り出した開発会社ではとても喜んでいます。彼らは、作品に対する意見が日本のユーザーから上がってくることを楽しみにしていますし、意見をどんどん取り入れたいと考えています。私としても、皆さんに見たことのないゲームを国境を越えて紹介していきますから、楽しんでいただけると嬉しいです。
――プロジェクト発表直後でお忙しい中、ありがとうございました。
(ジーパラドットコム編集部/広田貴久)