Gpara.com ログイン会員登録メールマガジンimodeJ-phoneヘルプ

GO
 

 本稿では『NAVYFIELD』の世界をさらに幅広くディープに楽しむための一助となるために、ゲーム以外のメディアで活躍する艦船・潜水艦などの情報をお届けしたい。題して「NAVYFIELDサブカルチャーコラム」。時にはPCの前から離れて、様々なジャンルから「海戦」のロマンに浸ってみるのはいかがだろうか?

  プラモで自分の好きな艦を作るというのは、多くの軍艦ファンの少年(「元」も含む)たちが通過してきた大きなポイント。そんな中で少ないお小遣いをやりくりして集めた戦艦を机に並べ、空想の中で即席聯合艦隊を指揮した人も多いはず。そんな時、手軽に買って手軽に作るのに最適な戦艦プラモと言えば、やはり「ウォーターライン」シリーズをおいて他にはない!今回はそんなウォーターラインシリーズの設計を担当している方々にお集まりいただき、貴重なお話しをお聞きしてきたぞ!姿勢を正して拝聴せよ!

  左からハセガワの高木氏、アオシマの山下氏、タミヤの海野氏。ウォーターラインにかける熱い思いを語っていただいた。  
 
__そもそもウォーターラインシリーズ発足のきっかけは何だったのでしょうか?
T:元々、静岡模型教材組合に参加していた4社(タミヤ、アオシマ、ハセガワ、フジミ 現在はフジミが抜けて3社から発売されている)が共同で何か作れないかという話はかなり前からあったんです。ちょうどそのころ、当社の田宮(田宮俊作社長)が聯合艦隊の全艦をスケールモデル化したいという構想があったんですが、タミヤ1社だけでは膨大な量の艦を作りきれなかったんです。そこで他の3社さんとの会合の際に提案したら、是非やろうというお話しになったということです。
A:当時から軍艦は人気はあるんだけど、売れにくいという現実があったんです。だから1社でリスクをすべて背負うより4社でというのはあったと思いますよ。
__なぜウォーターライン(喫水線上)だけをモデル化しようと思ったのでしょうか?
T:海外出張の際、ドイツのホビーショップで喫水線から下が切ってある軍艦模型が大量に展示してあったのを見て、田宮が非常に感銘を受けたそうで、これで聯合艦隊をやったらすごいだろうなと思ったそうなんです。
H:まあ実際問題として喫水線から下がどうなっていたのかというのは分からない部分も多かったんです。それに艦底までモデル化すると、大量の艦をディスプレイしたときに格好よくないというのもあったでしょうね(笑)。
__しかし4社協同発売となると、どの会社がどの艦を作るかでもめたりしませんでしたか?
A:当然、人気のある艦はウチでと思ったとは思いますが、全艦をA、B、C、Dの4つの集団に分けてくじ引きで決めたと聞いています。
T:まさに模型のドラフト会議という状態だったらしいですね(笑)。
H:ただ生産自体はもの凄いハイペースで行われたんで、やはり聯合艦隊だけではネタが尽きてしまったんです。
T:そこで一通り揃ったところで外国艦を作ろうかという話になったんですが……
A:当時、外国艦は日本ではまったく売れなかった(笑)。
T:ですがこのウォーターラインシリーズは外国でも評判が良くて、聯合艦隊の艦もよく売れたんです。だったら日本だけでなく海外マーケットを意識した外国艦を出すのもアリなんじゃないかということで外国艦も出し始めました。
H:でもそれも一通り有名艦は出揃ってきましたので、今では海上自衛隊の艦を含む現用艦までどんどん出してますね。
A:でも現用艦には物語が無いんですよ。箱の解説もスペック以外に書くことが無かったりして(苦笑)。
__計画のみで実際に建造されなかった艦をモデル化するという話はないんですか?
A:そうなっちゃうとそれはもうSFの世界の話になっちゃうんで。
H:こんな装備は実現できないだろって艦ばかりですからね(笑)
 
 
__モデルを設計する上で資料集めはどうされているんですか?
T:日本では設計資料などは廃棄されたものが多かったので、海外のものを探しに行ったりもします。
A:色々な方にお話しをうかがいに行ったりもしますね。ただ実際に乗っておられた方は、自分の部署以外は意外と知らなかったりします。また当時の写真をお持ちの方もいらっしゃるんですが、戦争体験をネガティブに捉えられている方が多いせいか、なかなか表に出てこないことも多いんです。随分貴重な写真をお持ちだった方もいらっしゃったんですが、その方が亡くなった時に一緒に棺に入れて燃やしてしまったとか……。
H:それでも残された写真から設計をおこすことが一番多いですね。でも写真だけじゃ分からない点も多い。左舷の写真しか残って無いものもあったりして。
A:そうなると想像力で補うしかないんです。
T:本来ならこことここの間はこうなっているハズだという予測と推理のもとで設計していくのです。
__そうなると当然時間が経てば、新しい資料も出てくるわけで……
A:そこで全然違っていたなんてこともしょっちゅうですよ(笑)
H:何故かモデルを発売した直後に新資料が発見されたりするものでして(苦笑)
__そうなると苦情なんかも多いと思うんですが。
A:そりゃあもう。マニアと研究者からの苦情はしょっちゅうですよ(笑)
T:「何でこうなってないんだ!」っていうのは多いですよね。
H:ただそのくらいのレベルの方になると自分で直してしまう方が多いんですよ。
__では具体的に設計のことについてうかがいます。
A:形が良いのは当たり前のことで、それ以上の組み立てやすさが重要なんです。
H:基本的には「誰でも作れる」が絶対条件です。どんな人でも作れるものでなければウォーターラインシリーズのコンセプトからも外れてしまいます。
A:それと船は工業製品と言っても建築物に近いという意識で設計はしますね。
H:だから線引きと言いますか、どこまで表現するかというのは一番時間を割いて考えます。1/700ですから表現にも限界はありますし。
__CADなんかも使うんですか?
A:もちろん使いますけど、手書きで描いちゃうことが多いですね。
H:そっちの方が早かったりしますし(笑)
T:それから説明書なんかも作りやすさを考えていかなければならないんですが、全部で何ページ以内に納めなければならないといった感じでコスト的な制約が入ってしまうこともあります。
 
 

高木氏にお持ちいただいた各艦。こうして置くだけでも雰囲気が出るのはウォーターラインシリーズならではだろう。

__大まかで結構ですので、ウォーターラインシリーズが出来上がるまでを教えていただきたいのですが。
A:今では早いものでも半年はかかります。平均しても1年程度でしょうね。
H:だいたい資料集めで1~2ヶ月くらい。その後ミーティング、パーツ分け、図面設計で2ヶ月から半年はかかります。
A:その後、金型作成に移るんですが、ここでも微調整などが入って数ヶ月はかかりますね。
__締め切りみたいなものは無いんでしょうか?
H:大体7月20日か12月20日です。そこが見本市で発表するための締め切りになりますから。見本市ではその場で商談も行いますから、絶対的な締め切りになりますね。
A:でもウチは間に合わないこともあるから発表するのやめたよ(笑)
__金型なんかは想像と違っていたものが出てきたりしないんですか?
A:それはあります。パーツとパーツの合わせが悪くて修正してもらうのは当たり前って感じです。最低3回は修正が入ります。
H:ただ最近は技術も進歩してきたし、昔みたいにどうしようもないのが出てくるってのは無いですね。
A:金型が使えなくなった時は、フルモデルチェンジのタイミングということで全面的に修正を行います。
各社でお持ちいただいた艦を、NAVYFIELDのバトルスタート時っぽく並べてみた。燃える!

__他社と共同で同一シリーズを出すというので意識されることはありますか?
A:もちろん他社さんの製品は常に意識します。それから、他社さんだけじゃなくてユーザーの評価も気になりますね。ネットもチェックしてますし。
__ネットもチェックされているんですか?
A:ああいうのって井戸端会議みたいなもんじゃないですか。ユーザーの正直な意見だと思います。でもケナしてるのは見ないようにしてますけど(笑)
__実際皆さん戦艦模型がお好きだと思うんですが、趣味が仕事になるのはどうですか?
A:正直、つらくなりますね(笑)
H:それでも成型機から最初のパーツが出てくるときは感動しますよ。
A:それはありますね。
H:でも製品化されて発売される頃には、もう見たくもなくなってるんだよね(爆笑)
 
 
__最後に実際に模型を作っているユーザーについてですが。
T:営業的な意図はまったくないんですが、とにかくプラモを作ってほしいですね。子供の頃作っていた人が再びプラモに興味を持つタイミングは必ずあるんです。そういう人に子供が出来たら、是非子供と一緒にプラモを作ってほしいです。プラモは同じものを同じ作り方をしても、必ず微妙に違う物ができあがります。自分だけのオンリーワンを作れるホビーであることをアピールしていきたいですね。
A:一時期はアンケートをとると、時間的に余裕のある大学生くらいの年代が一番多くプラモを買ってくれていたんです。
H:でもその世代のユーザーってのはプラモを買っても置く場所が無かったり、異性と遊ぶ方向に興味を持ったりしてしまう(笑)。
T:今、ウチでアンケートをとってグラフ化すると、ユーザーは中年層に大きな山があります。これはプラモブームの世代で再び作りだしている方々ですね。驚くことに15歳前後にも山があるんです。この層を大切にして、これからも多くの人にプラモを作ってもらいたいですね。
 

山下氏はウォーターラインシリーズを作りたくてアオシマに就職したというナイスガイ。

海外モデルのファンでもあるハセガワの高木氏は飄々とした風貌とは裏腹に熱い思いを語っていただいた。

広報として参加してくださったタミヤの海野氏。自称プラモ啓蒙の伝道師だ。








MON TUE WED THU