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| 『THE KING OF FIGHTERS EX ~NEO BLOOD~』 餓狼チームプロローグ |
| 弟のアンディを迎えにサウスタウン国際空港までやってきたテリー・ボガードは、なぜかぐったりとしているアンディと、その腕に嬉々としてしがみついている不知火
舞を見比べ、目を丸くした。 「どういうことだ、アンディ……?」 「いや、それが……」 「何で舞が一緒なんだ? ジョーはどうしたんだよ? タイでジョーと合流してからこっちに来るっていってただろ?」 テリーたちにとってはもはや目新しくもない――しかしいつもその血を熱くたぎらせてくれる――キング・オブ・ファイターズの開催が近づいていた。それぞれがひとかどの格闘家として知られているテリーやアンディ、ジョーたちの手もとにも、すでに白い封筒が届いている。出場するからには当然優勝を狙っていくと、今回もテリーは、アンディやジョーとチームを組み、必勝の布陣で出場する予定でいた。ところが、チームのムードメーカーである――本人にいわせればチームリーダーだそうだが――肝心のジョーの姿が見えないのである。 「ジョーだったら来ないわよ」 ジョーを捜してきょろきょろと視線をさまよわせるテリーに、舞がいたずらっぽく笑いかけた。 「ジョーはね、タイ国王主催の特別試合が急に決まっちゃって、今回は出場できないんだってー」 「何?――ほ、本当か、アンディ?」 「ああ。ジョーと合流しようと思ってタイまで行ったらそういうことになっていて――それで、ついでに舞が観光旅行をしていこうって……」 アンディがやけに疲れきった顔をしているのは、多分、暑い南国の陽射しの下を舞に引き回されて、あちこちつき合わされたせいだろう。そう察したテリーは、トレードマークのキャップのつばを深く押し下げ、溜息混じりにかぶりを振った。 「やれやれ……それじゃどうするんだよ? ジョーがいなくちゃエントリーできないぜ?」 「ちょっとちょっと、ドコ見てるのよ、テリー?」 「は?」 「ここにいるでしょう、わたしという強力な助っ人が!」 自分の胸をぽんと叩き、舞はきょとんとしているテリーを見上げた。 「ジョーの代わりにわたしがあなたたちのチーム入ってあげるわよ、うん!」 「まさかおまえ……最初からそのつもりでアンディにくっついてきたのか、舞!?」 「あ、ナニよ、そのいい方? わたしと一緒じゃ不満なわけ?――ねえアンディ、ヒドいお兄さんだと思わない? こういう風来坊とはさっさと兄弟の縁を切っちゃったほうがいいわよ?」 「ちょっと待て、無責任なこというな!――だいたい、おまえはキングやユリたちと出場するんじゃなかったのか?」 「それがねー、何だかユリちゃんが今頃おたふく風邪をひいたとかで、今回は出場を見送ることになったんだって。――で、キングさんはキングさんで、極限流チームの一員としてエントリーが決まったっていうから、まあ、残念だけど仕方ないわよね」 大袈裟に肩をすくめ、舞はかぶりを振った。しかしその口もとには、残念というわりにはやけに嬉しそうな笑みが張りついている。いきさつはどうあれ、アンディ一途な舞にしてみれば、彼と同じチームで闘えるのが嬉しいのだろう。 「ま、何はともあれわたしとアンディがタッグを組めば怖いものナシよ! 大船に乗ったつもりでいていいからね、テリー」 「舞……」 自信たっぷりに安請け合いをする舞の肩を叩き、アンディはもう何度目かも判らない溜息をついた。 「キング・オブ・ファイターズはタッグ戦じゃなくてチーム戦だ……」 「似たようなもんでしょ?――とにかく、まずはパオパオカフェで景気づけにぱーっといきましょ、ぱーっと!」 さっさと荷物をテリーに押しつけた舞は、諦め顔のアンディを引きずるようにして空港のロビーを出ると、陽気に手を振ってタクシーを拾いにかかった。 「やれやれ、実力的には問題ないんだが……あとでジョーが怒り狂いそうだな」 以前ジョーが、「おまえら兄弟は目立ちすぎなんだよ! 天才のこのジョーさまに少しは見せ場を譲りやがれ!」とわめいていたことを思い出し、テリーは思わず苦笑した。 「――テリー! 早くしないと先行っちゃうわよー?」 「OK、今行くよ!」 ふたりを追ってロビーを出たテリーは、サウスタウンの陽射しに目を細め、はるか彼方にそびえ建つ黒々としたビルを何とはなしに眺めた。ともすれば忘れがちになる事実――キング・オブ・ファイターズは、本来はあの黒い塔に住む男が始めた大会だった。 「――気になるのかい、兄貴?」 タクシーのトランクを開けて待っていたアンディが、テリーの胸中を読み取ったかのように低い声でいう。すべての格闘家たちにとって、キング・オブ・ファイターズはある意味別格ともいえるトーナメントだが、この兄弟にとってはなおさらに特別な意味を持つ大会なのである。 「ひょっとしたら、今度の大会も――」 「いずれ判るさ、俺たちが勝ち抜いていけばな」 キャップのつばを指で弾き、テリーは見る者の不安をすべて溶かしてしまうような、暖かい陽射しのような笑みを浮かべた。 |
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