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| ――前回、神長さんのインタビューで、ワークジャムがデータイースト社(DECO)から「神宮寺」の権利を取得した経緯を伺いましたが、今回はその後の、実際に制作に入られてからのお話をお聞かせください。 |
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神長:
権利を取得してから過去のシリーズを見直してみたんですが、グラフィックを始めとしてこの独特の雰囲気を作るのは、今のワークジャムでは難しそうだなと思いまして。それで、開発の各分野について最低でも一人ずつは過去作の経験者を起用したいというお願いを西山さんにしたんです。
西山:
神宮寺はこれだけ続いてるシリーズですから、かつてのスタッフには相当なノウハウが蓄えられてるんです。
今回は初めてPS2の作品になることと、あとは制作期間の都合もあり、ゼロからの出発だと失敗する危惧があった。
だから完成させるにはベテランを集めるしかない、と思いDECO社時代の開発部隊を必死で集めました。
みんなゲームメーカーのいろんな所に散っていたのですが、快く引き受けてくれて。中には連絡した翌日に辞表を叩きつけたというスタッフもいましたよ。いいタイミングで会社が潰れた、なんて人もいますけど(笑)。
神長:
実はシナリオも過去作の方にお願いしたのですが、残念ながらその方は諸事情で参加いただけなかったんです。
ぜひやりたいとおっしゃってはくださったのですが・・・。それで僕がやむをえなく(笑)。いや、ウソです。 |
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| ――神長氏から提案された新しい神宮寺像について、スタッフ間での反応はいかがでしたか? |
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西山:
最初はかなり抵抗もありましたが、最終的にはだいぶ違和感もなくなりました。これまでも神宮寺のシナリオは5人の方が手掛けてきたのですが、作品ごとに微妙に神宮寺像が違ってましたしね。開発スタッフにもそれぞれの神宮寺像があって、各々がシナリオを咀嚼して、
想いをそこに投影させてきたのが神宮寺の制作姿勢なんですよ。
神長:
一番心配だったのは、僕は『クロス探偵物語』を書いていたので、どこかで似てしまうところがあるかもしれない。その似てしまう部分を、僕より神宮寺と長い付き合いのベテランチームが細かいエッセンスを加えることで、シリーズとしての調和がうまく取れたのではと思っています
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| ――本作では神宮寺と洋子の関係に、従来のシリーズでは見られなかった変化がありますね。シリーズファンからは物議を醸すであろう部分なのですが、これに関しては神長さんと西山さん、両者の意見はいかがだったのでしょうか。 |
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神長:
僕はシナリオを書く上で、キャラを作って彼らに行動をお任せという方法を取るのですが、僕が神宮寺を書くと、どうしても二人の男女関係に目を向けざるを得ないんですよ。それをムリに無くすと神宮寺の性格付け自体が変わってしまうという恐れがあって。それでずっと西山さんに相談してたんです。
西山:
私の中では神宮寺と洋子はこうだ、という明確なものがありまして、それは、決して彼らは男女の関係にはならないということでした。まぁ確かに、かっこいい男と綺麗な女がずっと一緒にいて、いつまでもそうならないのはおかしいとは思うんですよ。ただ、それは一般的な人間の話で、神宮寺はそんな凡人ではないんです。6作目の『夢の終わりに』で少し描かれていますが、二人の間には越えられない壁があるという、それが私の思っている設定だったんです。しかし今回、神長さんからその点についての相談があった。確かにいつかはそうなるかもしれないけど、私はまだそうしたくなかったんです。 |
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| ――ということは、作品が出来上がったいまでも、その見解は一致していないのですか? |
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西山:
そうなんです(笑)。ただ、神長さんからラストシーンのいいアイディアが出て、それは私もやってみたかったというもので、そういった部分では意見は一致していました。ユーザーにはずるいといわれるかもしれませんが(笑)。そのほか、オープニングやエンディングで、これまでの神宮寺と洋子の関係ではありえなかったシーンがいくつか出てきますが、そういった部分で神長さんの神宮寺像を見ていただければ、と思っています。
神長:
西山さんの気持ちも分かる反面、神宮寺と洋子の関係って、いつまでもうやむやにすることはできないんですよ。
それをどこの段階で持ってくるかということだけなんじゃないかと。
西山:
ここでは言えませんが、最初、神長さんはもっとスゴイこと考えてたんですよ。そういうハードなシナリオというのも個人的に好きなんですが、私はまだ神宮寺に盛り込むのには抵抗があった。でもお互い話は盛り上がるので、おかげで私と神長さんの二人は社内でエロコンビと呼ばれてます(爆笑)
。
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| ――本作ではこれまでのシリーズにあったザッピングなどの特徴的なシステムが搭載されていませんが、これは意図的なものなのでしょうか?? |
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神長:
ザッピングはシステムとしては面白いのですが、僕は探偵ものというのは主人公の視点だけで解いていくのがルールだと思うんです。例えば、プレイヤーは情報を知ってるのに、神宮寺が情報を知らないという状態でプレイするのはどうも違和感がある。だから、もしザッピングを入れるなら、一度神宮寺の視点で全部終わってからじゃないと、違うキャラでできないようにしましょうとは話してました。結局今回はザッピングを廃して、あくまで一人の視点で深く掘り下げる方法を取りました。
西山:
これは当初より意見が一致してました。神宮寺と洋子の、これまで不可侵だった部分に踏み込むことからも、神宮寺の一人の目から見て欲しいとは思いましたね。今回はプロットを見た時点で、ザッピングは必要ないだろうと。 |
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| ――本作の神宮寺は非常に大人びている印象を受けました。いわゆる「若気の至り」のような行動がなく、勝てない相手からは退く、といった部分です。作画の変化も相まって大分老けたような印象があるのですが? |
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神長:
見栄よりも実を取るとでも言いましょうか、これまでだと拳銃を突きつけても「撃つなら撃て」とか言いそうですけど(笑)、今回は「まぁ、落ち着け」という感じだと思うんです。いままでの神宮寺は死を恐れない、何者をも恐れないという人間でしたが、リアリティを追及していくと、人間誰しも死は恐れるはずなので。
西山:
とはいうものの、ストーリーのラストの方では、怒りにブチ切れた神宮寺がこれまでのようなヒーローの片鱗を見せます。
僕としては、こっちの神宮寺の方が馴染みがあるんですがね(笑)。作画に関しては今回、高橋(光)さんに全てお願いしたのですが、人間・神宮寺を描く作品ということで、プロットを読んで意識的に老けさせた部分もあるかもしれません。
神長:
周りの人に神宮寺がいくつくらいに見えるかを聞くと、みんな年上だって言うんですよ。30代後半くらいとか。実際は31歳ですからね。実写でやるとしたらイメージは誰かを聞くと、「舘ひろし」とか言われる。舘さんはもう50代ですよ(爆笑)。佐藤浩市さんという声もあったけどそれでも40代。30代で神宮寺を演じられる人はいないでしょう。
西山:
普通30代でこんな大人はいませんからね。じゃあ次回作では、どうして神宮寺がこんな大人になったかをやりましょうか。
神長:
少年時代に砂漠で呪われて、笑えない子供になったという設定とかどうですかね?(爆笑)
西山:
これは余談なんですが、実は神宮寺8作目の企画をDECO在籍時代に考えたことがあって、社内的な事情から最後の神宮寺になるだろうと思って、最終回の構想を練ってたんです。それで神宮寺が死ぬ、という話して、東京ゲームショウのブースに大きな遺影を飾って、ファンが献花する葬式イベントをやりたいなぁと(笑)。もしそれをやってたら、今の神宮寺の権利はどうなってたかな、
と思いますね。 |

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| ――――神長さん自身はゲームを通してプレイされましたか?? |
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神長:
まだプレイしてないんです。僕も出来上がりを楽しみに待っているところなんですよ。
西山:
100%完成するまで待ってもらってます。プレイすると驚くと思いますよ。 開発チームも今回の出来には相当に手応えを感じています。過去作の中では『夢の終わりに』が最も高い完成度を自負しているのですが、今回は正直言ってそれに近いか、超えるくらいに感じています。 |
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| ――では最後にプロデューサーから神宮寺ファンへメッセージをお願いします。 |
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西山:神宮寺をゲーム作品の中で最長寿のキャラクタに育てていきたいですね。そのためにも9作、10作と次々作り続けていきたいと思っています。 |
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