約50万人もの冒険者を抱え、成長し続ける『EQ』の世界。
その5年余りの長い歴史を振り返ってみよう。
 
米国
日本
1999年

3月/『EverQuest』(英語版、以下EQ)サービス開始



※12の種族、14の職業が選べる、初のフル3DグラフィックによるMMORPGとしてリリースされる。レベルの上限は50

2000年 ・4月/第一の拡張パック『The Ruins of Kunark』(ザ・ルーインズ・オブ・クナーク、RoK)リリース

※熱帯の“Kunark”大陸のマップと、原住種族“Iksar”を追加。初の獣人型の特殊な外見、ヒューマン以外のモンク選択可能な種族として注目を集める。レベルの上限が60に引き上げられる
・12月/第二の拡張パック『The Scars of Velious』(ザ・スカーズ・オブ・ベリオス、SoV)リリース

※氷河に覆われた“Velious”大陸のマップを追加。ユーザーインタフェースに大幅な変更を加え、高解像度のディスプレイにも対応
2001年

・9月/『EQ』本体『RoK』『SoL』を一つのパックにした『EverQuest Trilogy(トリロジー)』リリース

・12月/第三の拡張パック『The Shadows of Luclin』(ザ・シャドウ・オブ・ラクリン)リリース
※ノーラスの衛星である“Luclin”のマップを追加。プレイヤーキャラクタのグラフィックを一新。虎に似た姿をした二足歩行の原住種族“Vah Shir”と、モンクとシャーマンの能力を併せ持つ新たなるクラス“Beastlord”追加。バザーシステムにより、プレイヤーキャラクタが店を開くことができるようになった。また、レベル51からの新たな成長システムとして、アドバンスド・アビリティ(AA)と呼ばれるスキルポイント制が設けられた
2002年 ・10月/第四の拡張パック『Planes of Power』(ザ・プレインズ・オブ・パワー)リリース
※神々の次元、“Planes”が解禁。レベルの上限が65に引き上げられる。新たなAA、呪文も追加され、各クラスの成長に楽しみが追加された。すべての街との安全な行き来を約束するPlane of Knowledge(プレイン・オブ・ナリッジ)の追加で、テレポートのないクラスの移動が格段に容易になる
2003年
・2月/『エバークエスト 日本語版』(EQJ) Tranquilサーバー稼動開始

※ 『EQJ』 本体、『ルーインズ・オブ・クナーク』、『スカーズ・オブ・ベリオス』の揃ったトリロジーの状態でサービスを開始する
・5月/第五の拡張パック『The Legacy of Ykesha』リリース
・5月/『ザ・レガシー・オブ・イキーシャ』を発売

※『The Legacy of Ykesha』は、ダウンロード 販売のみの拡張パック。新種族フロッグロッ クが追加。日本でも同時期に発売。サービ スを開始する
・7月/『ザ・シャドウ・オブ・ラクリン』サービスを開始
・9月/第六の拡張パック『Lost Dungeons of Norrath』リリース
・9月/『ザ・プレインズ・オブ・パワー』のサービスを開始
※第二のサーバーFacelessの稼動開始
※“自動生成ダンジョン”システムを搭載した『Lost Dungeons of Norrath』を拡張パックとしてリリース。少人数、短時間でパーティプレイの醍醐味を味わえる。
2004年
・1月/『ロスト・ダンジョンズ・オブ・ノーラス』サービス開始
・2月/第七の拡張パック『Gates of Discord』リリース  
※『Gates of Discord』が、『EQ』の最新拡張パックとなる。 新ゾーン、新AA追加のほか、パーティの支援能力にすぐれる前衛職“Berserker”が追加された



 わたしが『EQ』をプレイしていたのは1999年~2001年。まだ英語版しかない時代でした。死ぬと経験値が20%も減ったり、平坦な場所になぜか見えない裂け目があって、突然スカッと落ちて死んだり、これは事故だとGMを呼んで待っても待っても誰も来なかったり・・・・・・不具合はさておいても、今よりゲームバランスもちょっとキツ目で、厳しいけれどやりがいのある世界でした。3Dのオンラインゲームにはじめて触れて、空を見上げることができたとき、この世界に自分がいるんだなあ、という実感がしみじみとわいたものです。現在、日本語版に舞い戻ってきたのですが、改良され、進化した『EQ』を見て感心するよりも先に「親切な『EQ』ってなんだか気持ち悪い・・・・・・」って感じの愚痴というか、悪態が出て来てしまいます。嬉しいような悔しいような、変な気持ち。楽しく遊んでいる人たちを見て、『EQ』の世界は元気なんだ、よかったなぁとおもう半面、わたしが楽しんだ『EQ』とはもう違うんだなぁとすこし寂しいのです。

 最初は一人、それから二人、だんだんレベルアップして狩場を変えるにつれて仲間が増えていって、どんどん楽しみが広がっていきました。工夫して強敵を倒したときの嬉しさ。暗くて怖いダンジョンで、リンクしたモンスターと必死で戦うあの緊張感。あれは忘れられません。『EQ』はキャラクタがダウンすると裸の体だけがホームポイントに飛ばされ、アイテムやお金は死んだ場所に残ってしまいます。だから死体回収に向かわなければならないのだけど、これがまた大変。協力し合って装備を回収するのは、それ自体が一つのクエストのようでドキドキしたものです。「また裸祭りか!」と笑いあったりしました。失敗さえも楽しかった世界でした。

 “新しさ”は『EQ』の永遠のテーマ、まさに『EQ』が“ever(いつまでも続く)”である理由だと思います。拡張パックで追加されたばかりのゾーンに早速出かけ、その美しさに感動したり、強い敵がひしめくゾーンで新しい戦略を編み出したり、バザーで必死に新アイテムはないか?とチェックしたり。新しいレベルが上がって新しい呪文やスキルを覚えれば、自分が生まれ変わったように強くなったと思い込んだりしました。どこまで行っても「もうなんでも知ってるよ」ということには絶対にない、広く深い世界。その中で、今までであったことのない新しさを発見するのが何より楽しみでした。最近はちょっと地味目の拡張パックが多いから、次はどーんと派手な世界とか、システム上の変化を持ってきてくれるといいなと思っています。ぜいたくかな。

 ノーラスの地で出会った数少ない日本人仲間とは、今ではリアルの友達。ゲームを遊ばなくなった今でも、年に1回は集まって遊んでいます。もちろん、中にはまだ現役でバリバリとプレイしている者もいますよ。わたしの夫もその一人です。彼らの冒険ももう6年目。そのチームワークはちょっとやそっとでは揺らぎません。毎日少しずつ前進し、新たな敵を倒して強くなっていく仲間を、引退後は夫の隣のディスプレイからじっと見つめてきました。廃人生産ゲーム、なんていわれているけどそれは一部の人たちに限った話。わたしの友人達はみんなオトナで、リアルをきちんと優先しています。レイドがあって大物と戦う予定があっても12時前にきちんと寝る人もいますし、レイドでちょっと夜更かしが続くと休息期間を設けています。


これが裸祭り。レイドでドラゴンに挑んだのですが、ちょっとしたミスからあっという間に全滅。負ける相手じゃなかったはずなのに、油断は禁物です。さてここからは、みんなの装備を取り戻す死体回収クエストの始まり始まり・・・・・・ 休むことなく5年間を走り続けた選手の冒険者たちは、数々の強敵をなぎ倒して、そろそろノーラスを創った神様たちに出会うころ。これはレンジャーやドルイドが信仰することが多い、"雨の護り手"Karana神です。

(著者プロフィール)
菅原有香
岩手県出身、ライター/翻訳者。 成人してからゲームに触れ、その後急速にゲームにはまって行った結果、趣味が高じてフツーの会社員より転職。現在ファミ通PS2(エンターブレイン)にてオンラインゲーム『ファイナルファンタジーXI』向けのチャット講座「ゆうか先生のおきらくヴァナリンガル」を連載中。でも基本的に洋ゲーが好き。