シリ研―シリーズ研究所― 【第10回】  

諸悪の根源は?「コンピレーション オブ ファイナルファンタジーVII」を考察

2006.12.15
「コンピレーション オブ ファイナルファンタジーVII」公式サイト
 
 作品を重ね、歴史を形作るゲームがある。この連載では、毎回ひとつのシリーズの歴史を紐解いていく。
  今回はプレイステーションで発売されて爆発的なヒットとなった『ファイナルファンタジーVII』(以下『FF VII』)と、それに連なる「コンピレーション オブ ファイナルファンタジーVII」シリーズについて振り返る。何度も世界規模の危機が訪れているが、一体何が原因なのだろうか? まずは、基本的な世界設定から解説しよう。
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■「ライフストリーム(魔晄)」を利用する神羅カンパニー
中央に神羅カンパニーの本社ビルがそびえる都市・ミッドガル。淡い緑色の魔晄を汲み上げている8基の魔晄炉が周囲を取り巻く
 シリーズの舞台は名も無き星。この星で生きる者すべてが持っていて、死ぬ時には星に還っていく精神エネルギーの流れ、これを「ライフストリーム」と呼んでいる。ライフストリームはやがて新たな命を芽吹かせ、また星に還っていくことを繰り返していた。
  しかし『FF VII』の時代には、世界的企業「神羅カンパニー」がこのライフストリームを「魔晄」と呼び、生活のためのエネルギーとして世界中に供給していた。このライフストリームの消費が、星の持つエネルギーの循環を妨げ、徐々に星を破滅へと導いているのだ。
  この事実を多くの人々は知らないが、魔晄の正体に気付いて星を守ろうと活動を行なう反神羅組織「アバランチ」などもある。どことなく現実世界のきな臭い地域にもありそうな話だ。
■宇宙から飛来した「ジェノバ」とその力を利用した「ジェノバ・プロジェクト」
セフィロスが出生の秘密に気付いて変貌する、CMにも使われた有名なシーン
(※これは「FINAL FANTASY VII ADVENT CHILDREN」のもの)
 神羅カンパニーの登場からさらに時代を遡ること約2000年前、宇宙から知的生命体「ジェノバ」が星の北部に飛来。ジェノバは他者の記憶や感情を読み取って、外見や声、言動すらも変化させる「擬態能力」を持っていた。この能力を使って、ジェノバは当時星に住んでいた「古代種」と呼ばれる人々の多くを殺害したが、残った古代種たちの手によって封印されていた。
  『FF VII』本編の30年前にこのジェノバを再度呼び起こしたのが、神羅カンパニー科学部門のガスト博士たちだった。彼らはさらなる魔晄エネルギーを求めて、希少な古代種の伝説にある「約束の地」を探していたが、見つからなかっため人工的に古代種を作り出すことにする。しかし「ジェノバ・プロジェクト」と呼ばれるこの計画の途中、彼らは北の大空洞で見つけたジェノバを古代種と誤認してしまった。
  プロジェクトは誤った認識のもとに進んだが、宝条博士は自らの子を宿したルクレツィアの体内にいる胎児にジェノバ細胞を移植。こうして古代種ではなくジェノバの力を持った子供、セフィロスが誕生した。ちなみにこのころにはガスト博士は己の過ちに気付いて、神羅カンパニーを辞職し、偶然出会った古代種との間に一子を設けている。
  なお、ジェノバの細胞は再生能力が高く、バラバラにしても本体とひとつになろうとする性質を持ち、この性質は「リユニオン」と呼ばれている。
■星が自ら防衛のために作り出したウェポン「オメガ」と「カオス」
『DC』の終盤で、ヴィンセントはカオスの力を使いこなすことに成功する
 一方ジェノバが飛来して傷を負った際に、なんと星自らが自己防衛のために「ウェポン」という生きた兵器を複数生み出していた。2000年前にジェノバが飛来した際は古代種が解決したため活動しなかったが、『FF VII』本編でセフィロスによりふたたび星が危機に晒されると、ウェポンは活動を始めた。
「ルビー」や「サファイア」など鉱石の名前を冠したウェポンは上記のように星を守るために活動するが、同じウェポンでも別の目的を持った者がいた。「カオス」と「オメガ」という名の2体のウェポンはそれぞれ、「星が終わる時にすべての命を刈り取る」、「カオスが刈り取った命を宇宙へ還す」という役目を持っている。なんとも壮大なことに、『FF VII』シリーズではひとつの星を超えて、宇宙規模のシステムについても設定されているのだ。

 以上が「コンピレーション オブ ファイナルファンタジーVII」で描かれる物語のバックボーン。だいぶ乱暴に要約すると、「神羅という企業が強い兵士(もしくは兵器)を作るためにライフストリームとジェノバを利用した」となる。
 ただ、神羅が巨大な組織なうえに、扱おうとしたものが星のエネルギーだったり宇宙から来た生命体であったりと、あまりにも未知で強大な“力”だったために、世界規模の事件が起こってしまうのである。
■星を救うため、利用するため、それぞれに戦うキャラクタたち
 以上のバックボーンをうけて「コンピレーション オブ ファイナルファンタジーVII」の各作品で物語が展開されるのだが、具体的にどんなメンバーが一連の事件に関わっているのか? セフィロスを倒す『FF VII』から3年後の、物語的には最新となる『DIRGE OF CERBERUS FINAL FANTASY VII』(以下『DC』)時点のものをベースに、主要キャラクタの相関図を表してみた。
 『FF VII』や「FF VII AC」『DC FF VII』といった、シリーズ作品の分だけいろいろな組織が登場するが、結局は「神羅(もしくはその関連組織)VS.クラウドたち」に集約される。これは、一連の事件の発端が神羅にあり、ティファたちがそれに対抗していたのだから、当然と言えば当然。しかし、どの組織も違う目的のために行動しており、実はお互い反目しあっていたのでは? と思わなくもない。
■何度も巻き起こる、大切な星の生き残りをかけた争い
 次に、シリーズの物語を理解するために鍵となる事件の顛末を時系列で追ってみる。中にはひとつの作品内では断片的に語られるだけで、複数のゲームをプレイしてやっと理解できる事件もある。本編である『FF VII』の事件に至るまでの経緯、そしてその後の事件は、本当に複雑に絡んでいるのだ。
■ 30~23年前:実験によりセフィロスとヴィンセントが誕生 ■
(関連作品:『FF VII』『DC』)
 ジェノバプロジェクトにおいて、宝条はルクレツィアが宿した自分の息子にジェノバ細胞を植え付ける。これによってのちに伝説のソルジャーとなるセフィロスが誕生した。しかし護衛をしている内にルクレツィアに惚れていた当時神羅カンパニー所属のヴィンセントは人道的にも心情的にも納得がいかない。彼は宝条を責めるが、逆上した宝条に実験体にされてしまう。
  ルクレツィアは数年前ヴィンセントの父を殺してしまったため、罪悪感から彼を拒絶していたが、この時ばかりはヴィンセントの存命のために奮起。ヴィンセントの体内にカオスと、その力を抑えるエンシェントマテリアを埋め込み、無事生き残らせることができた。
  その後ルクレツィアはジェノバ細胞の影響で、肉体、精神ともに変調をきたし始めたため、自らの知識と記憶をネットワーク上にアップロードし、失踪。残されたヴィンセントも宝条やルクレツィアたちを止められなかった罪悪感を胸に、神羅屋敷の地下で眠りについた。
■ 5年前:多くの運命が交錯するニブルヘイム事件 ■
(関連作品:『FF VII』『BC』)
『BEFORE CRISIS -FINAL FANTASY VII-』の第12章では、皮肉にもティファが神羅をニブルヘイムへ案内したシーンが描かれる
 神羅カンパニーでもNo.1ソルジャーとなったセフィロスは、ニブルヘイムにある魔晄炉の調査に赴く。その際に宝条の実験によってモンスターが生まれる様子を見て、彼は自分の存在に疑問を持つようになる。
  神羅屋敷でジェノバ・プロジェクトの資料を読み漁ったセフィロスは、資料が間違っていたため自分を古代種だと勘違い。ニブルヘイムを焼き払い、ティファの父を殺し、ザックスやティファも切り付け、魔晄炉にある母・ジェノバと再会する。しかし追ってきたクラウドと相討ちになり、セフィロスはライフストリームの中へ落下した。
  このニブルヘイム焼き討ち時に、宝条はリユニオンを実証するため、村の生き残りを実験体にする。彼らを神羅屋敷に連れて帰ってジェノバ細胞を植え付け、言わばセフィロスのコピーとも言える存在を多数作ったのだ。クラウドやザックスもこの対象となり、しばらく神羅に監禁されてしまうが、数年後逃亡。追っ手によってザックスは悲劇を迎えるが、もとから肉体的に精神的にも弱かったクラウドは実験によって魔晄中毒になっていたため、見逃してもらえた。
■ 本編:シリーズ随一のピンチを迎えるジェノバ戦役 ■
(関連作品:『FF VII』『DC』)
星に落ちようとするメテオを、ライフストリームと交じり合ったホーリーが受け止める1シーン(※この画像は『AC』のもの)
 ライフストリームに落ちたセフィロスだったが、強靭な意思でその中に溶け込むことを拒む。逆に彼はその流れの中で古代種の知識に触れ、宇宙に浮かぶ星を地球に落とす黒魔法「メテオ」の存在を知る。彼は本体である肉体は北の大空洞で治療しながら、兄弟的な存在であるセフィロス・コピーやジェノバを操って、この黒魔法で星を傷つけようと計画した。傷ついた星を修復するために集まるライフストリームを自分の力にしようとしていたのである。
  一方、クラウドら反神羅の仲間たちとともに旅していた古代種の生き残り・エアリスは、星を救う白魔法「ホーリー」を使う。しかしその祈りを捧げていた彼女は、ジェノバ扮するセフィロスの手にかけられる。その後セフィロスは、セフィロス・コピーのひとりであるクラウドを操り、メテオの召喚に成功する。しかし復活したクラウドたちは星の体内でセフィロスを倒し、星に衝突しようとしていたメテオも、間一髪で発動したホーリーによってせき止められたのだった。
  なお、この星の危機にウェポンが襲来し、神羅カンパニーは崩壊、幹部も数人死亡した。メテオ飛来時にヴィンセントは生き残っていた宝条を見つけ彼を殺そうとするが、混乱の中、宝条は消えてしまう。
■ 2年後:「リユニオン」するためにセフィロスの思念体が集合 ■
(関連作品:『AC』)
 セフィロスの思念体であるカダージュ一味が、この星に残っているジェノバの首を求めて、ルーファウスを訪ねる。ルーファウスにクラウドが持っていると教えてもらい、カダージュたちはクラウドを執拗に襲い始めた。
  彼らがジェノバを求めるのは、ジェノバの性質であるリユニオンをするため。しかし、クラウドがジェノバを持っていないことを知ったカダージュは、逆上してマテリアを使いバハムートを召喚する。しかしクラウドをはじめとするかつて星を救った者たちの活躍のおかげで、大きな被害はなし。ふたたび現れたセフィロスも消滅し、世界に一旦平和が訪れる。
■ 3年後:神羅カンパニーの残党「ディープグラウンド」が反乱 ■
(関連作品:『DC』)
この反乱の首謀者・ヴァイス。しかしジェノバは絡んでいないのに「リユニオン」という言葉を使う真意は……?
 「人はどれだけ強くなれるか」だけを追求した神羅カンパニーの闇の組織「ディープ・グラウンド」(以下「DG」)が、カンパニーの崩壊から3年後に活動を開始した。彼らのリーダーであるヴァイスの目的は、清き命から生まれ、すべての命を宇宙に還すというウェポン・オメガの力を手に入れること。そのため彼らはジュノンの町から誘拐した住人を犠牲に純度の高いライフストリームを作り出し、オメガを復活させようとしていた。
  この事態を重く見た世界再生機構「WRO」のリーブはかつてともに星を救ったヴィンセントとユフィに助けを求める。はじめは気乗りしないヴィンセントだったが、彼自身も体内にある「エンシェントマテリア」のせいで、DGからも狙われる立場となった。DGはオメガを抑える鍵としてエンシェントマテリアを求めていたのである。
  WROがDGの本拠地であるミッドガルを攻撃する中で、ヴィンセントは己に眠るカオスの力で、オメガの力を宿したヴァイスを退けた。しかし突如湧き上がったライフストリームからついにオメガが復活。ヴィンセントのカオスも暴走してしまう。だが、かつて星を救った仲間たち、そしてネットワーク上にあったデータからルクレツィアの記憶を受け継いだシェルクの協力のおかげで自分を取り戻した彼は、オメガの内部に突入。ふたたびヴァイスを倒すも、さらに活動を続けるオメガを止めるため、ヴィンセントは自らの体を盾にしてオメガの活動を食い止めたのだった。
 
■事件はいろいろあるけれど、すべての引き金になった諸悪の根源は「宝条」
結果的にヴィンセントを実験体としてしまったルクレツィアをなじる宝条。彼の根性が曲がっていなければみんな安泰だったかも
  キャラクタ、ストーリーの両面からシリーズを見てきた。『FF VII』本編においては際立った存在感を見せるセフィロスだが、シリーズ全体を通してみると宝条とルクレツィアの倫理を超えた「科学者の性」とも言うべき知識欲、実験欲が大きなカギになっているのがわかる。特に宝条に至っては『DC』においても、実はオメガの復活を背後から手を引いている。ガスト博士が過ちに気付いた時点でジェノバプロジェクトを止めていれば、ジェノバ戦役も起こらなかったため、彼こそが一連の事件の元凶とも言うべき男だろう。
  ちなみに「COMPILATION of FINAL FANTASY VII」シリーズの作品として、プレイステーション・ポータブルで『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』(以下『CC』)の発売が予定されている。現在のところ、ザックスが主人公であることが明らかになっているだけだが、シリーズ作品を深く理解しておけば、『CC』で描かれる物語もさらに楽しめることだろう。
 
【シリ研】小ネタ その1
シリーズ作品だけに留まらない! そのほかの作品で見られる『FF VII』
最もつながりが深いのは『ファイナルファンタジーX-2』。プレジデントやルーファウスのご先祖様である天才少年「シンラ」というキャラクタが登場している
 クラウドが『FF VII』物語中に「ゼノギアス……」という言葉を言うことで、スクウェア・エニックス(当時スクウェア)から同時期に発売された『ゼノギアス』との関連も噂された『FF VII』。残念ながら両作品間につながりはないが、その後の同社の作品にはクラウドやセフィロスたちが度々登場している。中には『ファイナルファンタジータクティクス』に登場するクラウドのように、『FF VII』物語の終盤、ライフストリームに取り込まれているあいだに別世界に呼び出された、という設定まで用意されているものまである。

 次回の【シリ研―シリーズ研究所―】は、2007年にシリーズ20周年を迎える『ロックマン』を考察。
 時代と共にビジュアルやゲーム性が変化してきた同シリーズから、現在のゲームユーザー層が見えてくる!?
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 第2回 :『鉄拳』シリーズ 後編
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 第4回 :『魔界村』シリーズ探求!姫の3サイズとイチゴパンツの歴史に迫る!
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