第3回 意外な人物が繋げる 『ヴァルキリープロファイル』
初代『ヴァルキリープロファイル』がプレイステーションで発売されたのは1999年の年末。開発を担当したのは、『スターオーシャン』シリーズで名を馳せたトライエース。運命の三女神の次女、ヴァルキリー・レナスが主人公をタイトル。神々の戦争(ラグナロク)を背景に「人の死」を扱った奥深いストーリーとなっている。
『ヴァルキリープロファイル』はRPGとしては珍しく、横スクロールのダンジョンやターン制ながらアクション性の高い戦闘システムを採用。 当時RPGでも3Dグラフィックが幅を利かせつつあった中で、緻密に描かれたドット絵、さらに桜庭統氏が手がける音楽、という他のRPGタイトルと一線を画した魅力が詰め込まれていた。発売後、すぐに多くの熱狂的なファンを獲得することができ、続編を望む声も高かった。
■ふたつの作品をつなぐキャラクタ
続編が発表されたのは、それから6年後。この時に発表されたのがプレイステーション・ポータブル用として前作をリメイクした『ヴァルキリープロファイル -レナス-(以下、レナス)』とプレイステーション2での完全新作『ヴァルキリープロファイル2 -シルメリア-(以下、シルメリア)』だった。 2D作品の前作から、『シルメリア』は3D表現を採用することで、見た目が大きく変化。しかし『レナス』の世界から数百年前が舞台。物語は前作に引き続き、神と人間の争いが描かれている。 タイトルになっている「シルメリア」とは、『レナス』でも名前だけが明かされていたキャラクタ。運命の三女神・レナスの妹に当たる存在だ。『レナス』に登場した他のキャラの中にも、傭兵アリューゼ、不死王ブラムスといった過去を匂わつつ、あまり語られることがなかったキャラクタが、『シルメリア』に登場し、前作との明確なつながりを感じさせてくれる。
中でも重要な存在となっているのが魔術師レザード・ヴァレス。『レナス』では少々不気味な雰囲気の魔術師として、師や兄弟弟子をも利用し、片思いの相手レナスをストーカーの如く執拗に追い掛けていた。キャラクタボイスを担当する子安武人氏による、狂気を帯びた演技も相まって、ファンからの人気も上々だった彼。しかし『シルメリア』では、意外にも主人公であるアリーシャ(=シルメリア)一行を助ける、さわやかな研究者として登場したのだった。 あまりにも違う印象で登場したレザード・ヴァレス。その訳は、物語の終盤に登場するレナスによって語られる。 レナス自身とレザードは未来(『レナス』の世界)からやってきた設定。つまり『シルメリア』の世界は時間軸的には過去だが、物語としては『レナス』を受けたものなのだ。 レザードの目的は、過去の世界を変え、神の力を得て、愛するレナスと融合することだった。こんな一個人の欲望を為し得るために神の力をも利用するという、ゆがんだ魅力を有するレザード・ヴァレスが、脇役に留まらず、シリーズをつなげる重要な役割となっている。 ほかにも『レナス』では栄華を極める都市が、『シルメリア』では廃墟となっているなど、2作品は密接に関係している。シリーズものにも関わらず、まったく別の作品や、世界観は同じだが作品同士はあまり関係しないシリーズ作品もある中、『ヴァルキリープロファイル』シリーズは、シリーズ通してプレイして、より一層の驚きと深く物語が楽しめる好例と言えるだろう。
余談ではあるが実際の北欧神話で重要人物と言えば、巨人族の出身ながら神の一人となり、最終戦争「ラグナロク」でその神々に反旗を翻す「ロキ」の存在が思い出される。『ヴァルキリープロファイル』でのロキは『レナス』の終盤において登場するが、『シルメリア』には存在しない。『レナス』、『シルメリア』に続き、運命の三女神の最後のひとりである長女の「アーリィ」を題した3作目があるとすれば登場する……か?