| 10秒で接続!対戦の楽しさを実感!『マリオカートDS』レビュー |
| 2005/12/20 |
ニンテンドーDSのネットワークサービス「ニンテンドーWi-Fiコネクション」がいよいよ動き出した。第一弾の『おいでよ どうぶつの森』では知り合い同士での通信に限定されていたが、この『マリオカートDS』では正真正銘、全世界のプレイヤーと「つながる」ことが可能。いやはや、すごい時代になったものだ。
関係ないが、筆者の「通信対戦」初体験は、大学時代に友人宅で遊んだSFC版『スーパーストリートファイターII』だった(当時はXBANDという、SFCやサターンで通信対戦をするためのシステムがあったのだ)。レスポンスも悪く、また対戦するたびに電話料金+XBAND利用料がかかるという、ちょっと実用的とは言い難いというか、一歩間違えると電話代10万円! ヒィー! みたいな世紀末的シロモノではあったが、それでも「居ながらにして見知らぬ相手と対戦ができる」という驚きと感動は、今でもはっきりと手のひらに残っている。 以来、筆者はずっと「いつかは家庭用ゲーム機でも、“通信対戦が当たり前”になる時代がやってくるんだ!」と信じてきた。が、その後いろんなハードやメーカーが「通信対戦」の厚い壁に挑み、当たっては砕け当たっては砕け……。結局、ずいぶん長いこと待たされるハメになってしまったけど。
でも、この『マリオカートDS』を遊んでみて、ようやくその「いつか」が見えてきた、という確信を持った。 難しい設定も、わずらわしい操作も必要なし。もちろん完全無料。タイトルメニューから「Wi-Fiたいせん」を選べば、そこはもう世界中のユーザーが集うサーキットだ。誰でも、誰とでも、ごく当たり前に「通信対戦」が楽しめる。これこそ僕が長らく待ち望んできたモノだった。
■通信対戦がこんなに簡単にできるなんて!Wi-Fiコネクションで、世界に挑む!
実はこの原稿を書いている今も、『マリオカートDS』のことが頭から離れない筆者である。昨日対戦したヨーロッパの人(エンブレムの枠の色で、その人の地域がわかる)は、とにかくおそろしい速さだった。無駄のないドリフトでインを付き、しかも一つのコーナーで2回、3回のミニターボは当たり前。道幅のあるところなら、直線でもミニターボを決めてくる。こちらもアイテムを頼りになんとか食らいつくものの、いつも最後には後ろ姿も見えないほど引き離されてしまっていた。 これでも一人用のグランプリは全カップ制覇しているというのに、気持ちいいほどの完全敗北。これだから対戦は面白い。対戦格闘なんかもそうだが、対戦は「負ける楽しさ」「負ける悔しさ」を知ってからが真骨頂だ。
通信対戦を楽しむには、タイトルメニューから「Wi-Fi」→「Wi-Fiたいせん」を選択する。だいたい10~15秒くらいで「Wi-Fiコネクション」に接続され、画面が切り替わるので、あとは「ともだちと」「ライバルと」「こくないのだれかと」「せかいのだれとでも」の中から、対戦条件を選ぶだけ。慣れてしまえば、ここまでは電源ONから30秒ちょっとで行けてしまう。これでもう、あとはコンピュータが自動的にメンバーを集めてくれるのを待つのみ――というわけだ。 ただ、最後の「メンバー集め」の部分だけがちょっと長い。機嫌がいい時は30秒足らずで集まるが、人がいない深夜帯などでは3分以上待たされた挙げ句、結局4人集まらず2~3人で出走、というケースもまれにあった。これまで筆者が遊んだかぎりでは、平均待ち時間は2分弱といったところだろうか。もちろん、時間帯やネットワーク速度、対戦条件などによっても左右されるので、あくまで参考程度に。 ともあれ、どんなに遅い時間帯であっても「せかいのだれとでも」なら、ほぼ確実に対戦相手は見つかるはず。何より、電源投入から最短5クリック、平均3分以内で対戦相手にありつける手軽さはすばらしい。すばらしいが、おかげでちょっとでも手が空くと「ちょいと一戦……」などとついついDSに手が伸びてしまって非常に困っている。
■無言なのに熱いコミュニケーションが図れるWi-Fi対戦
対戦は最大4人同時参加のグランプリ形式で、全4コースの総合ポイントで優勝を争う。体感できるようなラグ(遅延)はまったく見られず、感触は一人プレイ時と比べてもまったく変わらない。たまーに他プレイヤーが妙な動きをしたりするが、バトルにはほぼ影響なしと言っていいだろう。 感心したのは、チャットやインスタントメッセージなど、プレイヤー同士のコミュニケーション手段が一切ナシという点。オンラインゲームにチャットはつきものだが、逆にこれがハードルとなって初心者の敷居を上げていたのも事実。潔く取っ払ってしまったことで、ひたすらレースだけに集中できるようになり、かえって気楽に遊べるようになった。 かといって、まったくコミュニケーションがないかというとそういうわけでもない。会心のドリフトで抜き去った時などはやっぱり「どうだ!」という気になるし、土壇場まで温存したトゲゾーこうらで大逆転した時などは、思わず「してやったり!」と笑いがこみ上げる。逆にゴール直前で追い抜かれた時などは、相手の「してやったり!」顔が浮かんで思わず歯ぎしりしたり……。お互いに顔も見えず、言葉も交わさないけど、それ以上に僕らは「プレイ内容」で語り合うことができる。こういう「無言のコミュニケーション」の楽しさは、アーケードでの対戦に近い感覚だ。 ただ、見知らぬ相手とストイックに対戦するのもいいが、友達同士で対戦する場合はやっぱりワイワイ騒ぎながら遊びたいもの。全員がPCを持っているという前提だが、こういう場合はMSN MessengerやSkypeなどのPC用ソフトを使って、チャットの代用をさせてしまうというテもある。ちょっとウラ技的楽しみ方ではあるが、気の合う友達とボイスチャットをしながらの対戦は、これはこれで相当に楽しい。
それ以外で唯一、プレイヤーの個性を示せるのが、カートの「エンブレム」である。これは32ドット×32ドットの範囲内で、自由にエディットが可能。対戦中はカートの頭上に、プレイヤー名とこのエンブレムが常に表示されることになる。 もちろんデフォルトのままでもいいが、やっぱりエンブレムがあった方が、相手の人間像を勝手にいろいろ想像できて、がぜん対戦が楽しくなる。かっこいいエンブレムの人を見ると、「こいつはきっとデキるやつだ!」と思ったり、レトロゲームのドット絵をそのままエンブレムにしている人を見ると「ああ、僕もこのゲーム好きだったよ!」などと妙に親近感が沸いてしまったり……。ちなみに筆者のエンブレムは、知る人ぞ知る海外アニメフラッシュ「Happy Tree Friends」のキャラクター。一体どんな人だと思われているのかドキドキです。
それにしても、この対戦バランスは本当にお見事である。上で述べたような完全敗北もたまにはあるものの(これはこれで楽しいからいいけど)、ほとんどの場合はゴールまで気の抜けない大接戦になる。「順位が低いほどいいアイテムが出る」というシステムと、さらに今回から導入された「スリップストリーム」のおかげで、最下位でも常に大逆転の可能性はあるし、トップは常に「逆転されるかも」という心地よい緊張感がつきまとう。そのくせ理不尽はそれほど感じず、勝っても負けても大笑いできるのだからまったく不思議なものだ。 こうした逆転要素があるため、走りのスタイルについてもかなり寛容になっている。『マリオカート』と言えば「ドリフトができないと勝てないゲーム」と思われがちだが、そんなことは全然なく、グリップ走行でもきちんとインベタを心がけていれば、十分すぎるほど勝負になる。実際対戦していると、人によってかなり走行ラインが違っていて面白い。
Wi-Fiコネクションの詳しい設定については公式サイトにおまかせするが、パソコンやネットワークについての難しい知識はまったく不要なので、「通信対戦って難しそう……」と尻込みせず、この楽しさ・手軽さをぜひ一度体験してみてほしい。WindowsXP環境でこのサイトを見ている人なら、別売りの「ニンテンドーWi-Fi USBコネクタ」を購入するだけで、すぐにでも「世界」へ飛び出すことが可能だ。
■一人プレイも充実。ミッションモードはかなり歯ごたえアリ
ついついWi-Fiコネクションにばかり触れてしまったが、スタンドアローン部分もかなりの完成度となっている。
グラフィックは64版以上、GC版未満といったところ。同じ携帯機ということで、GBA版のようなのっぺりしたコースを想像していたのだが、きちんとコース・キャラクターともにポリゴンで描かれており、しかも64版では不可能だった秒間60フレームでの描画を実現! あらためてDSというハードのポテンシャルの高さに驚かされてしまった。ゲームシステム面では、タッグ制が廃止されたことと、Rボタンでのミニジャンプが復活したことを除けばGC版をほぼ踏襲。ミニジャンプがあるぶん、心持ちGC版より早めにドリフトを開始する必要があるように感じたが、すぐに慣れるので心配無用である。 収録コースは全32コースと充実。うち半分はDS版オリジナルだが、残り半分は歴代シリーズからの再収録となっているのがなにげに嬉しい。懐かしの初代「マリオサーキット」や「ドーナツへいや」「ノコノコビーチ2」など、SFC版からのファンなら思わず「懐かしいっ!」と叫んでしまうこと請け合いだ。特に「マリオサーキット」の存在感はやっぱり別格で、Wi-Fi対戦でこのコースが登場したりすると、やっぱり「キター!」と内心小躍りしてしまったりする。
新要素としては「順番どおりにゲートをくぐれ!」「スターを使ってプクプクをすべて倒せ!」といった、小さな課題に次々チャレンジしていく「ミッション」モードが新たに追加されている。各ミッションはどれも1分以内で終わるミニゲーム的なものなので、通常のグランプリや、タイムアタックの合間にちょこっと遊ぶのに最適……などと甘く見ていたら、実はこれがけっこう熱い! ただクリアするだけなら簡単だが、最高ランクの三ツ星評価を獲得しようとすると、なかなかの歯ごたえである。 ミッションは難易度に応じて6レベルに分かれており、各10問ずつ、合計60問の課題が存在。グランプリモードをひととおり制覇してしまった現在は、「ミッションの評価をすべて三ツ星で埋める」というのが筆者の当面の目標となっている。ひょっとしたらまだ上があるかもしれないが、どうやら、まだまだ当分の間は遊ばせてくれそうな雰囲気だ。
とにもかくにも、「この年末年始はこれで1本で充分!」と断言してしまってもいいほどの傑作である。年末年始などと言わず、ひょっとするとこれ1本で一生遊べちゃうんじゃなかろうか。 実はもう、さっきから「マリオサーキット」のBGMがリフレインしっぱなしで、「とっとと仕事なんか切り上げて対戦したい欲求」が破裂寸前の筆者である。さて、区切りもいいことだし、このへんでまた「せかいのだれとでも」でひとっ走りしてこようかな。Wi-Fi対戦でハピツリのエンブレムを見かけたら、みなさまどうぞお手柔らかに。
( )
|
| |
|
|
|