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―― 次に、お2人の担当されたシナリオについてお聞かせください。お2人のシナリオは、他のシナリオに比べて世界観が異なっているということですが……?
一圓氏:
まず、我々以外の3シナリオですが、“旅人の財産”がスタンダード、“満月王の子供達”が謎解き、“欠けた大地”が戦闘重視と、わりとオーソドックスな内容なので、私と白石のシナリオはネタ系でいこうということになったんです。
白石氏:
僕の“灼熱の車輪”は、もうみなさんご存知のように“ヘビーメタル”がテーマになっています(笑)。特に僕のはもう、タイトル画面のBGMを聴くだけで分かるんで(笑)。他のシナリオが根本的なモチーフを隠しながら表現しているのに対し、僕のシナリオだけ直球で……。
一圓氏:
「ネタだよ」、「ネタシナリオだよ」と(笑)。
―― 『ウィザードリィ』にヘビメタというのは、確かにクリティカルヒットを受けたような衝撃でした(笑)。
白石氏:
でも、『ウィザードリィ』の元々持つジョークってあるじゃないですか。そういうところから、できるだけ外れないようにはしています。例えば、ワードナ(※9)の部屋に営業時間が書いてあったりするわけじゃないですか。できる限りそういうジョークに留めている。そういう状態に、うまくヘビメタの要素をのせられたらな、と。
―― 今回、白石さんがそういうテーマを選んだ経緯というのは……?
白石氏:
うちの会社のスタッフに『ウィザードリィ』のアイディアを募集したことがあったんですけど、その中で、面白いなあと思ったシナリオが“灼熱の車輪”だったんですね。
一圓氏:
『ウィザードリィ』好きな元メタル少年みたいな奴がいまして、その男が出した“灼熱の車輪”というアイディアが評判がよかったんですよ。
―― では、元ネタがあって、それを構築していったのが白石さんなんですね。
白石氏:
ええ。その“灼熱の車輪”が、元々僕の考えていたシナリオより愉快で雰囲気が面白かったので、それを元に作ってみました。
―― 具体的に、シナリオの内容について少し教えていただいてもいいですか?
白石氏:
僕は『ダイヤモンドの騎士』(※10)が好きでしたので、KOD'Sアイテムを集めるようなシナリオにしたいという思いがありました。『ダイヤモンドの騎士』と違うのは、KOD'Sは装備品なんですが、“灼熱の車輪”は、ある召喚獣を作るためのアイテムという設定になっているんです。バラしてしまうとそれは○○○なんですが(笑)、常にその召喚獣をつれて歩けるというのがシナリオの特徴です。
また、僕のシナリオでは、モンスター名を他のシナリオと全部違うものに差し替えているんですよ。基本的に原型は『I』~『III』から引っ張ってきているモンスターが多いんですが、すべて名前を変えて登場してもらっている形になっています。
―― 今までの『ウィザードリィ』と比べて、1つとして同じモンスターがいない、ということですか?
白石氏:
そうですね。“同じ名前=同じモンスター”とするならば、すべて新しいモンスターということにはなります。グラフィックは流用ですが。
一圓氏:
名前だけヘビメタ絡みになってるんだよね。
白石:
はい。だからヘビメタ好きが見ると、「このモンスターにこれを使ったか」とニンマリしてもらえると思います。ただ問題なのが、“ヘビメタ好き”と“『ウィザードリィ』好き”という層が重なったところにどれだけの人がいるのか、という(笑)。そのへんは今でも心配です(笑)。
―― (笑)。でも、すべて新しいモンスターのシナリオというのはインパクトがありますね。
白石氏:
ま、モデルとなったモンスターはいるわけなんですけどね。でも、そんなモンスターでも、名前だけでなく少し強さを変えて登場しているものもいます。例えば、引用前は呪文抵抗がこれだけあったけど、少し下げておこう、とか。
でも、グラフィックを見ただけで「お、こいつにはあの呪文が効くに違いない」とか予想できたりするモンスターもいますんで、そういうのを探してみて楽しんでみてください(笑)。
―― あ、確かになんとなく想像できますね(笑)。話は変わりますが、“灼熱の車輪”だけ、新曲が5曲くらい入っていると聞いたのですが……?
白石氏:
そうなんですよ(笑)。いくつか新曲を用意していただくことは決まっていたんですが、あからさまに方向性が違う僕のシナリオだけ新曲を入れていただきました(笑)。
―― おいしいですね(笑)。
白石氏:
ま、あれですと他のシナリオへの流用もききませんしね(笑)。
―― 確かに(笑)。
※9:ワードナ
初代『ウィザードリィ』の最終ボス。英字表記は“WERDNA”で、これが制作者の1人“ANDREW”の名前を逆にしたものであることは、『ウィザードリィ』ファンには周知の事実。
※10:『ダイヤモンドの騎士』
PC版では2番目、ファミコン版では3番目にあたるシナリオ。KOD'Sアイテムの“KOD”は、英字タイトル“Knight of Diamonds”の略称で、ダンジョンに散らばるKOD'Sアイテムを手に入れることが冒険の目的となっている。
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