これまで2回にわたってお届けしてきた、ゲームポット代表取締役・植田修平氏のインタビュー。最終回となる第3回では、前回のラストで植田社長の口から飛び出した「隠し玉」の話題や、今後のラインナップとして予定されている『トキメキファンタジー ラテール』『モンスターファームオンライン』『オンラインカート ステア』(以下、ステア)についてお話をうかがった。また、やがて話題は最後にはゲームポットならではの運営ポリシーや、植田社長が描く「ゲームポットの未来」などについても広がっていく。果たして、ゲームポットはどこへ向かうのか?
<<(第1回)「実は難しいアイテム課金制」
<<(第2回)「今年と来年は種まきの時期」
■まずは年内に『トキメキファンタジー ラテール』をリリース予定
---今後のリリーススケジュールについて、お聞かせください。
植田氏:
まずはファンタジーMMORPGの『トキメキファンタジー ラテール』。これは2006年中にリリースする予定で、『君主』や『CABAL ONLINE』とはまた違った、2Dの横スクロール型MMORPGになります。どこか懐かしさを感じさせるような、ほのぼのとした世界観やゲームデザインが特徴で、何というか、すごく癒されるゲームですね。
---以前公開された画面写真を見ましたが、あえて横スクロールというのが、かえって新鮮に感じられました。
植田氏:
それから、今冬を目処に『モンスターファームオンライン』をリリースする予定です。その名のとおり、累計300万本以上を販売している『モンスターファーム』シリーズのオンライン版で、こちらは特にコンシューマーゲームのユーザーに強く訴求していけるのではと期待しています。詳しいゲーム内容など、現時点ではまだちょっとお見せできないのですが、すでに公式サイトはオープンしていますので、新情報については随時こちらにアップしていきたいと思っています。公式サイト上で楽しめる企画なども考えていますので、ぜひご期待ください。
--最後の1本は『ステア』ですね。
植田氏:
みません、『ステア』については、まだちょっと具体的なサービス時期については告知できない状態です。これは一度クローズドβテストを行ったんですが、弊社の求めているクオリティにまだ達していないと判断し、今は改善に向けて大手術を行っています。楽しみにお待ちいただいていた方もいると思うんですが、もう少しだけお待ちください!
■気になる隠し玉も「開発」中?
--今後はこの3タイトルがラインナップに加わっていくわけですね。
植田氏:
それと実はもう1本、大掛かりに取り組んでいるタイトルがあるんです。
---まだほかにも隠し玉が!?
植田氏:
あるんですよ。現在提携している、ハンガリーのInvictus Games社と共同で『Level-R』というオリジナルのレースゲームを開発しています。ここは10年以上にも渡ってレースゲームだけをひたすら開発してきたという老舗で、自動車の挙動やコースデザインなど、本当にすばらしい技術を持っている。これにアイテム課金のシステムなど、ゲームポットが持つオンラインゲームの運営ノウハウを組み合わせた作品になります。『ステア』がちょっとした空き時間にサクッと遊べるライトなレースゲームなのに対し、こちらはリアル系。東京やイギリスの町並みを再現したコースも収録される予定です。
---リアル系ということは、ひょっとして実在の車やパーツが登場したりも?
植田氏:
そのつもりで、現在各メーカーと交渉を進めているところです。それから、コース中の看板なども差し替え可能にして、こちらも実在の企業とタイアップしていけたら面白いなと。
---先ほど「開発している」とおっしゃいましたが、今回は「運営」だけでなく「開発」にも関わっているということですか。
植田氏:
企画段階から関わっていますよ。なにぶんゲームポットとしては初めての試みばかりで、どうなるかわからない部分もまだ多いのですが、せっかくなのでチャレンジしてみたいなと。リリース時期については未定ですが、課金方法はアイテム課金制を予定しています。どのようなアイテムを提供していくかなど、うまくゲームポットの強みを生かしていきたいですね。
■考え方は「面白ければなんでもいい」
---ここまでお話をうかがってみて、かなり幅広いジャンルに手を拡げているという印象を受けたのですが、これはゲームポットというか、植田社長の方針なのでしょうか?
植田氏:
そうですね。一応、多ジャンル化を目指すことで、より幅広いユーザーを獲得していきたいとは考えています。ただ僕としては、ホントは「面白ければなんでもいい」んですよ。考え方自体はすっごくシンプルなんです。
---ということは、戦略的な構想があってジャンルを分散させたというよりは、単にそれぞれのタイトルが面白かったから、と……。
植田氏:
はっきり言ってしまえばそうです。本当に面白いゲームって、やっぱり理屈なんか抜きにしても遊んでもらえるものだと思うんですよ。だからたとえば、このジャンルはライバルが多いから避けようとか、このジャンルは層が薄いから狙ってみようとか、そういう考えはまったくなくて。最終的な決め手となるのは、そのゲームをパッと見て「あ、これは面白いな、やってみたいな」と感じるかどうか。……こう言うと計画性がないみたいに思われてしまいそうなんですが(笑)。
---いやでも、なかなかできないことだと思いますよ。
植田氏:
逆に「SNS」とか「Web 2.0」とか、そういう「キーワード」みたいなところから入っていくようなことは絶対にしたくない。ゲームって面白いかどうか、面白くできるかどうかから始まっていくものですし、ゲームポットとして、そこだけは絶対に見失ってはいけないと思っています。たぶんヒットした後で「あれはWeb 2.0だったんです」くらいに言うことはあるかもしれないですけど(笑)。たぶん今成功している会社の多くも、きっと最初は「面白いこと」の追求から始まっていったと思うんです。
■ゲームポットならではの「運営」ポリシー
---オンラインゲーム以外では、コミュニティサイト「プチコミ」の運営と、携帯電話向けアプリの開発なども行われていますが、こちらについても今後の予定などお聞かせください。
植田氏:
まず「プチコミ」に関しては、今後『君主』と連動する構想があります。ゲーム内でキャラクタを右クリックした際、その人が「プチコミ」内に自分のページを持っていれば、ゲーム内から直接そのページにアクセスできるようになる予定です。
---これは今のところ、『君主』だけ?
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『君主』だけでなく、『CABAL ONLINE』などのコミュも盛んな「プチコミ」 |
植田氏:
まずは『君主』で実験的に導入してみて、ユーザーの反応を見てからになると思います。
---となると、単に課金形態が変わるだけでなく、ゲームシステムについてもあちこち変わってきそうですね。
植田氏:
もちろん、一気にドーンというわけにはいきませんが、改善できる部分についてはどんどん変えていくつもりですので、ぜひご期待ください。運営スタイルについても、GM主催のイベントを積極的に行うなど、よりユーザーに近い、ゲームポットらしいものに変えていきたいと思います。
---『パンヤ』などで導入しても楽しそうですね。
植田氏:
「プチコミ」を見ていただければ、その人の人となりもわかりますしね。コミュニティの形成にも一役買ってくれていると思います。
---携帯電話アプリについては?
植田氏:
オリジナルのアプリももちろん増やしていきますが、並行して、オンラインゲームと連動したモバイルサイトも作っていく予定です。第1弾として、すでに『パンヤモバイル』というサイトを8月よりスタートしていますが、今後PC版『パンヤ』との連動企画も考えています。
---こうした携帯電話アプリの開発は、韓国の方で行っているんですか?
植田氏:
いえ、携帯電話アプリに関しては完全に日本オリジナルです。
---「プチコミ」にしても『パンヤモバイル』にしても、開発会社とは別のところで、運営側が積極的に「新しい遊び」を提供しているところが面白いですね。通常、オンラインゲームでは「運営側」って、裏方というか、あくまでユーザーとゲームをつなぐパイプ役に留まることの方が多いと思うんですが。
植田氏:
そうですね。結局、ゲーム自体はあくまで開発会社が作っているものであって、運営側はなかなか手が出せない。それならうちはイベントの内容とか、アイテムの企画とか、公式サイトとか、そういった部分で「ゲームポットらしさ」を出していこうと。これは当初から「これだけは絶対守っていこう」と考えていたことのひとつなんですよ。
---各タイトルの公式サイトも、常時イベントや企画が進行していたりして、すごく「遊べる」ものになっていますよね。
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さまざなまイタズラ、もとい楽しいギミックが用意されている各ゲームの公式サイト。いつ実行される分からないので、日々注意してみると意外な場所にギミックが用意されているかも |
植田氏:
ゲーム開発とは違い、公式サイトは運営側が好きなように作れますからね。だったらいっそ、公式サイトでユーザーに遊んでもらおうじゃないか! って。たとえば『パンヤ』で言うと、実は今もすごく細かなコトをやっていて……。
(ここでノートPCを出し、『パンヤ』の公式サイトを見せる植田社長)
この部分、わかりますか? 先日こっそり追加したんですが、トップ画像の右下、ココがちょっとめくれているんですよ。
---あああ、めくれた!
(トップの画像がめくれて、でかでかと「Next Season」の文字が!)
植田氏:
びっくりしました? これ、実は「Season 3」のリリースを出す前から追加してたんですよ。メディアで発表される前に、ユーザーが自分で「Season 3」の情報を見つけられたら、きっと喜んでもらえるんじゃないかな、って。
---見つけた人はびっくりしたでしょうね。
植田氏:
実はもう1枚、めくれるんですよ。
(さらにもう1枚めくると、その下には「4コママンガ劇場」のキャラクタと、「New Character!」の文字。でもすぐにバツで消されてしまう)
---おお、「New Character」!? と思ったらバツがついた(笑)。
植田氏:
すいません、2枚目はただのお遊びです(笑)。
■今後も「楽しさ」の提供は続けていきたい
---PC以外のプラットフォームに展開されていく予定は。
植田氏:
今すぐということはないと思いますが、もちろん将来的には、マルチプラットフォーム展開も考えていきたいと思っています。ただ、やはりどこかのプラットフォームに乗っかるとなると、ビジネスの幅が狭まる危険性もありますから、そのあたりは状況をよく見て動いていくつもりです。
---ちなみに、今もっとも興味のあるハードは?
植田氏:
やっぱりWii……ですね。テクモさんから『スイングゴルフ パンヤ』も出ますし(笑)。それに僕自身、根っからの任天堂ユーザーだったんですよ。みんながPSで遊んでる頃に、なぜかN64に熱中していたり。
---なんとなく、わかるような気がします(笑)。ゲームポットとして、今後の目標はありますか?
植田氏:
遊んでくれたユーザーに「楽しかったな」と感じていただけるようなコンテンツの提供はずっと続けていきたいですね。最終的にはネット業界全体にまたがる総合エンターテイメント企業に……というのが目標です。これはオンラインゲームに限ったことではなくて、ゲームポットとしては「人と人のつながりから生まれる遊び」を幅広く追求していきたいと思います。
---ちなみに、社員数は今どれくらい?
植田氏:
今は70人とちょっと。それでもオンラインゲームの運営会社としては、まだ少ない方だと思いますよ。今後のことも考えるともっと増やしていかないといけないと思うんですが……。
---今年の初めくらいにうかがった時にはまだ30人くらいでしたから、あれから2倍以上に増えた計算ですね。
植田氏:
そのさらに1年くらい前は、まだ6〜7人くらいでした(笑)。
---そう考えると、びっくりするくらい大きくなりましたね。
植田氏:
ホントに、おかげさまで。
---それでは最後に、読者に向けて一言、おねがいします。
植田氏:
今までは『パンヤ』のゲームポットというイメージがすごく強かったと思うんですが、今後は『CABAL ONLINE』や『ファンタジーアース ゼロ』など、新しいジャンルのタイトルにもどんどん挑戦していきます。これまでゲームポットの作品に触れたことがなかった人も、これを機にぜひ体験してみて下さい。そして、ゲームポットの運営ってアットホームで楽しいな、バカなこともやってるな、というのを感じていただければと思います。
---そう考えると、びっくりするくらい大きくなりましたね。
面白ければなんでもいい——植田社長も言っていたが、ゲームポットの運営ポリシーはたしかにシンプルだ。そして何より、「オンラインゲームを運営する」ということそのものを、植田社長、そしてゲームポット自身がまず楽しんでいるように感じた。でなければ、毎週のように『パンヤ』のイベントやアップデートを行ったり、わざわざ時間を割いて公式サイトに「いたずら」を仕込んだりといったことができるはずがない。
今となってはゲーム開発の肥大化が進み、「面白さ」だけで会社を動かしていくのは難しくなってきた。しかし、それでもやはりクリエーターや、ユーザーを動かす最大の原動力は「面白さ」なのだと思う。インタビューを通じて、ゲームポットという会社を動かし続けている、大きなパワーの源を少しだけ、垣間見ることができたような気がする。オンラインゲームという「若い」市場、そしてゲームポットという「若い」企業だからこそできることなのかもしれないが、こうした姿勢は、他のゲームメーカーにとっても少なからず学ぶべきところはあるはずだ。
『パンヤ』でひとつの成功を収めたゲームポットだが、今年末から来年にかけて、さらに次の一歩を踏み出そうとしている。今後の展開が楽しみなメーカーと言えそうだ。
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