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インタビュー
 
『エヴァ2』の芝村・岡本コンビが手がける意欲作!?
DS『ぷちえう゛ぁ』開発者インタビュー
2008.01.29
関連URL:『ぷちえう゛ぁ』プレサイト
 
 バンダイナムコゲームスより2008年3月20日(木)発売予定のDS用タイトル『ぷちえう゛ぁ』。本作は人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」を題材にしつつも、まったく新しい解釈・世界観のもと、かわいらしいデフォルメキャラクタたちが学園コメディを繰り広げる、言わば「エヴァ」のスピンオフ作品。
 
 と言っても単なるパロディではなく、初の「オフィシャル・デフォルメシリーズ」として公式に認められているのが最大の特徴なのだ。

 以前にジーパラでもお伝えしたとおり、DS版の内容は、タッチペンを使ってストーリーを進めていく「まったりほんわか」系アドベンチャーゲーム。前作の硬派な内容からは随分方向性が変わったように見えるが、制作に関わっているのは引き続き、『新世紀エヴァンゲリオン2』(PS2・PSP)の芝村・岡本コンビだと言う。

 芝村氏と言えば、あの『ガンパレード・マーチ』の生みの親であり、岡本氏と組んで手がけた前作『エヴァ2」は、その斬新な解釈・ゲームデザインから、今なおファンの間では「究極の"エヴァ"ゲーム」としての呼び声が高い。
 果たしてその芝村・岡村コンビが手がけるDS版『ぷちえう゛ぁ』とは一体どんなゲームで、どのような経緯で生まれたのか。開発を手がけるベックにお邪魔し、両氏にお話をうかがった。

※各写真をクリックすると、拡大したものを見ることができます


ベック コンシューマープロダクト本部コンシューマー開発部ディレクター芝村裕吏氏。『ガンパレード・マーチ』シリーズの生みの親でもある ベック コンシューマープロダクト本部副本部長の岡本吉弘氏。芝村氏とタッグを組み、前作『新世紀エヴァンゲリオン2』(PS2・PSP)を手がけた


偶然から生まれた、 ふたつのSDエヴァ

――最初に、DS版『ぷちえう゛ぁ』の企画が生まれた経緯についてご説明いただけますか。

岡本吉弘氏(以下、岡本):最初にPS2の『エヴァ2』があって、それからPSP版があった。この2作品は何よりもゲームが大好きな人達がターゲットだったんですが、じゃあ次はどういうアプローチで行こうかと考えた時に、あえてその真逆をやってみようかということになったんです。

――『エヴァ2』からはずいぶん方向性が変わった印象でしたが、あえて逆にしたと。

岡本:当然、前作と同じような方向性も検討はしていたんですが、やはり新しい層に向けてアプローチをしていきたいという考えもありまして。じゃあいっそ前はやれなかったこと、使わなかったことを今度は全部活かそうよと。それならこういうノリで、キャラクタはデフォルメにして―とか話していたところでちょうどバンダイの玩具を作っている部署で「ぷちえう゛ぁ」というものを商品化していくという話が出たのでこれはチャンスだと。そこからはもう、完全に二人三脚でモノ作りを行いました。

――ということは、当初は「ぷちえう゛ぁ」自体とは別ラインで進行していて、途中から合流した形だった?

岡本:そうです。とは言えもともと「SDでエヴァをやろう」っていう話自体は、関係者の間ではよく話に挙がっていましたけど。いざ形にしてみたら、何のことはない、お互いタイミングが一緒だったという。だから最初の企画では、「ぷちえう゛ぁ」とはまったく違うSDキャラクタで作っていたんですよ。

芝村裕吏氏(以下、芝村):ただそれじゃ「まるで我々がグループ間で仲が悪いみたいじゃないか!」という話になって(笑)。あとは共同でやれば先行してお客さんの反応を見れたりしますし、単純に両方のいいとこどりができたらいいなというのもありましたね。

――タイミングについては、まったくの偶然?

芝村:まあ、新劇場版があったりとかでちょうど盛り上がる時期だったので、偶然というよりは必然だったんでしょうね。

――バンダイナムコゲームスだと、すでに「ガンダム」のデフォルメシリーズとして『はろ一座』シリーズがありましたが。

岡本:あれとはまったく別モノです。向こうはパロディですが、こっちは「オフィシャル・デフォルメシリーズ」ということで、見た目が似ていてもコンセプトが全然違う。「ぷちえう゛ぁ」はパロディ主体と言うよりも、まったく別の世界観で構築されていますので。

芝村:あれは「ガンダム」という巨大な広がりがあるからできるものですからね。

――今回、芝村さんは開発のどのあたりの段階から関わられているんですか?

芝村:かなり早い段階だったような気がしますね。でも最初に企画書を見せてもらったのが忘年会の席で。こんなところで出していいのかよっていうタイミングで(笑)。

――そ、それはまたすごいタイミングで。

岡本:嘘偽りのない事実です。

――芝村さんに話を持っていったのは、やはり前作『エヴァ2』のつながりから?

岡本:まぁ『エヴァ』のゲームに関してはこのコンビでしか作る気はないので。ただ当然、『エヴァ2』のようなタイプのゲームしか作れないのではコンビの意味もないですが。確かに別の人とコンビを組んで作るのもアリですけど、僕はこのコンビで「できる」と思いました。まあできなかったら外れてもらおうかと思ってましたけど。

芝村:ええっ!

岡本:でもできるとは思ってましたよ(笑)。

――互いの信頼あればこそですね。

岡本:でもこれって、似て非なるものの逆なんですよ。

――ど、どういうことですか?

岡本:似て非なるの逆だから……なんて言うんだろう(笑)。

芝村:責任持ってちゃんと答えてくださいよ、言った以上は(笑)。

岡本:ええと、要するにモノは違っても、このゲームにもやっぱり『エヴァ2』の血が流れてるということです。それは表面的な部分というよりは、実際のゲームの作り方とか、かけてある労力とかそういう部分。あっちはヘビー級でこっちがライト級で――っていう感覚は実はまったくなくて。これはこれでひとつの今までとなんら変わらない『エヴァ』へのアプローチなんです。

――アプローチが違うだけで中身は『エヴァ2』と。

岡本:たぶん今後はまた違うアプローチをしていかなきゃいけないと思うんですが、今回はその第一歩と思っていただければ。

目指したのは気軽。
あえて、 1話30分の
ゲームにしなかったワケ

芝村:コンセプトは「DSに向いたゲームを作りましょう」なんです。ターゲットもこれまでより低めに設定し、あまりゲーマーでない人たちにも遊んでもらえる作品にする。あるいはもっと身近な話をすると、親戚と集まった時とかに、自分が混ざって自慢できるゲームを作りたかった(笑)。

――そんな不純な動機で!

芝村:いやいや正当な理由ですよ!

岡本:PS2は部屋で遊ぶもの。PSPは布団をかぶって遊ぶもの。そしてこれ(『ぷちえう゛ぁ』)は外で遊ぶものといった位置づけですね。PSPももちろん携帯機なんですが、あっちの『エヴァ2』は人目に触れず家にこもってやるプレイスタイルをイメージして作っていたので(笑)。その点『ぷちえう゛ぁ』は、電車やバスの中とか、じっくりプレイするには不利な環境でも遊べることを前提としています。

芝村:まあ1個くらいは、大地震が起きても遊んでもらえるゲームがあったらいいんじゃないかと。どんな環境であっても私のゲームは途切れることはないんだ! っていう、ただそれだけのために作ったゲームでもあります(笑)。

――まだタッチアドベンチャーの部分しか一般には公開されていませんが、全体としてはどんなゲームに?

芝村:基本的にはタッチペンを使ったゲームをしてもらいます。DSにはペンが付いていますので、まずはそれを持ってください。あとは適当に画面の指示に合わせて、あるいは適当に面白そうなところをタッチしているとゲームが進みます。以上。

――……あれ、もう説明終わりですか!?

芝村:もちろんもっと専門用語をたくさん使って説明することもできるんですが、とにかく気軽に遊べるゲームですよと。それで、一つあたりのスパンが短い。だいたい5分とか3分とか。

――サンプルをプレイさせていただいたかぎりでは、たしかに1話がすごく短いですよね。最初に会話があって、ちょっとしたゲームをして、クリア後にまた会話があって……。ここまでで5分かからないくらい。

芝村:最初にいくつかのバージョンを試作したんですが、結局一番短いのが一番人気があったんですよ。

岡本:もちろんやろうと思えば、1話30分のゲームにもできましたよ。でも今回アプローチする層がゲームに没頭して飽きずにがんばれる時間って、そう長くはないと思っています。だからあえてそうしなかった。手をつけるまでは時間をかけて考えてもらうけど、でも手を付けたら早い。電車の乗り換えで歩いている間にもそのゲームのことを考えていられるような、目指したのはそんなゲーム。で、次の電車に乗ったらまたDSを開いてプレイしてもらう。

芝村:基本的に、9割くらいの面は難易度低めですね。ただ、だんだん難易度を上げていくのではなくて、ヘンなところで急に難易度が高くなったりする。そういう構造にしてあります。

岡本:ゲームの大まかな流れというか、抑揚は全部こちら側でコントロールするタイプにしました。いつもは荒れ地にポイと放り込んで、一生遊んでなさいよみたいなゲームが多いんですけど(笑)そのあたりはこれまでとは違うところですね。

芝村:「何をやればいいんですか? 好きにやりなさい」みたいな。

岡本:その点、今回は全部こちらから最も面白い流れを提示しています。

芝村:あとは4コマ漫画の雰囲気を再現したかったというのがありますね。ひとつの話が終わったら雰囲気もガラリと変わる。ゲームならゲームそのものが変わってしまうような、そんな感じを出したかった。ひとつのシステムで全部を表現しようとすると、4コマ漫画って理不尽なシチュエーションが多いんですよ。

――序盤は完全に1話完結になっているステージが多いですが、連続するストーリーを追っていくような要素もありますか?

岡本:基本はスクールものなので、4月にはじまって3月に終わる流れにしています。あとは月ごとに、音楽祭とか夏休みといった個別のテーマがあったり。

――「ぷちえう゛ぁ」の設定を最初にを見た時の印象はどうでしたか?

岡本:ヘンに原作を意識しすぎていないところが、アリだなと。むしろ本編で飛び交ってるような単語が多用されていたりとか、そういうことをやっちゃうとかえって中途半端に歪んだものになってしまう。「なるほど、こういうまとめ方もあるんだな」と気付かされたりもしましたね。

芝村:序盤については、ほとんどのメッセージは飛ばしてもいいように作ってあるんです。たぶんストーリーやキャラクタに興味が出てくるのはもっと後のほう。やってるうちに「こいつかわいいな」とかそういうのが出てくるだろうから、そのころにはもっとガッツリ読めるお話を。

原作ありきではなく、
ゲームが元になったアイデアも

――「ぷちえう゛ぁ」の設定自体はバンダイ側の案ということでしたが、最初に設定を見た時の印象はどうでしたか?

岡本:ヘンに原作を意識しすぎていないところが、逆にアリだなと。むしろ本編で飛び交ってるような単語がばんばん入っていたりとか、そういうことをやっちゃうとかえって中途半端に歪んだものになってしまう。そこをバッサリとよく捨てきったなと。逆に「ああ捨てきるとこういうまとめ方もあるんだな」と気付かされたりもしましたね。

芝村:逆にこんなかわいいキャラクタで、本編のあのドロドロしたものが出てきた日には、子供泣いちゃうんで(笑)。あとは本編の結末がああだったから、こちらはもっとまったりと幸せになれたらいいなと。「エヴァ」をもっと楽しい思い出に変えたいという人たちの需要をある程度満たしてあげられたらいいですね。

――本編をある意味で補完するようなものと。

岡本:まあ、本編の設定がまったく使われていないわけではないですよ。個人的にはTV本編の26話で綾波がパンをくわえて走ってるシーンがありますよね。あのシーンに近いイメージを「ぷちえう゛ぁ」には持っていたりします。

――それでも、さすがにエヴァンチョーはびっくりしました(笑)

芝村:びっくりしましたね。でも4コマ漫画ではエヴァンチョーが一番人気あったんですよ。で、次くらいがカヲル君。これはパチンコの影響も大きいと思うんですが。

岡本:大当たり確定のカヲル君は人気が高いそうです(笑)

芝村:ただやっぱり「これはねーだろ」みたいな人もスタッフの中にはいて。エヴァンチョーのデザインが来た時の空気の凍り方みたいなのはよく覚えてますね。私なんかはげらげら笑ってたんですけど(笑)。あまり掘り下げると、母の魂が入ってるとかどんどん黒いものが見えてきちゃうので、これはこれ、アレはアレくらいで楽しんでもらうのが一番なんじゃないかなと。

――綾波も3人いますし。

岡本:JA子、すごいですよね……頭にまんま付いてますし、JAが!

芝村:オペレーターたちがアイドルグループになってたりね。学校ではどうしても出せないって言うんで、じゃあもうアイドルグループにしちゃえと。そういう、原作との差異を逆に楽しんでいただけたらなと。

――ゲームだけのオリジナルキャラクタとか、独自の展開のようなものは?

岡本:もちろん存在しますよ。二人三脚でやってますので。

――まず原作ありきではなく、一緒に原作を作っているようなイメージ?

岡本:コマ漫画に関してはそうですね。ゲームでこういうネタをやりたいので、4コマのほうにはこういう話を入れておきましょうとか。リンクしているところはいっぱいあります。

――たとえば具体的に、どの部分がゲーム発のアイデアとか?

岡本:ゼルエル番長とエヴァンチョーが喧嘩するシーンがあるんですが、直に殴り合うのではなくある乗り物に乗るんですよ。あれはゲーム側から出たネタですね。「未来少年コナン」に出てくるロボノイドみたいな、ああいうのが欲しいんだけど…と。そしたら向こうから、どうせなら超合金っぽくしようよっていう話が出てきて。

芝村:最終的にはポピニカみたいなのになりましたね。

岡本:あとはまだ秘密です(笑)

試行錯誤の末に辿り着いた、
『エヴァ2』 と 『ぷちえう゛ぁ』

――芝村さんは『エヴァ2』から開発に関わられているわけですが、やはり「エヴァ」に関しては特別な思い入れのようなものはありますか?

芝村:個人的にはもちろん好きな作品ですが、仕事で触っている期間も長いので、ちょっと一言で言うのは難しいですね。それこそ今では空気のように扱ってるというか。ただ、そういう身びいきを抜きにしても、やっぱりひとつの時代を作った作品だったとは思いますよ。

――「空気のように」っていうのがすごいですね。

芝村:キャラクタゲームの世界でもやっぱり「エヴァ以前・エヴァ以降」みたいなものがあって。昔のアニメってわりとゲームにしやすいんですが、「エヴァ」以降のアニメって、ゲームにするのがけっこう大変なんですよ。たとえば「ガンダム」なんかは、ある程度ゲームへの移植の仕方というか、その世界観をどうゲームで表現するかといった方法論が確立されてる。でも「エヴァ」はそうではなくて、それこそアドベンチャーであったり、私が作った『エヴァ2』のようなものであったり、今だに試行錯誤が続いている。

――『エヴァ2』は、そういう試行錯誤の中から生まれたわけですね。

芝村:あれは何にも考えないで、「エヴァ」ってどういうものなんだろうっていうのをキレイに表現しようとしたらああなったんですよ(笑)

岡本:それでもそこにたどり着くまで3年もかかりましたけどね。それくらい難しいテーマだった。開発に着手した当時は他社さんから「エヴァ」のゲームは既にたくさん出ていましたし、作品の懐がとてつもなく深いので、ゲームとしての切り口を見つけるのがすごく難しかったです。結局、行き着いたのが「エヴァ」は庵野さん(庵野秀明監督)のものというか、庵野さんそのもの。であれば庵野さんじゃない人達に向けて作るのなら、「自分たちのエヴァ」を探せるようなツールがあってもいいよねって。

芝村:そういう意味では今回の『ぷちえう゛ぁ』も相当悩みましたけどね。4コマがあって、それをキレイに表現するゲームってどういうものだろう、って考えているうちにこの形になった。

――作り方というか、出発点は『エヴァ2』と同じだったと。

芝村:「新劇場版」なんかに至ってはまだ全然手付かずの状態なので、最終的にはそういうところも含めて、「エヴァ」ならではの空気みたいなところを出せていけたらいいですね。


見た目は違えど、根底は同じ

 一見すると、前作『エヴァ2』とは180度方向性が変わって見える『ぷちえう゛ぁ』。しかし両氏にお話をうかがっているうちに、ようやくその根底に流れる共通のモノが少しずつ見えてきたような気がする。

 「エヴァ」という巨大な作品を、どうしたらゲームという器で表現することができるか。辿り着いた形もは違えど、どちらも出発点は同じ。言われてみれば、こういう「エヴァ」の世界があってもいい。

 パロディではなく、あくまで「オフィシャル・デフォルメシリーズ」と位置づけられた、新しい「エヴァ」。ゲームはもちろん、4コマやフィギュアなども含め、今後の展開に注目してみても面白いだろう。


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『ぷちえう゛ぁ』
ハード: ニンテンドーDS
メーカー: バンダイナムコゲームス
ジャンル: まったりほんわか
発売日: 2008年3月20日(木)発売予定
価格: 5,040円(税込)

(C)GAINAX・カラー
(C)2007 NBGI

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