全国ランキング-特別編-  
いつから品薄? 1,800万台突破の
「ニンテンドーDS本体」販売の歴史
2007.08.14
関連URL:「ニンテンドーDS」公式サイト
   
 
 お店に行くと、いつも売り切れ。売っているところなんて、ほとんど見たことがない携帯ゲーム機、ニンテンドーDS(以下DS)。普段、ゲームになんて見向きもしないような女の子や大人たちをゲーム市場に引き込んだ存在だ。
  いまではすっかり認知度も上がり、店頭で「緊急入荷!」の文字を見れば周囲の消費者が色めき立つゲーム機のDS。もう、滅多に買えないことなんて当たり前のようになってしまっているけれど、発売当初はそんなことなかった。いったい、いつから累計で1,800万台(2007年7月22日(日)現在)も販売するモンスターマシンになったのか?
 
■スタートは47万台!発売4週で100万台突破!実は最初から大人気!?
 DSが発売されたのは2004年12月2日(木)。その日の朝の様子はこんな感じ。まぁ正直、そんなに盛り上がってはいないですな。さほど行列もできていないし、混乱もなし。当日の夜でも翌日でも買えた。平和だなぁ。
  ちなみに、発売週の実売台数は約47万台。この数字を見る限り、別に悪くはない。大きな問題も起こらず、むしろ順調な滑り出し、と言えるのではないか。
  その後、発売週に比べてやや数字は落としているものの、安定した販売を継続。発売から4週で、累計100万台を突破している(2004年12月26日(日)時点で約129万台)。そして、2004年末には約150万台に到達。新ハードという目新しさとクリスマス商戦が重なり、好結果を残せたのだろう。
  しかし、これだけ販売していても本体が品薄になることはなかった。カラーバリエーションもなく、出荷も潤沢だったのだろう。それになにより、まだユーザー層が広がっていなかった。「ほしい!」と強烈に願うユーザーがそこまで多くはなかったはず。そのため、それなりに売れているにもかかわらず、大きな注目を浴びることはなかったのだろう。なお、このときの目玉ソフトは『さわるメイドインワリオ』『スーパーマリオ64DS』など。今をトキメク「脳トレ」系は、まだ発売されていなかった。
DSの週間販売台数推移
図1:2004年12月2日(木)~2005年3月20日(日)
 
■最高で1週間に5万台! ソフト不足で冬の時代がやってきた!
 発売から好調を維持してきたDSだが、2004-2005年の年末年始商戦を終えた2005年2月から事態は一変。1週間の販売台数が約22,000~30,000台と、激減してしまう(上図1)。その理由は「発売タイトルの減少」「商戦の谷間による需要減」の2点。2005年1月から2月の2ヶ月間で任天堂がリリースした新作はわずか2本。同じ時期にサードパーティが発売したタイトルも、わずか2本。タイトーの『スパイダーマン2』と、エレクトロニック・アーツの『タイガーウッズ PGA TOUR』だ。ただでさえ閑散期であるうえに、ハードを牽引するようなタイトルに乏しい。これでは、本体が伸び悩んでも仕方ない。
  また、2007年7月現在で主流となっているタッチペンで遊ぶタイトルも当時すでにリリースされてはいるが、本質を突いたものは少なかった。まさに、「冬の時代」だったわけだ。そのため、累計200万台到達までに14週間(発売週から数えると18週間)かかっている。
 
■カラバリ効果!? 春商戦で需要復活! 週平均でプラス10,000台
 大きな盛り上がりもなく、淡々と流れていった2005年1月~2月。その冬も、カラーバリエーションの登場と春商戦の到来によって終わりを告げる。
  2005年3月21日(月)、「グラファイトブラック」「ピュアホワイト」の2色が発売された。折りしも春商戦ということもあり、2006年3月21日(月)~3月27日(日)までの1週間の販売台数は約55,000台。10週間ぶりに、実売で5万台を超えたのである。さらに、4月21日(木)には「ターコイズブルー」「キャンディピンク」と、2色を追加。この週には約96,000台を販売し、すぐに落ちてしまった数字を回復させた(下図2)
  また、2005年4月21日(木)と言えば、『nintendogs』が発売された日でもある。「キャンディピンク」と『nintendogs』のセットによる、女性層の取り込みが始まった日とも言えるだろう。思えば、任天堂がことあるごとに発言する「新規層の開拓」が本当にスタートしたのは、この2005年4月21日(木)だったのかもしれない。
  「新規層の開拓」と言えば、もうひとつ忘れてはいけないのが『脳を鍛える大人のDSトレーニング(以下、脳トレ)』。こちらは2007年7月現在、言うまでもなく「高年齢層獲得の立役者」と目されているタイトル。続編の『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』とあわせて、約800万本を販売しているソフトである。しかし、『脳トレ』が発売直後から“爆発”してハードを牽引したのかというと、実はそうではない。『脳トレ』の発売日は2005年5月19日(木)で、この週のDS本体の販売台数は約3万台。今では「あれ? そんなもん?」と思ってしまう数字だ。まぁ、さすがにいきなり一般ユーザーに事前告知だけで「すげー! おもしれー!」と認知させることは難しいだろう。
  とは言え、3月から続く「カラーバリエーション」『nintendogs』『脳トレ』という“施策”が功を奏したのか、落ち込んでいた販売台数がやや上昇。2005年5月23日(月)の週以降、3万台を下回ることがなくなった。
DSの週間販売台数推移
図2:2005年3月14日(月)~2005年7月31日(日)
 
■きっかけは夏商戦!? さらなる新規層の取り込みで販売台数アップ!

 女性層と高年齢層を徐々に引き入れてきたDSに、再び転機が訪れる。『ジャンプ・スーパー・スターズ』と新たなカラーバリエーション「レッド」が発売された2005年8月8日(月)だ。両者によって、週の販売台数が実に31週間ぶりに10万台を突破。お盆ということもあり、久々に良い結果を残すことができた。さらに、2005年8月22日(月)~8月28日(日)には、累計販売台数が300万台を突破している。発売から38週間でのことである。
  そして、同日から週間の販売台数も4~5万台へとアップ。前述の“冬”の時代が2~3万台だったため、ここで2倍近く伸ばしていることになる。週刊少年ジャンプのマンガキャラクタが多数登場する『ジャンプ・スーパー・スターズ』と、『たまごっちのプチプチおみせっち』(2005年9月15日(木)発売)によって、もともと強かった低年齢層への訴求力を高めたためと推測される。
  ユーザー層を拡大してきたうえに、本来、得意としている層も強化。これらによって、販売台数が伸びてきたのだろう。そして2005年末に訪れた“地獄の全国品切状態”がやってくるのである。

 
■「Touch! Generations」最高潮! 松嶋菜々子も火に油を注ぐ!
 2005年の夏商戦以降、なかなか順調に推移してきたDSが、ついに一般にその名を知らしめるときが来る。『おいでよ どうぶつの森』(2005年11月23日(水)発売)、『マリオカートDS』(12月8日(木)発売)、そして『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』(12月29日(木)発売)という3タイトルがリリースされた、2005-2006年の年末年始商戦である。
  それまで、“売れている”とは言ってもせいぜい週に5万台、1ヶ月で20万台程度の販売台数だった本体が、2005年11月と12月は合計で217万台も販売(下図3)。それまでのペースの5倍以上のスピードで売れたのだ。
  このとき、すでに本体が300万台以上普及していたため、どんなソフトもそれなりにヒットする“土壌”ができていた。そこに好評だったGC版の続編的な位置づけの『おいでよ どうぶつの森』が登場。「すれちがい通信」などで本作もユーザーの支持を集め、2005年末時点で100万本以上の大ヒット。クチコミによって女性・低年齢層をさらに取り込むことに成功した。また、ターゲットとなるユーザー層こそ違うものの、『マリオカートDS』も同様だ。
  そして、これらの大人気を助長したのが「松嶋菜々子」である。彼女が『もっと脳トレ』をプレイするテレビCMの放送が始まったのが、ちょうどこの時期。画面に表示された自分の脳年齢が52歳であることに思わず笑ってしまう彼女の姿を見て、多くの視聴者が『もっと脳トレ』に好感と興味を持ったことだろう。本テレビCMは好評を博し、結果的に急激な需要高をより一層、引き起こしたのである。
  かろうじて年末にはまだ在庫があったものの、年始にはそれがすべて枯渇。それもそのはず。これまで、1ヶ月にせいぜい20万台くらいしか売れていなかったのに、突然1週間で40万台とか60万台も売れちゃっているのだから。お店だって、1ヶ月で20万台を売る程度の在庫しか用意していないし、任天堂の生産ペースだって同じくらいだろう。そりゃ、なくなるよ。
  こうしてDSは、長期に渡る品薄期間に突入。お店にはいつも「ただいま品切れ中です」の文字が出るようになり、たまたま入荷したのを見つけると「一期一会だ! 色がピンクなのがちょっとイヤだけど、このチャンスを逃したら次にいつ買えるかわからない!」といって、その場でレジに並んじゃう。そんな生活が始まったのだ。
DSの週間販売台数推移
図3:2005年7月25日(月)~2006年1月8日(日)
 
■ホントに買えないんだけど、任天堂はどれくらい出荷してんのさ?
 2006年1月以降、DSは「あれば売れる。いつでも在庫ゼロ」のアニヤ・ハインドマーチのエコバッグ並みの超人気商品となった(ちょっと言い過ぎ?)。「もー。ぜんぜん買えないんだけどー。どうなってんだよー?」と、購入できずにフラストレーションを貯めたユーザーも多いはず。ここで出てくる疑問が「任天堂は本当にちゃんと出荷しているのか?」というもの。
  ここで販売台数の推移を見ると、2006年3月までの数字がおよそ毎週2万~5万台(下図4)。こりゃいくらなんでも少ないよ。どうなってんだよ、おい。と、いきり立つところなんだけど、それもそのはず。DS Liteの発売直前だったため、旧DSの生産量が低下しているのだ。新型DSとも言えるDS Liteを少しでも多く供給しよう、と任天堂は考え、生産ラインをそちらに移行したであろうことは想像に難くない。
  そして迎えた2006年3月2日(木)。DS Liteの発売である。この週の販売台数は約12万台。そのうち、DS Liteは7万台弱。うぉーい ! これっぽっちかよ! クリスタルホワイト・アイスブルー・エナメルネイビーの3色が同時発売されるはずだったが、“製造工程で予期せぬ支障が生じ(任天堂)”て、アイスブルーとエナメルネイビーが2006年3月11日(土)へと急遽、発売延期という悪いニュースもあった。当然、その分の出荷が減ったということもあろうが、それにしてもいくらなんでも少な過ぎないか? そりゃユーザーも怒るわな。
  しかし、DS Liteの発売以降、毎週の販売台数が10万台を割ることはほとんどなく、それどころか平均で毎週約15万台という結果に。品薄時代直前の時期に比べ、3倍ものセールスを維持するに至った(もちろん、閑散期など季節変動もあるが)。なお、2006年1月以降の消化率はほぼ100%。出荷台数と販売台数がほとんど同じとなる。
DSの週間販売台数推移
図4:2006年1月2日(月)~2007年1月7日(日)
 
■2007年7月に累計1,800万台を超えたが生産体制は変化なし?

 2007年に入っても順調に売れ続けているDSだが、毎週の販売台数は実は2006年とあまり変わっていない(下図5)。あれ? ここまでずっと伸びてきたのに? 出せば売れるのに? という疑問を持たれる方が多いと思われるが、現実には「変化なし」なのである。
  なぜか? 推測でしかないが、考えられる理由は3つ。「急に出荷を増やして余剰感が溢れると、ユーザーの気持ちが収まってしまう」「ヘタに生産ラインを増やすと、製品のクオリティに問題が出やすくなる」「生産ラインを増やした後で急に需要が低くなった場合、トンデモナイ在庫を抱えることになる」である。
  この推測がどこまで当たっているかは不明だが、任天堂としては「今、たまたま流行しているからって安易にドンドン作れるもんかい。適度に“ほしいけど買えないなぁ”って気分のまま推移できれば、出荷分が安定して売れるだろう」という気持ちだったのではないだろうか。そして、それが2006年以降の「人気があるにも関わらず、出荷量が大して変わっていない」という結果に表れていると考えられる。いやもちろん、すでに生産体制が上限に達していたのかもしれないが。
  2007年7月に、DSの累計販売台数が1,800万台を突破した。この数字がどこまで伸びるのかはわからない。2007年8月に入って、やや品薄感は解消されてきたものの、今後『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』なんてタイトルの発売も控えている。まだまだ、本体の需要はありそうだ。しかし、これまでの経緯から、任天堂が毎週の出荷台数を大きく増やすことはおそらくないだろう。いま「ほしい!」と願っているユーザーにとっては、もどかしい日々が続くかもしれない。はたして、商品が店頭に潤沢に並ぶ日は来るのだろうか。まぁ個人的には、解消された頃には新ハードが発表されて、今度はそっちが「ほしい! ほしい!」となると思うのだが。

DSの週間販売台数推移
図5:2006年12月25日(月)~2007年7月22日(日)
※本稿における販売データはメディアクリエイトによるものです。

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