新世代ゲームハードの到来を足がかりに、大手パブリッシャーとしての存在感をますます強めているUbisoft。E3に合わせて2007年7月12日(木)の午前中に開催された同社のプレスカンファレンスにも多くの報道関係者が詰めかけ、注目度の高さを伺わせていた。
カンファレンスは、CEOのYves Guillemot氏が、ゲームビジネスのあらましを説明するところからスタート。今年はラインナップの充実度という観点からみても、Ubisoftにとって最良の年にあたるとのことで、同社は今後6つの新規ブランドを投入するほか、WiiおよびニンテンドーDS(以下、DS)向けのカジュアルゲームにも力を入れていることを強調した。
イルカを飼ってみたい! 憧れの職業を体験したい!
Guillemot氏に続いて、米国のマーケティング担当者であるTony Key氏が壇上に立ち、具体的なタイトルの紹介を始めた。まず、“Game for Everyone(万人向けのゲーム)”というキャッチフレーズとともに、カジュアル層向けに以下の3つのシリーズを打ち出すことが明らかになった。
・『Petz』(Wii/DS向け):ペットを飼育するソフト。すでにリリースされた馬、犬、ネコ、ハムスターのほか、今後はイルカやトラのバージョンも予定されている
・『Imagine』(DS向け):ファッションデザイナー、マスターシェフ、獣医、フィギュアスケート選手といった憧れの職業を体験できるソフト。6~14歳の女の子向け
・『My Coach』(Wii/DS向け):忙しい人向けの学習ソフト。単語のスペリングを学んで語彙を増やせる『My Word Coach』、“やる気”“幸福感”がテーマとなる『My Life Coach』や、外国語を学ぶ『My Spanish Coach』『My French Coach』などを予定。
なお、これらカジュアルゲームのラインナップはUbisoftの出すタイトル全体の25%を占めるとのことで、同社がカジュアル層を非常に重視していることがよくわかる。
さらに、カジュアルゲームとは別の扱いで“音ゲー”も紹介された。DSでジャムセッションを楽しめる音楽ソフト『Jam Sessions』がそれで、Key氏の“ポケットに収まるギター”という表現がまさにピッタリ。実際にDSを高出力のアンプに接続して実演が行われたのだが、タッチペンで奏でられるアコースティックサウンドの迫力には正直驚かされた。
Key氏は「Wild Thing」などのポピュラーなメロディを奏で、来場者にも合いの手を求めたが、客席から返ってきた声はてんでバラバラ。氏の「ダメだね~」の一言で場内は爆笑の渦に包まれた。
次に、Ubisoft社が掲げる“ゲームブランド戦略”の一環として、既存の人気ブランドの紹介ビデオが上映された。その中には『Splinter Cell: Conviction』『Tom Clancy's EndWar』といったシリーズ新作が含まれていたのはもちろんだが、さらに、『Naruto Rise Of A Ninja』『CSI: Hard Evidence』『Lost: The Video Game』というように、高視聴率テレビ番組のゲーム化が予定されているのも印象的だった。
『Brothers in Arms』新作で、本物の陸軍大佐が来場者に喝!!
既存ブランドの代表としては、第2次世界大戦時の米軍空挺部隊の活躍を描くミリタリーアクション『Brothers in Arms: Hell's Highway』(PS3/Xbox 360/PC向け:発売日未定)が紹介された。まず、本作で軍事顧問を務めるJohn Antal陸軍大佐が、軍隊式の掛け声とともに威勢よく登場。よく通る声で「みんな戦え! 怯むな! 攻撃の手を休めるな!」と叫び、客席の人々にも唱和させた。こうして会場がにわかに活気づいたところで、実機によるデモプレイが始まった。
戦闘と部隊指揮を同時にこなす本作のデモでは、部隊を率いる主人公が配置や援護攻撃などの指示を下しつつ、同時にナチス兵を掃討していくシーンを一通り見ることができた。戦場は遮蔽物も破壊可能なことから、一触即発の危機が待ち受けているようだ。面白いのは、自分の姿勢や位置によって被弾する可能性が高くなると、画面全体が次第に赤っぽく変色すること。部隊指揮に気を取られているときなどは特に、効果的な警告といえるだろう。
配下の兵士にはそれぞれ人物背景が用意されているとのことで、彼らの挙動もなかなかリアル。通常行動時には声をひそめ、銃撃戦の真っ最中には大声を張りあげるといったところに芸の細かさが感じられる。また、弾薬を交換する、負傷者を介抱するといった振る舞いもあって、戦友とともに危機をくぐり抜ける一体感が楽しめるゲームになりそうだ。
既存ブランドの次は、いよいよ新規ブランド。Wii向けのバイクレーシングゲーム『Nitrobikes』、PS3専用のアクションシューティング『Haze』に続いて、今回のカンファレンスの最大の目玉である『Assassin's Creed』のデモンストレーションが始まった。
これこそ新世代ゲームのスタンダード! 『Assassin's Creed』デモ
壇上に立ったJade Raymondさんは、海外ゲームメディアの間では美人プロデューサーとしてすっかりおなじみ。彼女が説明をする一方、本作のクリエイティブディレクターであるPatrice Desilets氏が、実機によるデモプレイを行った。
日本初!?
美人プロデューサー
Jade Raymondさん
プレゼン動画 |
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本作は、12世紀の中東地域を舞台に、実在した暗殺集団に属する主人公Altairの活躍を描くアクションアドベンチャー。今回のデモでは、史実を忠実に再現したエルサレムの街を舞台に、奴隷商人の暗殺任務の一部始終を見ることができた。街の建物は全てインタラクティブに関わることのできるオブジェクトで、壁をよじ登る、支柱を伝うといった行動を繰り返すことで、ほぼどこにでも行くことが可能。また、デモの冒頭、主人公が高所から地上を見渡すところでは、街の人々が大勢ひしめているのがわかるが、それらはみな独自のAIを持つNPCで、Altairの行動に応じてさまざまな反応を見せる。
デモの中で、Altairは衛兵の1人を高所から突き落として他の衛兵の注意をそらし、難なく奴隷商人の屋敷へ侵入。だが、屋内では数人の敵に取り囲まれ、激しい戦闘になだれ込むことになる。そして、逃走した奴隷商人を追って暗殺に成功するが、任務はまだ終わりではない。今度は群集をかき分け、衛兵を振り切って現場から脱出しなければならないのだ。ようやく藁の山に飛び込んで身を隠したところで、デモは終了。
このデモの基本的な内容は、2日前のMicrosoftプレスカンファレンスで披露されたものとほぼ同じだったが、毎回プレイするごとに異なる展開になるようで、前回より若干長めのデモになっていた。いずれにせよ、その内容は非常に満足度の高いもので、来場者は惜しみない拍手を贈った。
今回のカンファレンスを振り返ってみると、やはり『Assassin's Creed』は、ゲームハードが世代交代を遂げるこの時期において、Ubisoftの期待を一身に集めていることがわかる。デモを見るかぎり、本作はゲーム性、技術水準、アート性のいずれもトップを走っていると見られ、しかも完全オリジナル。Ubisoftに限らず、ゲーム市場全体においても、フラッグシップの役割を担っているように感じられたのだった。 |