イベントレポート
 
『ドラクエIX』の「あの曲」も披露!?
「ドラゴンクエストの世界」
2007.08.10
関連URL:「すぎやまこういちの世界」公式サイト
 
  2007年8月9日(木)、『ドラゴンクエスト』シリーズや『風来のシレン』シリーズなど、数多くのゲームミュージックを生み出しただけでなく、歌謡曲、アニメ、映画などの音楽も幅広く手掛けている作曲家・すぎやまこういち氏による「ファミリークラシックコンサート ~ドラゴンクエストの世界~」が、東京・池袋にある東京芸術劇場にて開催された。
 第21回目となる今回は「交響組曲 ドラゴンクエストVI」と題し、先日ニンテンドーDSでのリメイクも発表されたシリーズ第6作目『ドラゴンクエストVI ~幻の大地~』(以下、『ドラクエVI』)の楽曲を中心に組み立てたものとなった。

※各写真をクリックすると、拡大版が ご覧になれます。
■『VI』は音楽的に大きな冒険をした作品
 開演に先立って行われた囲み取材で、すぎやま氏は今回のプログラムについて「東京では長らくやっていない曲をやろう、ということで今回は『ドラクエVI』にしました。調べてみたら、前回東京で"交響組曲 ドラゴンクエストVI"をやってから、もう11年も経ってるんですよ」と説明。折良くリメイクのニュースも重なったが、これについては「特にそうした意図があったわけではなくて(笑)」と苦笑い。結果的には『ドラクエVI』のリメイクを予言したような形になったが、どうやらまったくの偶然だったようだ。

 また『ドラクエVI』については、「ユーザーの間では『IV』や『V』に比べて印象が薄いなんて言われてますが、僕自身はけっこう楽しみにしてるんです。"空飛ぶベッド"や"エーゲ海に船出して"とか、特に音楽に対する思い入れが深い作品ですね」とコメント。氏によれば、シリーズの中でも『ドラクエVI』は、音楽的に大きな冒険をした作品なのだと言う。

「"悪のモチーフ"というフレーズを作って、それを積み重ねてあらゆる曲を構成していく、ということを初めてやったんです。魔王の曲はもちろん、魔王の手下との戦い、塔やダンジョンの曲など、魔物が出てくるような場面ではすべてこの"悪のモチーフ"が、形を変えたり、裏返ったりと様々な形で出てきます」(すぎやま氏)

 この"悪のモチーフ"とは、「ラソ(#)ファミ」というわずか2小節のフレーズ。実際にプレイした人なら、ダンジョンに入ってすぐの「タッタタタ~」とか、戦闘開始後の「――ッダ~ダダダ」がそれ……と言ったら伝わるだろうか(あまり伝わってない気がする)。とにかく『ドラクエVI』の楽曲では、このフレーズが少しずつ形を変えながら、曲のあちこちに登場するのが特徴。リメイク版をプレイする際には、この"悪のモチーフ"に注目しながら遊んでみるとなお楽しいかもしれない。

 
■リメイク版では、"序曲"が生オケで収録される!?

 DSでの『ドラクエ』3作品のリメイクについて尋ねられると、「『IV』については、すでにあるていど音調整は終えているんですが、DSの内蔵音源でこれだけ音楽的なものができるのかと正直驚いています。たぶんDSでは初めてと言っていいほどの"いい音"ができつつありますよ(笑)」と自信満々。また、まだ確定ではないとしつつも「できれば"序曲"だけでも生オケで流したいなと。これについては、DSのメモリの制約などもあるんですが、スクウェア・エニックスのみなさんも情熱を持って取り組んでくれています」との新情報も。ぜひ生演奏による"序曲"がDSでも聞けるよう、スタッフとすぎやま氏のがんばりに期待していよう。

 また、気になる『ドラクエIX』の曲の進捗状況については、「まだゲームの全体像が見えていないし、今は天才・堀井雄二さんのひらめき待ちといったところです」とのこと。

「やっぱりね、天才を相手にするときはひらめき待ちが一番大切なんです。かといって何年も待っているわけにはいかないよね、企業としては(笑)」(すぎやま氏)

 ひとまず現時点では、プロモーションなどで使用さていた冒頭の何曲かを除けば、まだ『IX』の楽曲については保留状態の模様。ファンとしては一刻も早くすぎやま氏が楽曲を書けるように、堀井雄二氏に奮闘していただきたいところだ。

 
■『ドラクエIX』の「あの曲」も初披露!

  約3時間にわたって行われたコンサートでは、おなじみの"序曲"に続いて"王宮にて"、"木洩れ日の中で"と、『ドラクエVI』を代表する楽曲が次々と演奏された。筆者も『ドラクエVI』は発売当時遊んだきりだったので、久しぶりに聞く楽曲も多かったのだが、どれも耳にした瞬間、木洩れ日がさすライフコッドの村や、霧に包まれたムドーの城など、当時の映像がありありと蘇ってきたのには。あらためて聞いてみると、すぎやま氏お気に入りの"空飛ぶベッド"や"エーゲ海に船出して"はもちろん、聞いただけで寒気がするような"ムドーの城"、軽快なリズムの中にもどこか不安さを感じさせる"迷いの塔"など、本当に名曲が多いタイトルだったんだな、ということを再確認させられた。

 さらに嬉しいファンサービスとして、アンコールではなんと『ドラクエIX』用に考えているという、"序曲"の新バージョンも披露。

「DSで始まる新たなシリーズということで、『ドラクエIX』ではお馴染みの"序曲"をちょっと変更してみようかと考えています。といっても、基本のメロディはやはりトレードマークですから、ここは変えません。今回は仮に、1コーラスほどブラスアンサンブルを入れて、イントロはスネアドラムにしてみました」(すぎやま氏)

 これには観客も大喜びで、わずか1分前後の短い演奏だったにもかかわらず、演奏後はしばらく拍手が鳴りやまなかったほど。すぎやま氏も「こんなに一杯拍手をいただくと、これで決まっちゃいそう(笑)」と笑っていたが、今後はさらにいろいろな意見を取り入れながら、完成に近づけていきたいとのこと。文章では詳しくお伝えできないのが残念だが、曲全体としてはこれまでのイメージを受け継ぎつつ、イントロにスネアドラムを持ってきたことで、"入り方"をがらりと変えてきた――という印象。いずれにしても、DS『ドラクエIX』の完成版ではどのようになるのか期待したいところだ。

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