『グランツーリスモ5 プロローグ』(以下『GT5 プロローグ』)は、PS3用タイトルとして2007年12月13日(木)に発売が予定されている“ドライビングシミュレーター”。単なるレースゲームの枠を超え、収録している車両のエンジン特性から空力影響、タイヤの摩擦までをリアルに再現することを目指して作られている。その再現度は、シリーズを通して高く評価できるタイトルだ。最新作の『グランツーリスモ5』は現段階ではまだ2008年発売としか発表されていないが、それに先駆けて『GT5 プロローグ』がパッケージ版とダウンロード版の二つの形式で販売される予定となっている。10月20日(土)より、その体験版が無料でPLAYSTATION Storeよりダウンロードすることが可能となっている。
その無料体験版の中では、すでに「NISSAN GT-R」が登場していた。しかしその姿は、日産自動車よりこれまで公表されていた“マスク”をつけた「GT-R」。2007年6月に行われたテスト走行の際、本当の姿を隠すための偽装パーツとしてフロントとリアにつけられた黒い“覆面”をかぶったものだった。
本日「東京モーターショー 2007」で行われた「NISSAN GT-R」の発表会で、初めてマスクの無い姿が公表されたのだが、それと時を同じくして、『GT-R プロローグ』体験版の中でも「ニューモデル発表の時間になりました」と言うダイアログが表示され、まるでプレス発表会のような除幕式(アンヴェイル)が行われた。
それを受け、「東京モーターショー 2007」では、『グランツーリスモ』シリーズのプロデューサーであり、その開発会社であるポリフォニー・デジタルの代表取締役である山内一典氏と、日産自動車で「NISSAN GT-R」の開発に携わる水野和敏氏、マーケティングに携わる加治慶光氏が、『GT5プロローグ』ブースに設けられたステージに登壇して、プレス発表会が行われた。
山内氏は、今回の実車の発表と連動して『GT5 プロローグ』内でも除幕式が行われたことに触れ、「このような試みはおそらく世界でも初めてだろう。しかしこれだけではなく、今後もさまざまな試みを行っていきたい」と、これからも今回のような驚きを用意したいと考えていることを告げた。今回の“コラボレーション・イベント”でもわかるように、山内氏サイドと日産サイドの結びつきは非常に強い様子。自動車デザインの現場では、発売前の車両に関する機密は非常に堅く守られているものであり、他社にあたる山内氏が事前にそのデザインをゲーム中に取り入れるというのは、まさに前代未聞と言えるほどのことだ。『グランツーリスモ』シリーズが自動車メーカーからも非常に高い評価を受けていることを現しているといえるだろう。実際、今回の「GT-R」のコラボレーションに関しては、日産側から山内氏に連絡があり実現したそうだ。そして、ゲーム中のモデルの形はもちろんのこと、塗装の質感まで日産の加治氏が開発現場に赴いてアドバイスしたという。
発表会では、山内氏と日産の水野氏、加治氏の座談会形式で進められたが、その中で非常に印象に残るコメントが飛び出した。それは、水野氏が口にした、「いや、今は(向かい合って)離れて座ってますが、山内さんはGT-Rの開発チームの一員ですから」と言う言葉。実車の開発段階から何度もテスト走行に参加している山内氏は、一年前のスカイラインセダンの3Dホログラム広告の製作も行ったというが、話はそれだけに留まらなかった。
「NISSAN GT-R」には、マルチファンクション・ディスプレイと呼ばれる集中型デジタルパフォーマンスモニターが標準装備されている。(リンク先公式サイト写真、ダッシュボード中央部分モニタ)これは、マシンや走行の状態をドライバーに伝えるための装備で、走行時の情報が逐一記録される。ステアリング、ブレーキングの状況を記録して後で確認したり、トランスミッションのタイミングをチェックしたりすることが出来る。このインジケータには、そのほか燃料消費状況を確認するエコランのインジケータなど合計11種類もの表示が用意されていて、ドライバーは必要な情報を見やすいようにプリセットしてチェックすることが出来る。これにより、自動車開発中にサーキット内で得る走行データのようなものを、一般のドライバーが活用することが可能になる。
この装備は、「レーシングカー」と言うジャンルにおいても画期的なものだが、なんとこれを企画して開発したのは、山内氏とポリフォニー・デジタルだというのだ。山内氏の発案に日産のチームが賛同し、一気に作り上げたそうだ。そしてこれは、『グランツーリスモ』シリーズで培われた技術が生み出したという。 前述のとおり、自動車開発における機密性の高さは非常に高い。いくら親密な関係であろうとも、そう簡単にその開発状況を見聞きできるようなものではない。しかし、それを見聞きするというレベルを超えて、その機能を企画し開発したというのであるならば、それはもう「開発チームの一員」と言う言葉に偽りは無いといえるだろう。そして、このような連携は、まだまだほんの一部であると言う。これからも、もっとすごいことが待っていると自信満々の表情でコメントしていた。
その後山内氏は、『GT5 プロローグ』に用意された魅力を“自動車ファンに向けて”説明した。もちろん、先日行われた「東京ゲームショウ 2007」などで読者にはおなじみのことかも知れないが、特に“自動車ファン”向けと言うことで告げたのは直接のゲーム部分ではなく「グランツーリスモTV」と「ディーラー」。
「グランツーリスモTV」は、『GT5 プロローグ』に用意された“オンラインコンテンツ”。インターネットに接続したプレイステーション3ならば、さまざまな“クルマ好きには堪らない”動画番組を受信して楽しむことが出来る。従来明らかにされていた番組のほか、イギリスBBC放送の人気番組「TOP GEAR」も放送されることが発表された。この番組は、SUVと犬ぞりでどちらが早く北極点につけるかを競うなどといったくだらなくもワクワクする企画を放送していることで有名な番組。今後も、海外では放送されているが日本では見ることが出来ない、またはその逆のコンテンツをどんどん提供していきたいという。
また「ディーラー」機能に関しては、車種を選択するという従来の機能のほか、その自動車メーカーがショウルーム内にムービーを流してプロモーションを行ったり、そのメーカーが販売してきた車ごとの歴史を閲覧することが出来ると言う点を紹介。これもインターネットを通して実現することで、そのメーカーの様々な情報を配信される予定となっている。
クルマメーカーのメリットはもちろんのことながら、自動車ファンにとっても、家にいながらにして贔屓のメーカーのショールームを訪ねて最新のプロモーションビデオを見たり、新車だけでなく往年の名車の情報を得られるというのは堪らない楽しみになることだろう。山内氏はこれを“グランツーリスモライフ(生活)”と呼んだ。
このように、単にレースゲームファン層のみならず、自動車ファンと言う層へも強くアピールする『グランツーリスモ』シリーズ。発表会の会場に、ゲームメディアだけではなく多くの自動車メディアが駆けつけたことからも、その状況はうかがうことができるだろう。
イベントの最後は初お披露目となる『GT5 プロローグ』のオープニング映像が公開され、公式サイトでも公開されている登場車種がレース場を疾走する姿が、70インチの大型テレビで公開された。「実は解像度が1920×1080もあるんです。通常のフルHDの4倍の情報量の映像となっております」と山内氏から説明があった映像は、実写と見紛うクオリティ。その場に居合わせた報道陣はただただ驚きで、映像を食い入るように見ていた。
「東京モーターショー2007」の会場にある『GT5 プロローグ』ブースでは、体験版をドライビングシートでプレイすることができる試遊台が14台出展されているほか、『GT5 プロローグ』の各種映像の公開や、11月11日(日)に発売される新型PS3を実際に見ることができる。
プレイステーション3でのはじめての『グランツーリスモ』の登場まであとわずか。期待して待っていよう。
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