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15年の集大成を、15年経ても同じ勢いで 『エストポリス』関係者に訊く |
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★小島創氏
ちなみに、「いにしえの洞窟」では「レベルブレイク」できません。全滅するとレベル1に戻されて最初のフロアに戻されます。
――本編とは別に用意されているという、難易度の高いダンジョンですね。
★小島氏
そうですね。「いにしえの洞窟」はやり込み派のプレイヤーに向けて用意したダンジョンなので、かなり厳しい条件が設定されています。「いにしえの洞窟」に限らず、やり込もうという場合は「レベルブレイク」には頼れないようになっているんです。
――先日の第5報 でも紹介した「いにしえの洞窟」。これは、ゲーム本編を開発した上で作るのは、かなり大変ですよね。
★宮田氏
もう、かなり大変で、時間が足りなくなったら外すのも止むを得ないという覚悟ではいました。
★小島氏
オリジナル版を面白いと言わしめている要素のひとつなので、できることなら切りたくないですが、「いにしえの洞窟」がなくてもゲーム本編は成立しますからね。宮田さんには「ホントに間に合わない場合は、外します」と何回も伝えていましたし…。
★宮田氏
そんな脅しに耐えつつ、「間に合います」と私が言い続けていたわけです(笑)。
★小島氏
後半は私が自分で「いにしえの洞窟」をプレイして、各フロアのゲームバランスを見ているんですよ。最下層までかなりのフロア数がありますからね、バランスにも気を使います。何回潜ったかわからない(笑)。
――「いにしえの洞窟」はプレイ時間といいますか、どれくらい遊べるものになっているのでしょうか。
★小島氏
いきなり最下層まで降りるのは、かなり難しいと思います。寄り道せずに降りていくだけでも、5、6時間は優に超えますし。
★宮田氏
途中でセーブもできませんから、降りはじめたら行けるところまで行くしかないですね。潜ったら、帰ってくる以外にセーブする手段が用意されていないんです。一気に行ってください。
★小島氏
途中、レアアイテムが中に入っている「青い宝箱」という特殊な宝箱があって、ここから入手できるアイテムはダンジョンから持ち出せますし、持ち込むこともできます。しかも、かなり強力なラインナップになっています。
★宮田氏
当然ですが、「青い宝箱」で手に入れたレアアイテムは、ダンジョンから帰還してセーブを行って、ようやく確保したことになります。毎回の探索では「青い宝箱」をいくつ手に入れて、そして引き際をどこで見極めるかというスリルを味わえます。
★小島氏
基本的には、この「青い宝箱」の中身を集めるのが「いにしえの洞窟」の目的となります。回収して中身を持ち帰るほど、次回の探索が楽になりますから、初回で最下層まで降りるのは相当難しいです。
★宮田氏
何回か潜って帰還して、「青い宝箱」のレアアイテムで装備を整えてから最下層を目指すことになるはず。あと、「いにしえの洞窟」で入手できる装備はゲーム中最強クラスなので、本編に持ち帰ると大暴れできて楽しいと思いますよ。
| 「初心者への配慮」と「やり込み要素」 難しいバランス |
★小島氏
ゲームバランスの調整というのは、本当に一筋縄ではいかない作業だと思います。今回の『エストポリス』では「レベルブレイク」で初心者に配慮する一方、オリジナル版のファンも納得するかたちで、「いにしえの洞窟」というやり込み要素を取り入れていますし。
――「レベルブレイク」は画期的ですよね。“全滅したからレベル上げよう”だと投げ出される可能性もありますが、“全滅したから「レベルブレイク」で5レベルあげよう”なら手軽ですし。
★宮田氏
正直、今の時代だとレベル上げは面倒だと思うんですよ。結果としてレベル上げが必要なら、こちらで用意してあげてもいいじゃないか、と。
★小島氏
今、ユーザーさんがゲームに求めていることって、色々試して頑張ろうではなくて、爽快に遊べることだったりします。レベル上げはRPGならではの楽しみでもありますが、一方で爽快さを損なわせる要因にもなり得るので、慎重にバランスをとる必要があります。
――私はレベル上げ大好きですし、訪れた町で最強の装備を買いそろえるまでは次の町へいかない、という人間ですね(笑)。
★小島氏
私も個人的にはそうなんですが、結果としてさらに多くの方がエンディングまで楽しめる手助けになっていますから、「レベルブレイク」は必要な要素でした。
★宮田氏
使う、使わないを選択する自由はありますしね。
――なるほど。では、今までお話いただいたゲームバランへの配慮も踏まえると、『エストポリス』のターゲットはどういった層になるのでしょうか?
★小島氏
基本的には、弊社のゲームやキャラクタが好きな方です。私たちのゲームって、RPGとアクションの要素が融合した作品が多かったりするので、『エストポリス』のゲーム性も楽しんでいいただけると思います。また、主人公たちも個性が際立っていますから、キャラクタが好きな中学生、高校生といった学生のユーザーさんにも受け入れられるのではないでしょうか。
もちろん、『エストポリス』シリーズという原形があってのことなので、当時からのファンへ向けたつくりというのは絶対に必要なことです。
――当時のファンに向けてという意味では、特に宮田さんは気を使われている部分が多いのではないですか?
★宮田氏
シナリオは当時から面白いと言っていただていましたが、それでも今のテイストに合わせる必要がありますから、15年前の雰囲気は残しつつ、マキシムたちの新たな冒険を見せるつもりで書いています。昔は語りきれなかった部分が明らかになったり、マキシム一行の新たな一面を知って楽しんでいただきたいですね。
★小島氏
『エストポリス伝記II』を発表した当時って、宮田さん25、6歳くらいですよね。シナリオも今、冷静に見返してみると結構強引な部分もあるんですよね(笑)。
★宮田氏
うん、それは確かに(笑)。きちんと語れていなかった箇所も、今回フォローできて良かったです。
――ちょっと脱線しますが、宮田さんが『エストポリス伝記II』を開発していた当時は、どのような状況でしたか? 現場を取りしきる立場としては若いと思いますが。
★宮田氏
私がネバーランドカンパニーの立ち上げメンバーだったので、必然的に若くても現場を見る立場になったということです。会社設立とほぼ同時期に前作の『エストポリス伝記』を作っていて、『エストポリス伝記II』もそれから2年も経たないくらいでの発売ですからね。
――となると、22、3歳のころにネバーランドカンパニーを立ち上げたんですね。だいぶ思い切りましたね。
★宮田氏
立ち上げには、私と、同い年の社長と、もうひとりの3人が関わっていますが思い切ったというか、初めのころは私のアパートで仕事していましたから…。何も考えず、勢いだけでやっていたような気はします。
★小島氏
あれもやろう、これもやろう、間に合わないかもしれないけど、でも、やろう! みたいな時代でしたからね。
今回の『エストポリス』はちゃんと作っていますけど、そういう当時の勢いは大事にしたいという話はしていて、作って納得できないなら崩して、また作るの繰り返しでした。管理する立場としては大変でしたが…。
★宮田氏
毎週、進行スケジュールを組みなおしていました。
★小島氏
普段なら、ブレーキを踏んでいる時期でもアクセル全開で作っていましたから。
★宮田氏
今回は、誰もブレーキを踏む人がいなかった(笑)。
――マスターアップまでは苦難の道だったようですね。
★小島氏
あとひとつ●●●●●が発生していたら、▲▲▲が■■ていたと思います。
★宮田氏
ギリギリでした…。
★小島氏
今は、ギリギリまで作れて良かったと思います。
――ニンテンドーDS向けに制作したことで、良かった点があれば教えてください。
★宮田氏
どんな状況でも、仲間の切換えをタッチして行えるんです。仲間は全部で6人いますが、各キャラクタを瞬時に切り替えられるので、タッチスクリーンを利用できたことが最大の利点だったと思います。
★小島氏
攻撃のモーション中に仲間を切り替えてキャンセルをかけ、コンボをつなぐのが可能なくらい、俊敏なキャラクタ切換えを実現しています。よく、LRボタンででトグルを回してメニュー項目を切り替えるという仕様を見ますが、あれでは一瞬の操作に対応できなくて煩わしいですから。
あとは、先ほど“作って納得できないなら崩して、もう一度”という話をしましたけれど、素早く作り直せる点もDSの利点です。
★宮田氏
DSだからこそできたソフト、というのはありますね。あるマップにもうひとつギミックを増やそうとした場合、DSなら素早く対応できるんです。据置きハードの場合、そんな簡単にはいきませんから。
★小島氏
勢いを大事にガンガン作っていこうというタイトルに対して、ニンテンドーDSはすごく良いハードだと思います。
――では、逆にニンテンドーDS向けに制作したことで、苦労された点はありますか?
★宮田氏
苦労ではないですが、限られた容量をできる限り有効活用するようにしています。どこの場面でも、ハード性能を限界まで引き出していると思いますね。
★小島氏
当初、グラフィックだけで軽くROMの容量をオーバーしたので、音声に大幅な圧縮をかけて。ただ、データに圧縮をかけると今度は読みだす際に解凍が必要になってメモリを食いますから、バランスが難しいんです。
――容量との戦いというあたりは、15年前と似た状況だったのではないですか?
★小島氏
最後は本当に、1ポリ(ポリゴン)、2ポリを削って容量の限界と戦っていました。
★宮田氏
DSはまだ、そういう職人芸が必要とされるハードではあります。
――音声を圧縮したということですが、オリジナル版にはなかったボイスを導入したのはかなり大胆な決断ですね。
★小島氏
先ほどキャラクタ好きのユーザーさんに訴求したいとお話しましたが、そうなるとイラストを改めることに加えて、各キャラクタにボイスを導入した方がキャラクタのイメージがつかみやすいと思いました。
――宮田さんは、音声の導入に関してはどんな感想をお持ちですか?
★宮田氏
キャラクタのイメージがつかみやすくなるので、音声が収録されている方が良いと思います。キャスティングも、ベテランの方から旬の方まで揃う絶妙な塩梅だったので、ボイスに関しては非常に満足です。
★小島氏
基本的にゲームの音声収録は、声優さんおひとりずつ収録しますが、今回は掛け合いのシーンではできるかぎり同じ場で収録してもらっているので、臨場感が出ていると思います。
――収録は大変でしたか?
★小島氏
収録そのものよりも、データとして収める方が大変でしたね。音声はそのままだと容量が大きいので圧縮するわけですが、どこまでなら圧縮して聞き取れるのかというギリギリの線まで、圧縮率を見極めています。最終的には、録った音声はほぼ全てソフトに乗せられました。
――では、最後にユーザーさんへのメッセージを戴こうと思います。オリジナル版からのファンの方、新しく『エストポリス』に触れる方に対してひとことお願いします。
★小島氏
原作のファンの方はDS版が「結構、変わっている」という情報を耳にして、不安になっている方も多いんじゃないかと思いますが、変わった部分はもちろん、変わらない部分も楽しんでもらえるのが本作ですので、安心して手にとっていただきたいです。「これだから、『エスト』だよね」という部分は全てそのまま収録しています。
新しいユーザーさんに関しては、『エストポリス』は勢いを大事に面白いことは何でもやろうと作った作品ですので、オモチャ箱みたいな感じをぜひ楽しんでもらえれば、と思います。
★宮田氏
今回新たにシナリオを作り直しているので、特に「ティア」はデザイン、口調などが大きく変更されています。当時のファンの方は、そういった違いを楽しんでほしいですね、あとは、印象的なイベントはすべて残しているので、同じイベントでもDSだと「こんな感じになるのか」という部分に注目していただきたいと思います。
新しく『エストポリス』に触れる方は、アクションとパズルの融合を頑張ってみたのでシステム面でも楽しんで欲しいですし、初めて読むシナリオもぜひ期待してください。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
(ジーパラドットコム編集部/広田貴久)
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| 『エストポリス』 |
| ハード: |
ニンテンドーDS |
| ジャンル: |
アクションRPG |
| メーカー: |
スクウェア・エニックス |
| 発売日: |
2010年2月25日(木)予定 |
| 価格: |
5,980円(税込) |
| プレイ人数: |
1人 |
| CERO審査: |
「B」(12歳以上対象) |
| 予約特典: |
「波動ディスク」ゲームBGMをアレンジした楽曲、ドラマCDを収録 |
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