イベントレポート
 
『迷宮組曲2』が実現する!? 高橋名人の新譜発売イベントを密着レポート

2010.01.20

高橋名人 OFFICIAL SITE 16SHOT
 

 2010年1月16日(土)、東京・秋葉原にあるアニメイト秋葉原において、ハドソンの新譜「高橋名人伝説 ー魂の16連射ー」の発売記念イベントが開催された。

 こちらのCDは、ハドソンの“名人”として活躍する高橋名人の新盤であり、イベントはその発売を記念して開催されている。収録内容は、『スターソルジャー』『ボンバーキング』『ヘクター'87』などハドソンの名作タイトルのBGMにアレンジを加えたものだ。
 制作には、「東方Project」のアレンジCDを手がける同人サークル「IOSYS」が参加しており、原曲のアレンジに加えて、高橋名人自身のヴォーカルも披露されている。

▲左から、「IOSYS」の「はかせ」さん、高橋名人、ゲストのゲームアイドル・杏野はるなさん

 会場には高橋名人と「IOSYS」のスタッフ「はかせ」さん、さらにゲームアイドル・杏野はるなさんをゲストに迎え、CDを予約したファンを30人ほどを各回招き、同日3回実施。イベント内容は、CDに収録された作品に関して高橋名人が当時のできごとなども交えつつ語るというスタンスで、ファンは1時間ほどの濃~いトークやゲーム大会を楽しんだ。

※写真をクリックすると、拡大したものを見ることができます

『ボンバーキング』 ゲームキャラバンでのあれこれ
 まず高橋名人は『ボンバーキング』に関して語りはじめ、実は本作が外部からの持ち込み企画だったことが明かされた。プレゼンを受ける課程で「カラオケモードもあります!」などの売り込みが功をそうしたのか、採用されることになった。

 また、高橋名人は”名人”として活躍していた1980年代からすでに自身の歌を「ゲームキャラバン」 で披露することが多々あり、大会に参加した子供たちと合唱した思い出があるそうだ。そこで『ボンバーキング』のテーマをキャラバンで歌うことになった際、曲がゲームで使われた原音のままで、居合わせたボーイソプラノの子ですら「高すぎて歌えなかった」という。

 ちなみに当時、キャラバン用に『ボンバーキング』の着ぐるみが制作されており、予算は100万円ほどかかったようだが、これは当時としてはそれほど高コストではないとか。
 名人は「20~30年くらい前にバイトで、ウルトラマンとか仮面ライダーの(着ぐるみの)中に入っていた」そうで、「『ボンバーキング』のメチャ暑い着ぐるみを着る、新人の大変さがよくわかった」ので、「終わったらビール、好きなだけ飲んでいいから!」と、イベント中に小声で励ましていたそうだ。

「ゲームキャラバン」…1980年代に、日本全国を巡って開催されたハドソン主催のゲーム大会。小学生を中心に、多くの子どもたちが夏休みなどに参加した

▲『ボンバーマン』シリーズでありながら、ハードなSFテイストを盛り込んだ異色作『ボンバーキング』。サンソフトより続編がゲームボーイで発売された


『ボンバーマン』 着ぐるみのヒ・ミ・ツ
 ここまでの話の流れを受け継ぎ、『ボンバーマン』についても着ぐるみが話題に。

 
発売されている作品のイラストやゲーム画面を見てもらえれば一目瞭然だが、『ボンバーマン』の手は丸いボールのような独特の形状となっている。そのような特殊な形状を、着ぐるみでは内部から木の棒を外部へ突き出すことで、「手」としている。
 『ボンバーマン』の着ぐるみで動き続けて汗をかくと、件の木の棒に沿って汗が流れてくるそうで、ベタベタの手で子供たちと握手して驚かせたこともあったそうだ。

 これまた余談ではあるが、ハドソンは伝統的にゲームキャラクタの着ぐるみを制作することが多いらしく、『桃太郎電鉄』シリーズの「キングボンビー」なども作られている。そのキングボンビーは空気を入れて膨らませる方式で、「内部は涼しい」と名人の談。もし、人間が入らずロボットに動かさせれば、それこそバッテリーが切れるまでかなりの長時間動作してくれるという。

 一方で、『ボンバーキング』に代表される一般的な着ぐるみは、どんなにがんばっても暑くて20分以上は着ていられない。実際、某ネズミーランドのイベントにおいても、キャストが舞台にあがる時間は20分くらいになっていたりして、興味深い。


『ヘクター'87』前編:京大を捨てた“天才プログラマー”
 ここでトラブル発生! 杏野はるなさんが次のお題である『ヘクター'87』をファミコンに差し込んで電源を入れたところ、何回やっても「バグって」しまう。

▲最近のゲーム機ではお目にかかれない現象。『ヘクター'87』がバグって動かない!

 会場から「綿棒で掃除」「フーッってやれ」と声がかかる中、おもむろに立ち上がった名人。ファミコンに差したままのソフトを上からガンガン殴り、「こうすればOK」と断言。

 会場は「名人…?」とドン引きだったが、名人によれば「ずれた端子がかみ合わないから、上から叩いて均一にしただけ。フーッとかやっても意味ない」「任天堂の副社長が昔、部下の持ってきた試作品のゲームボーイを放り投げて、”この程度で壊れるようではダメだ”と言ったという逸話を知っているかい? 任天堂ハードはそういう堅牢な設計思想に基づいているから、大丈夫」とのこと。そして、実際にバグは回復した!

 なお、“名人方式”でバグ状態を回復してみようという人は、自己責任において叩いてください。

▲名人が『ヘクター'87』に掌ていを喰らわす! ▲会場の反応とは裏腹に、バグから回復する『ヘクター'87』

 さて、『ヘクター'87』というタイトルだが、どのような意味だろうか? 先に答えを言ってしまうと、作ったプログラマーのあだ名だ。ここでは、天才と称されるプログラマー「ヘクター」の逸話が明らかに。

 1983年、ハドソンは「天才募集」というコンセプトを打ち出して、新たな人材の発掘を行っていた。そこに応募してきた後の「ヘクター」ことオヤマ氏は、当時京都大学の2回生。京都からVT250(バイク)で東京のハドソンへ就職の直談判に来たものの、「早まるな。京大を卒業しろ」と面接官に断られる。

 だが、ここからがオヤマ氏のすごいところ。ハドソン東京支社から実家のある熊本へ直帰して、両親に京大を退学する旨を告げ、続いて京都に舞い戻って本当に退学手続きをすませる。そして、再びハドソン東京支社の面接官を訪ね、「退学したから、入社させてくれ」と言い放ち、その熱意を買われて同社に就職することになったのだそう。


『ヘクター'87』後編:時代! タイトルの命名は……
 さて、タイトル名の真相。高橋名人いわく「けっこう記憶があいまい」な部分もあるそうだが、以下のとおりだ。名人たちが当時、レーザーディスクで観たアメリカの映画に、他の惑星に移り住んだ主人公一行をサポートするロボットが登場する。その名も「ヘクター」。

 一方、ハドソンに入社したオヤマ氏は、当時日立の「ベーシックマスターレベル3」というコンピュータのソースコードを完璧に扱って移植作業を行えるということで、社内でも評判になっていた。そのあまりにも完璧な仕事ぶりに感銘を受けた名人はじめとする社員より、「ヘクター」というあだ名がオヤマ氏に授けられたというわけだ。

 ちなみに、『高橋名人の冒険島』をファミコン用に移植したのも「ヘクター」であり、評判がさらに高まったことで、『スターソルジャー』の次作として彼のあだ名を冠した『ヘクター'87』が発売されることとなった。
 またも余談だが、当時の開発現場を訪れた副社長の、「このゲームの主役、オマエ(高橋名人)やれよ」という鶴の一声により、『高橋名人の冒険島』は誕生している。なんというか、そういう時代だったのだろう。

 周辺事情ばかり取り上げたが、『ヘクター'87』はゲーム内容も充実している。全国を巡ったキャラバンで使用されたタイトルとしては初めて、タイマーモード(2分、5分)が実相されたことが裏付けといえるだろう。
 会場では、杏野はるなさんが2分の制限時間でボスまでたどりつくという、「ゲームアイドル」の名に恥じないプレイぶりを見せてくれた。

▲敵やアイテムの配置を覚えているという、杏野はるなさん。ボスは倒せなかったが大健闘

 名人はタイマーモードを制作するのは、なかなか難しいと語る。それは、2分というわずかな時間で、プレイヤーに“ドラマ”を楽しませなければならないからだ。敵やアイテムの配置と演出、そしてボスの仕様が「2分」という時間に最適なかたちでなければならない。
 「ゲーム1本作り終わった後の作業としては、結構しんどいよ(笑)」と、名人は当時の開発現場を振り返った。


『スターソルジャー』を2人協力プレイ
 ここでは、杏野はるなさんが1コントローラで自機を操作し、名人がジョイカードでショットボタンの連打(自力)を担当するという、協力プレイが実現。「11連打くらいは出てた」という名人のサポート受けて、杏野はるなさんが奮闘するも、1ステージのボスにたどりつくことなくゲームオーバーとなった。

▲敵やアイテムの配置を覚えているという、杏野はるなさん。ボスは倒せなかったが大健闘


『迷宮組曲』 続編が…実は企画されていた
 『迷宮組曲』の制作総指揮だった笹川敏幸さんは、プログラムはもちろん音楽も手掛けており、「『迷宮組曲』はやっぱり音楽がいいね」と、名人もあらためて太鼓判を押す。この作品を契機に、笹川さんは社内で音楽関係の開発を受け持つようになった。

 当時、『迷宮組曲』の開発チームは、笹川さんを中心にプログラマー1人、デザイナー2人、その他に関わったスタッフを含めてもせいぜい5、6人程度。同時期のタイトルで言えば、ファミコン版『ロードランナー』も合計3、4人ほどの小さなチームだったうえ、移植作業のほとんどはひとりのスタッフが3ヵ月間コンピュータに向かって仕上げたものだとか。

 それからしばらくして、PCエンジンの『天外魔境 ZIRIA』では「開発スタッフの数が80人ほどになって、ビックリした(笑)」と名人は話す。

▲タイトル画面での連打を披露する名人。画面上記の数字が増えていく。過去10秒での平均連打数が測定されているのだそう

 '80年代ハドソンの名作タイトルの中でも、ファンから「リメイクしてほしい」との声が多い『迷宮組曲』。実のところ、社内でもいままでに何度か『迷宮組曲2』を作ろうという動きはあったらしい。だが、いずれも断念している。その理由こそ、笹川さんの作った音楽で、オリジナル版に遠く及ばないということから企画は形にならないのだと、名人の口から明かされた。

 当日、会場に集まったのは名人のファンであると共に、熱烈なハドソン ファンであることはいうまでもない。『迷宮組曲2』ということばを聞いて、会場からは「ぜひ発売してほしい」という猛烈なラブコールが巻き起こる。「バーチャルコンソールで」「いっそファミコンか、ディスクシステムで」という声があがるが、名人自身はニンテンドーDSにわずかながら可能性を感じているようだ。

 「今だったら、DS。PSPやPS3は、ドット画じゃユーザーが納得できない。『FF13』があって、その横にドット画の『迷宮組曲2』があっても、今の小学生から20代半ばくらいのユーザーは納得してくれない。分かってくれるのは、今日来てくれた人にも多いけど、30代・40代の人たちでしょう(笑)」(高橋名人)


『HUDSON×GReeeeN ライブ!? DeeeeS!?』 に期待集まる
 4月1日(木)に発売される、人気ボーカルグループ「GReeeeN」とのコラボレーションによって生まれた新作『HUDSON×GReeeeN ライブ!? DeeeeS!?』に関して、名人はここだけの話を披露。「ライブを表現した本作は、実際のGReeeeNのメンバーによる動きを撮影したもの」だという。

 また、本作はかなり注目度が高く、公式サイトの訪問者数も相当数を記録しているのだそうだ。

締めは『サターンボンバーマン』で対戦
 トークショウを終えた会場では、ユーザー同士によるセガサターン向けの『サターンボンバーマン』を利用し、名人のサイン入り「シュウォッチ」をかけて対戦が行われた。

▲最後の試合には、杏野はるなさんも参加。見事勝ち残ったファンには、名人から直筆サイン入り「シュウォッチ」を進呈

 なお、「高橋名人伝説 ー魂の16連射ー」の発売翌日である1月28日(木)には、名人が「ニコニコ動画」の企画コーナー「とりあえず生中」に生出演する。同コーナーとしては異例の、名人以外にゲストは来ないという孤立無援の状況で、今回のイベントのような'80年代、'90年代におけるゲームシーンの話が聞けるそうなので、気になる人はぜひチェックしてみてほしい。

▲イベント終了後、高橋名人と杏野はるなさんのミニサイン&握手会も実施。テーブルの上には'80年代アイテムがならぶ

▲会場では「高橋名人伝説 ー魂の16連射ー」のプロモーション映像も上映された。ドット画やアニメと名人がかけあうコミカルな内容になっている

「高橋名人伝説 ー魂の16連射ー」
発売日:2010年1月27日(水)予定
価格:2,100円(税込)
発売元:ハドソン
販売元:ハドソン
収録曲ゲームタイトル:
『スターソルジャー』
『高橋名人の冒険島』
『ボンバーマン』
『ボンバーキング』
『迷宮組曲』
『ヘクター‘87』 ほか

(C)HUDSON SOFT


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