イベントレポート
 
6万年プレイされた『ドラクエIX』:市村Pが「売るための施策」を明かす

2009.11.27

関連URL:ニンテンドーDS版『ドラゴンクエスト』天空シリーズ公式サイト
 

 スクウェア・エニックスの人気RPG『ドラゴンクエスト』シリーズの最新作として2009年7月11日(土)に発売され、現在までに400万本以上の累計販売本数を記録している、DS『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』(以下、『ドラクエIX』)。

 同作に関して、11月27日(金)に開催された「プロモーション&メディアフォーラム2010」において、『ドラクエIX』のプロデューサー・市村龍太郎氏が講演を実施した。

▲市村龍太郎氏の講演会場の様子。様々な企業から、多くの受講者が来場した ▲『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』のプロデューサー・市村龍太郎氏

 今回実施された講演会では、『ドラクエIX』が爆発的な人気を呼んだ理由や、現在同社が販売本数を増やすために行っている施策について明かされている。その内容についてお伝えしていこう。

※各写真をクリックすると、拡大したものを見ることができます


プレイ人口、プレイ時間、コミュニケーションの拡大で販売促進
 講演の最初に市村氏は、『ドラクエIX』の商品コンセプトを、“ずっと遊べる”と“みんなと遊べる”という2つに設定し、ゲーム制作を進めていったと語っている。

 “ずっと遊べる”に関しては、「従来のシリーズとは異なり、クリア後でも長時間遊べるようなやりこみ要素を豊富に用意しており、成長システムも、どこまでも成長し続けられるようなものに仕上げました。さらに発売後一年間、Wi-Fiコネクションを用いて新クエストを配信するなど、飽きさせない要素を多数盛り込んでいます」と話している。

 一方の“みんなと遊べる”の部分は、ワイヤレス通信によるマルチプレイや、自動生成ダンジョンに挑める「宝の地図」を交換できる「すれちがい通信」といった要素を導入。「コミュニケーションが持続し、より活性化していく仕組みを作り上げるようにしました」と述べた。

 さらに市村氏は、販売本数を増やすための要となる「プレイ人口」「プレイ時間」「ユーザー間のコミュニケーション」にそれぞれを拡大させるための施策を展開していったと話す。

▲長く遊んでもらえるゲーム作りを意識して『ドラクエIX』は作られていったという ▲販売本数が伸びる仕組みを、3種類の観点から考慮していったとのこと

 まず、プレイ人口の拡大については、既存の『ドラクエ』ファンを確保しつつも、ファミコン時代にシリーズを遊んだ“懐古層”を掘り起こすことを考慮。さらに、女性や子どもなどの新規ユーザーを開拓することも意識したという。
 結果として現在本作は、既存の『ドラクエ』ファンが200万人近く購入し、懐古層も140万人が購入。新規ユーザーは65万人ほどがゲームを購入しているという。

 市村氏は、「特に重要視したのは、子どものファンを増やせるかということでした。非常に多くの子どもたちが『ポケットモンスター』を楽しく遊んでいるように、『ドラクエ』も“楽しい”というイメージを持たせないと受け入れられないという難しさがあるためです」とコメント。

 そのための施策として、同社のアーケードゲーム『ドラゴンクエストモンスターズ バトルロードII』(以下、『DQMBII』)との連動要素を用意したという。
 この連動要素とは、『DQMBII』で「魔王」が登場した際、「すれちがい通信」を行うことで、その魔王が出現する「宝の地図」が入手できるというもの。この要素によって、『DQMBII』ファンの子ども達へ『ドラクエIX』の訴求を進めていった。


『ドラクエIX』全プレイヤー分のプレイ時間は「6万年」
 さらに、やり込み要素を増やすことで「プレイ時間」も拡大。Wi-Fiコネクションによる追加要素配信も併せて、『ドラクエIX』を“手放せない”ものにするという施策が行われた。

 この施策は「中古屋へソフトを売却されないようにするための対策でもある」と市村氏は語った。「中古屋に売られれば、その分新品ソフトが売れなくなってしまい、その分売り上げも伸びないので」とコメント。施策の結果、過去の『ドラクエ』シリーズと比べて、中古屋に売られる割合が約半分にまで減少しているという。

 また、プレイ時間については、「過去作ではクリアまでに50時間程度でしたが、『ドラクエIX』では平均で1人140時間はプレイしています。これを全プレイヤー分で合計すると、5億5,800万時間(約6万年)という膨大な時間になるのです」とのことだ。

▲プレイ人口を拡大することで、『ドラクエIX』では新たなユーザー層を開拓していった ▲中古屋対策も万全に行うことで、新品での購入を促進した

 さらに、家族や友人といった身近な人と一緒にマルチプレイを行う状況を作り、やがて生活圏内にいる人々と「すれちがい通信」を行うことで、コミュニケーションを拡大させていったという。

 ただ一方で、市村氏は「すれちがい通信」について、「人口の少ない地域では成立しにくいという弱点がある」とコメント。 例えば、田舎に住んでいる人が都会に居る友人に『ドラクエIX』のソフトを送り、「何人かとすれちがい通信した後に送り返してくれ」と依頼したというエピソードもあったようだ。

 そこで、『DQMBII』による連動要素をゲームセンターなどで実施し、『ドラクエIX』ユーザーを一箇所に集め、人口の少ない地域へのフォローを行っていったと、最近の「超連動」の狙いを市村氏は明かした。

▲身近な場所から公共の場へ、段階を踏んでコミュニケーションの拡大を狙っていった ▲『DQMBII』との連動により、人口密度が低い地域でも「すれちがい通信」を訴求できたという


「『ドラクエIX』はコミュニケーションサービス」(市村氏)
 市村氏は続いて、『ドラクエIX』の発売直前から、発売から3ヶ月後となった現在までの流れを振り返った。「発売直前は最近の『ドラクエ』ファンに多く売れた印象ですが、売上300万本を突破した頃には、かつてファミコンなどで過去作をプレイしユーザー層も増えていきました」とコメント。

 また、「その後時間が経つにつれて“すれ違い通信”という言葉が浸透し、未所持のユーザーも“買っておかないと損”という考えをしてもらえるように推移していきました」と話した。このように、時間が経過していくごとに、ユーザーの購入理由が変化していっている。

 市村氏はさらに、より『ドラクエIX』の販売本数を増加させるための定例会議を毎週実施していると話し、「ユーザーにどんな意識の変化が起きたか、より多く販売するにはどうすれば良いか」が話し合われているという。

 最後に市村氏は、「すれちがい通信」が流行した理由について、「他人のプレイデータを見たり、自分のデータを自慢できる」点、「メッセージを送れる」点、「無限に生成される“宝の地図”も入手できる」点を挙げた。

 「このおもしろさは、SNSやブログ、twitterといったコミュニケーションサービスに近い。もはや本作はゲームというより、コミュニケーションサービスとして進化している」と述べ、市村氏は講演を締めくくっている。

▲「せっかくDSを持っているんだから、購入しないと損」という気持ちをユーザーに抱かせて、さらなる販売本数増加を促進していった ▲すれちがい通信」により、『ドラクエIX』の人気はさらに上昇。もはや、ゲーム作品というよりは、より生活に密着したシステムと化していると、市村氏は語る


◆『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』
ハード:ニンテンドーDS
メーカー:スクウェア・エニックス
ジャンル:RPG
発売日:2009年7月11日(土)
価格:5,980円(税込)
CERO審査:「A」(全年齢対象)
プレイ人数:1人(ワイヤレスプレイ対応2~4人、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応)


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