2005年に発売された、ニューヨークを舞台とするシネマチック・サイコスリラー『Fahrenheit(ファーレンハイト)』で、一躍世界に名を知られることなったフランスのゲーム開発会社Quantic Dream社。
そんな同社が開発を手がける新作として、注目を集めているPS3用ソフトが『HEAVY RAIN(ヘビーレイン) -心の軋むとき-』(以下、『HEAVY RAIN』)だ。
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本作は、「折り紙殺人鬼(Origami Killer)」呼ばれる連続殺人犯の追跡を中心に物語が展開するダークスリラー。それぞれ全く立場の異なる4人の主人公たちが、リアルタイムに展開する状況の中で事件の真相を追い求めていく。
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| Ethan (イーサン) |
Madison (マディソン) |
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| Jayden (ジェイデン) |
Shelby (シェルビー) |
今回、『HEAVY RAIN』の開発を行っているQuantic Dream社のCO-CEOであるGuillaume de Fondaumiere氏が来日したことにあわせてインタビューを実施。本作が描こうとするドラマの中身に迫る。
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| フランス・Quantic Dream社のCO-CEO Guillaume de Fondaumiere氏 |
――『HEAVY RAIN』企画の発端を教えてください。
Guillaume de Fondaumiere氏:
『Fahrenheit』の後、私たちはよりリアルな、より大人向けのゲームを模索していました。私はユーザーとして、あるいはクリエイターとして20年以上ゲームに関わっていますが、似通った作品が多く、成熟した大人の心に訴えかけてくるようなものは稀だと思うのです。
――本作のテーマは?
Guillaume de Fondaumiere氏:
主人公のひとり「イーサン」は連続殺人犯に息子を誘拐されます。彼の“自分の息子を助ける”という行動にもあらわれているように、本作のテーマは「愛」です。大切な人を救うためにどこまできるのか、どれほど愛は深いのか、という。
――その犯人のモチーフでもある「オリガミ」には、どのような意味があるのでしょうか?
Guillaume de Fondaumiere氏:
日本文化の影響を表現したというよりは、物語の根本に関わる部分ですね。「なぜ、オリガミなのか?」という疑問はゲームの中でも重要な謎ですし、「オリガミ」は犯人を形作っている要素とも言えます。
――『HEAVY RAIN』は、ひとつの都市で連続殺人犯に巻き込まれる4人の登場人物を主に描いています。この作中の都市のモデルは存在するのでしょうか?
Guillaume de Fondaumiere氏:
アメリカの東海岸の都市、具体的にいえばフィラデルフィアをイメージしています。実際にフィラデルフィアの街も訪れているんですが、様々な地域に多様な人々が暮らしている都市で、そのあたりはゲーム中にも活かされています。『HEAVY RAIN』には100人以上のキャラクタが登場しますが、彼らは大まかにいっても善人と悪人が混在しているのです。
また、フィラデルフィアではある季節だけ雨が多いという特徴があり、その特長も作品に活かされています。また、街の周辺を川が囲んでいるのですが、そういった地形も制作する上で参考にしています。
――フィラデルフィアといえば、映画「ロッキー」の舞台としても有名ですが、本作には映画的な手法が多く取り入れられているように思えます。
Guillaume de Fondaumiere氏:
ゲーム中に登場するすべての舞台は、実際に建築のプロが設計図を用意した上でグラフィックを制作しています。つまり、主人公たちの家を実際に建てることが可能なくらい精密なデザインワークを行っているんです。そういった、映画制作におけるプリプロダクションを積極的に取り入れている姿勢は、実に映画的だと思います。
また、キャラクタの動きはモーションキャプチャーで取り込んでいますが、その手法もゲーム開発おいては独特の手法ではないでしょうか。
――アングルなどカメラワークに関してはいかがですか? 最も映画的な手法があらわれる部分ですが。
Guillaume de Fondaumiere氏:
カメラワーク専門のスタッフを置いて、撮影しています。彼らの中にいるカメラマンが、ゲーム中のアングルを制作するというわけです。カメラアングルというのは、映し出されるキャラクタの表情や行為を彩り、個性を形成する大事な要素ですから、特に力を入れていますね。
Quantic Dreamには私たちが「ムービーメーカー」と呼んでいる独自の映像処理ソフトがあるのですが、そのソフトを用いると、コンピュータ上でセットを組み、役者を立たせて、好きなアングルから撮影が行えるようになっています。
これはあくまでも例えばの話ですが、現状の制作体制を延長していけば、映画版「HEAVY RAIN」を撮ることも可能でしょう。それほど映画的な表現にはこだわっています。
――『HEAVY RAIN』は精細なグラフィック表現においても、早くから注目を集めていましたが、制作において独自の取組みはありますか?
Guillaume de Fondaumiere氏:
先ほどお話したモーションキャプチャーもそうですが、シェーディング(陰影表現)にはプリプロダクションのスタッフを12名投入して、徹底したクオリティを追及しています。
あとは、ゲーム中に登場する様々な商品にも注目してほしいですね。それこそ数千におよぶ細かいオブジェクトにまで架空のブランドを設定しているんです。商品棚が並ぶ雑貨店のシーンなどは、本当に悪夢のような作業でしたよ。もちろん、私たちだけではなくチェックを行うSCEの皆さんも大変なんですが(笑)。
――日本語へのローカライズ状況を教えてください。
ソニー・コンピュータエンタテインメント広報氏:
字幕だけでは感情移入できないというユーザーさんもいらっしゃいますから、日本語の吹き替え音声と、日本語字幕の両方が収録されています。英語の音声に日本語字幕を表示させてプレイすることも可能です。
――音楽面に関しての取り組みはいかがですか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
現段階では、名前は明かせないんですが、それこそハリウッド映画で名前を知られる大御所が参加しています。音楽もまた、ゲームには重要な要素と私たちは考えていまして、過去にはデヴィッド・ボウイの楽曲を採用したこともありました。
――「連続殺人鬼」を追う物語ということで、残酷な表現は避けて通れないと思いますが、本作においての殺人や暴力など、残酷表現に関してはどういった尺度をお持ちですか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
大人向けの作品であっても、血を流す表現が大事ではないと考えています。残酷な描写を取り入れるのは、そこに至る人間の感情を描くための手段であって、目的ではないのです。『HEAVY RAIN』は「羊たちの沈黙」と同じようにスリラーであって、ホラーではないということですね。
――『HEAVY RAIN』ではオンライン要素を取り入れる予定はありますか?
Guillaume de Fondaumiere氏:
とりあえず、オフラインに注力したいですね(笑)。色々と考えてはいますけど、確定していることはまだありません。
――ちょっと逸れますが、日本のゲームの印象を聞かせていただけないでしょうか。
Guillaume de Fondaumiere氏:
持ち上げるわけではありませんが、
上田(文人)さんの『ワンダと巨像』は印象的でした。感情をきめ細かに表現する手法が、私たちの手法とはまるで異なるので。あとは『キラー7』や『サイレントヒル』の世界観に触発された部分は多いです。
当時はプレイヤーとして触れていますが、『ファイナルファンタジーVII』は私にとってひとつの契機になったといっても過言ではありません。あの作品をプレイして、ゲームでも物語と体験を伝えられるということを知りました。
――では最後に、『HEAVY RAIN』を待つ日本のユーザーへメッセージをお願いします。
Guillaume de Fondaumiere氏:
むしろ、私たちがユーザーのみなさんのメッセージを聞きたいと思っているんです。みなさんがプレイしてどんな感情を持つのか、『HEAVY RAIN』が発売される前と発売された後を比べて、自分だけの答えは見つかるのか――。この作品を手に取ってくれる一人一人の方に、何かしらの投げかけができることを願っています。
――ありがとうございました。
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◆『HEAVY RAIN(ヘビーレイン) -心の軋むとき-』
ハード:プレイステーション3
メーカー:ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元:Quantic Dream、Sony Computer Entertainment Europe
発売日:今冬予定
価格:未定
CEROレーティング:審査予定
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