インタビュー
 
日本スタジオが描く外伝アニメ「Halo Legends」はファン以外も必見!
2009.09.26
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 マイクロソフトが誇る人気FPS(一人称視点シューティング)ゲーム『Halo』シリーズ。同シリーズの世界観を元に、日本を代表する複数のアニメ制作会社がオリジナル・ビデオ・アニメーション化を制作するプロジェクトが「Halo Legends」である。同プロジェクトに関して、関係者たちにその具体的な内容や、制作秘話などを伺った。

 「Halo Legends」は7つのショートフィルムで構成されており、日本の大手アニメスタジオであるProduction I.G、東映アニメーション、ボンズ、STUDIO 4℃、Casio Entertainmentがアニメーション制作を担当する。

 今回のインタビューでは、クリエイティブディレクターを務めるフランク・オコーナー氏と、プロデューサーのジョセフ・チョウ氏が同席。

 そして、フランク氏とおなじくクリエイティブディレクターを務める、劇場版フル3Dライブアニメ『APPLESEED』などを手掛けた荒牧伸志氏にもご参加いただいた。
 さらに、プロジェクトに携わるアニメ制作会社のひとつである東映アニメーションからは、プロデューサーの池澤良幸氏と、TVアニメ「ドラゴンボール」などの監督としても知られている西尾大介氏にも同席けることができた。

▲今回お話を伺った皆さん。左から、プロデューサーのジョセフ・チョウ氏、クリエイティブディレクターのフランク・オコーナー氏、クリエイティブディレクターの荒牧伸志氏、東映アニメーションの西尾大介氏、東映アニメーション プロデューサーの池澤良幸氏

企画立ち上げ時、偶然にも荒牧監督が『Halo3』大ファンだった

――まずはフランクさんにお聞きします。『Halo』の世界をアニメーション化しようと考えた経緯は何ですか?

★フランク・オコーナー氏(以下、フランク氏)
 そもそもの計画が立ちあがる前の段階で、荒牧監督と「新しいアニメーション作品を作りたい」という話しをしていました。ちょうどその時は、Xbox 360向けソフトの『Halo3』が世界で爆発的に売れていたという時期で、「これだけの人気のある作品を題材にアニメーションを作るのは面白いんじゃないですか?」という提案しました。
 そうしたら、荒牧監督は「実は私、『Halo3』を、最高難易度の“レジェンド”モードをクリアするまでやり込んでいるんです」と言われて(笑)。
 そんな偶然も手伝って、ぜひ『Halo』シリーズのアニメーション作品を作りましょうという話になりました。

――「Halo Legends」はどのように展開されていくのですか?

★フランク氏
 基本的には、ホームエンターテイメントで一番主流のDVD、そしてBlu-rayでの展開を想定しています。また、ネット配信なども検討しており、「Xbox LIVE」上にオープン予定の『Halo』専門チャンネル「Halo Waypoint(ヘイロー ウェイポイント)」で放送されます。また日本のみならず、世界中で展開されていくことになります。

――「Halo Legends」に関して、海外の『Halo』シリーズのファンなどはどのような反応ですか?

★フランク氏
 今回、『Halo』の壮大なストーリーが初めて映像化されるということもあって、非常に興奮しています。また海外のアニメファンも、参加しているクリエイターや制作スタジオに非常に期待を寄せています。

――ではジョセフさん、参加するクリエイターや制作スタジオを選択する上で、何か基準のようなものはありましたか?

★ジョセフ・チョウ氏(以下、ジョセフ氏)
 そもそも、「こういう映像を作りたい」ということを話し合っていくうちに、各ストーリーアイディアを作り上げるのに一番適合したクリエイターや制作スタジオを選択していったということになります。

▲フランク氏とジョセフ氏は、壮大な物語が展開される『Halo』のアニメ作品を作り始めることになった経緯などをにこやかに説明してくれた

荒牧監督の“ファンらしさ”&東映制作「Odd One Out」に迫る

――続いて荒牧さんにお聞きします。『Halo』の世界を映像化するにあたって、ゲームのどんな部分を研究しましたか。

★荒牧伸志氏(以下、荒牧氏)
 僕は元々『Halo』シリーズのプレイヤーだったので、プレイして感じたおもしろさを映像化するように努めました。また、各制作スタジオにはXbox 360本体と『Halo』シリーズのソフトをお渡しして、作品作りの参考にしていただきました。

★西尾大介氏(以下、西尾氏)
 ちなみに私は不器用なので、なかなかゲームが進まなくて…。他のスタッフにゲームをプレイしてもらって、「早くムービー部分を見せてくれ」ってお願いしましたけどね(笑)。

★荒牧氏
 プレイの進行状況に関わらず、どのスタジオもきちんとゲームの研究をされていました。たとえば武器のエフェクト1つをとっても、きちんとゲームのものと同じ演出効果にしていたりなど、細かく作り込まれています。

――「Halo Legends」の脚本は、どのようにして作り上げていったかを教えてください。

★荒牧氏
 主人公の「マスターチーフ」を深く掘り下げて、そもそも彼はどんな人物なんだろうということを考えていきました。また、日本語翻訳がまだされていない、アメリカの『Halo』の小説を読んで、そこで感じた雰囲気も脚本に取り込んでいます。

――小説でしか見られなかったバックストーリーなどを楽しめるということでしょうか?

★荒牧氏
 はい。「Halo Legends」では、まだ他のスパルタンたちが存在するという時代の話を題材にしているので、小説でしか出てこなかったキャラクタが映像化されているというシーンがあります。「マスターチーフ」1人だけでもものすごく強いのに、それと同等の実力を持つキャラクタが何人も登場したらどうなってしまうのか、という点は、ファンの皆さんも気になる部分だと思うので、ぜひ注目してください。

――制作スタジオによって、一般的なアニメーションであったり、独特の雰囲気を持つ画風の映像であったり、CGムービーであったり、様々な違いが見られますが、これには何か意図があったのですか?

★荒牧氏
 元々、各スタジオやクリエイターさんの特色をより全面的に出して、『Halo』の世界観をさらに広げていきたいという狙いがありました。そのためクリエイターさんたちには、自由なスタイルでにやってほしいという依頼をしました。

★ジョセフ氏
 最初から、「『Halo』を題材にするからには、最高のスタジオ、最高のクリエイターがいればそれで良い」という想いもありました。クリエイターの能力を存分に発揮してもらうということを第一に考えていました。

――荒牧さんは、『Halo』シリーズをいつからプレイされ始めたのですか?

★荒牧氏
 最初にプレイしたシリーズ作品は『Halo3』からで、割と最近なんです。『Halo3』が非常におもしろくて、それから『Halo』と『Halo2』がセットになった「Halo ヒストリーパック」を購入してプレイしました。その後、『Halo3』の「レジェンド」モードをクリアするに至りました。

――『Halo』シリーズの魅力は何だと思いますか?

★荒牧氏
 まず単純にゲームとして気持ちよくプレイできるという点があります。FPSは、コアユーザーがプレイする作品という印象があると思いますが、『Halo』シリーズは操作もシンプルで、楽しく進んでいけるのが魅力だと思います。
 もうひとつは、グラフィックの美しさだと思います。「リアル」というだけではなく、美しい地形が形成されていたり、空の色が非常に綺麗だったり…。そういった部分が世界観に広がりを持たせていて、すごく「映画的」だなと思いました。

――続いて、池澤さんと西尾さんにお聞きします。東映アニメーションが手掛けた「Halo Legends」における一作品「Odd One Out」は、どういった内容の作品なのでしょうか。

★池澤良幸氏(以下、池澤氏)
 元々の『Halo』シリーズ自体のレーティングがやや高いので、我々は「少年でも楽しく見られるもの」をテーマに制作を開始しました。
 その内容は、とあるAI(人工知能)がとある惑星に存在しているところから始まり、そこに不時着した輸送船の子供たちを守るために、「母性」のようなものを持って子どもたちに接していく…という設定が土台になります。ここをベースに、例えばコメディであったり、派手なアクションシーンなども展開していくことになります。

★西尾氏
 『Halo』の世界観をベースにしつつも、我々の日常感覚からなるべくかけ離れないように注意しつつ、いわゆる「外伝」的作品に仕上げていったという具合です。

▲東映アニメーションが制作するアニメーションパート「Odd One Out」のワンシーン

――制作にあたって、苦労された点などはありますか?

★西尾氏
 苦労だらけですよね(笑)。時間も全然ありませんでしたし。ゲームの資料もすごく膨大で、ビジュアルアートなどの参考資料も、緻密で複雑なものがたくさんあって、どれをどのように扱っていくかを検討する段階から四苦八苦していきました。
 短編であるからこそ、とにかく慎重に、“入口”をノックするところから気を使って制作していったという感じです。

★池澤氏
 「納品日までに絶対に完成できない!」と思えるほど、切迫した状況が続いていたんですが、いざ作り上げてみると納品日の一日前だったんですよね。どのスタジオよりも早かったという(笑)。

▲荒牧氏は、脚本を組み上げていく工程や、自身も大ファンだという『Halo』シリーズの魅力などをコメント。さらに池澤氏と西尾氏には、東映アニメーションが手掛けたアニメパートについて語っていただいた

日本式で描かれる「Halo Legends」はシリーズファン以外も必見

――続いては、フランクさんとジョセフさんにお聞きします。この作品を、どのような人々に見てもらいたいと思いますか?

★フランク氏
 もちろんどんな人にでも見てほしいのですが、特に『Halo』についてあまり知らない人に見てほしいです。「Halo Legends」を通して、ゲームをあまり知らなかった人にゲームの良さを、アニメに先入観を持っている人にアニメの良さをそれぞれ知ってもらいたいという気持ちもあります。
 また、一番楽しみなことは、日本のアニメファンの反応ですね。それぞれのアニメーションは、アメリカスタイルで作り出しているわけじゃなく、日本アニメのスタイル、日本アニメのストーリーテーリングを意識しているという部分があるからです。

★ジョセフ氏
 もちろん『Halo』ファンにも見ていただきたいという気持ちもあります。同じく『Halo』ファンである荒牧監督が、色々な“仕掛け”を施しているので、ファンなら「あ、この部分は!」と、思わずニヤリとできる部分も用意されていますから。

――最後に皆さんから、「Halo Legends」の作品を楽しみにしているファンに向けて、メッセージをいただけますか。

★フランク氏
 最高のクリエイターたちが集まり、最高の作品を作り上げたので、『Halo』はシューティングゲームだけじゃなく、本当に壮大な世界観で、面白いストーリーやキャラクタが存在しているということを知っていただきたいです。

★ジョセフ氏
 参加クリエイターに、本当に自由に作ってもらうというコンセプトは中々ありません。その新しい試みが、どれほど優れた作品を生み出しているかを、ぜひその目で確かめてください。

★荒牧氏
 私は「『Halo』が好きだ」という気分のまま作っているので、非常に楽しく携われました。特に、コアファンに向けた楽しめる要素などもいっぱいありますので、楽しみにしていてください。

★西尾氏
 「Halo Legends」では全部で7つの短編作品が存在しますが、それぞれに作品にそれぞれのクリエイターの想いが込められていると思います。そのあたりの作品の違いなどを楽しんでみてください。

★池澤氏
 色々な作品が制作された中で、我々東映アニメーションの作品は特に、コアな『Halo』ファンじゃなくても楽しめるという部分から始まっています。各作品ごとの切り口が違うことから、7本あるということはすごく魅力的なことじゃないかと思います。

――お忙しい中、ありがとうございました。

▲「Homecoming」<Production I.G> ▲「The Duel」<Production I.G>
▲「Origins」<STUDIO 4℃> ▲「The Babysitter」<STUDIO 4℃>
▲「Prototype」<ボンズ> ▲「The Package」<Casio Entertainment>
▲「The Package」<Casio Entertainment>


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