イベントレポート
 
開発者インタビュー&試遊で実感:「PSPgo」の“値段に見合った価値”

2009.06.26

 
 2009年6月17日(水)、ソニー・コンピュータエンタテインメントの青山安田ビルにおいて、11月1日(日)に発売が予定されている最新携帯ゲーム機PSP「プレイステーション・ポータブル」goに関するインタビューを実施した。

左から、ソニー・コンピュータエンタテインメント商品企画部 部長・松井直哉氏、商品企画部 柳瀬和大氏

※各写真をクリックすると、拡大したものを見ることができます

 今回、同社の商品に関わる商品企画部 部長である松井直哉氏と、同じく商品企画部に所属し、「PSPgo」の商品企画を担当した柳瀬和大氏のお二人にお話を伺ったので、お届けしよう。

小型・軽量化&新機能で、価格に見合った価値はある「PSPgo」

――まず、「PSPgo」の商品コンセプトについて教えてください。

★松井直哉氏(以下、松井氏)
 企画自体は2年ほど前から立ち上がり、開発は2年程度で完了しています。元々UMDドライブを使用しない商品の構想は、PSP誕生の際からずっとありました。でも、当時はそれだけではPSPの楽しさをユーザーが感じられないという声が上がっていたんです。年月を重ねるにつれて、「PlayStation Network」や、プレイステーション3といったコンテンツとの互換など、遊びの環境が整ってきたということもあり、今回の「PSPgo」誕生に至りました。
 また「PSPgo」は、ネットワーク配信に特化した商品として、デジタルコンテンツの扱いに慣れている人をターゲットに据えています。

――本体をスライド式にして、コンパクトにした理由は?

★柳瀬和大氏(以下、柳瀬氏)
 小型・軽量化は、より持ち運びやすいことを目指したといえます。「PSPgo」という名前も、より積極的に外へ持ち運んでほしいという意図で名づけました。小型・軽量化をする一方で、ゲームの操作性が失われないようにバランスを保つことにも配慮しています。

――小型化に伴い、ボタン類が小さくなっていますが、開発の段階では苦労されましたか?

★柳瀬氏
 ボタン類を小さくするのは大変で、きちんとゲームを楽しめる操作性を維持するために苦労して調整しました。ボタンの高さが1ミリずつ違う試作機をいくつも作って、社内でどれが操作しやすいかヒアリングしたりもしました。

――ユーザーからの要望が多かった右アナログスティックや、モーションセンサー、タッチパネルといった新たな機能を追加しようとは思いませんでしたか?

★松井氏
 「PSPgo」は、あくまでもPSPの新しいラインナップという位置づけなので、機能を増やすと「PSPgo」専用のゲームが作られることになります。PSPというプラットフォームのイメージを統一したいという考えもあり、既存のPSPと同じように楽しめるという点にこだわりました。

――既存のUMD内のデータを、別のゲームのデータに書き換える変換サービスなど、新たな展開も考えられていますか?

★松井氏
 前向きに検討中です。

――スライドを閉じたままで遊べるゲームが登場する可能性は?

★柳瀬氏
 スライドを閉じた状態でも「Lボタン」と「Rボタン」は反応するので、その2つのボタンのみでできるゲームが登場する可能性はあります。また、閉じたままで音楽を再生させるといった楽しみ方もできるようになっています。

「PSPgo」のデザインを担当したという柳瀬氏は、「PSPgo」をより積極的に持ち運んでもらえるような商品にしたいと語った

――「PSPgo」はBluetoothに対応となりますが、どういった機器を接続できるのですか?

★柳瀬氏
 具体的には、プレイステーション3のコントローラを接続してゲームを遊ぶことが可能です。PSP-2000からテレビ出力が可能になりましたが、現状ではケーブルの長さの関係で、テレビからあまり離れた距離でできません。今回PS3のコントローラが接続できるようになり、テレビから離れても遊べるようになります。
 ちなみにPS3のコントローラを接続した際は、「PSPgo」には無い「L2ボタン」「R2ボタン」「L3ボタン」「R3ボタン」といったものは反応しなくなります。

――画質や音質については、なにか変更点はありますか?

★柳瀬氏
 全体的に小型化していますが、画質・音質ともに、PSP-3000と同等です。サイズは小さくなっていますが、液晶スペックや解像度なども同じです。

――「PSPgo」で新しく追加された、ゲームスリープ機能について教えてください。

★柳瀬氏
 既存のPSPでは備わっていなかった機能なのですが、ゲームのプレイ状況を一時的に保存して中断し、クロスメディアバーの画面に戻ることができるという機能が追加されます。

★松井氏
 この機能によって、ゲームを少し中断してブラウザを見て、再びゲームに戻るという遊び方もできるようになります。

――PSP-3000よりも価格が上がっている理由は?

★松井氏
 小型化や軽量化を目指したため、必要な部品があったり、Bluetoothなどの機能を追加したこと、16ギガバイトのフラッシュメモリという、比較的大容量のものを積んでいることが主な理由です。この大容量フラッシュメモリ搭載によりゲームを10本分は持ち運べるようになっています。また新たな機能も多数搭載されていますし、値段に見合った価値はあると考えています。

同社商品企画部の部長を務める松井氏は、「PSPgo」はやや高価になった分、それに見合う価値は十分あると話す

――白色と黒色で発売される理由、今後どういったカラーバリエーションが登場するかなどを教えてください。

★柳瀬氏
 従来のPSPとはイメージの違う「PSPgo」ですが、今までと同じくスタンダードでシンプルな「パール・ホワイト」と「ピアノ・ブラック」をまずは発売します。カラーバリエーションについては、今後ユーザーの要望に応じて検討していきたいと考えています。

――システムソフトウェアに関しては、他のPSPとは違うものを提供していくんですか?

★松井氏
 同じPSPのプラットフォームということで、同様のシステムソフトウェアを提供していくことになります。ただ、PSP-2000より追加された「ワンセグ機能」のように、製品により対応、非対応があります。

――既存のPSP用の周辺機器などは、「PSPgo」でも使用することができますか?

★柳瀬氏
 小型化をするにあたり、従来のPSPにあった充電器を接続する端子と、周辺機器などを接続する端子を1つに集約して、「マルチユース端子」という新しいものに変更しています。そのため、従来の周辺機器をそのまま接続することは物理的には不可能です。ただし現在、既存の周辺機器を「PSPgo」でも使用できるような手段を、今後検討していきたいと考えております。

今回のインタビューでは、スリープ機能やBluetoothの対応など、「PSPgo」の新たな可能性に期待が持てた。小売店への対応など、今後の動向にも注目したい

充電器、スリープ機能… 既存のPSPからの変更点を確かめた
 インタビュー会場では、実際に「PSPgo」本体に触れることができた。
 実際に手にとって見ると、従来のPSP-3000よりもさらに薄く、小型化されていることが実感できる。液晶の面に関しては、同時に展示されていたPSP-3000と比較しても違いは感じられず、ほぼ同じレベルと言っていいだろう。

PSP-3000と比較しても薄くて小さく、より携帯しやすくなった印象だ
こちらがスライドを閉じた状態 液晶の鮮明さも、PSP-3000とほぼ同じ

 また、PSP-3000とは違う部分としては、ボリュームや明るさを調整するボタンが本体の上部に来ていることが挙げられる。この変更点に関しては、スライドを開けた状態ではボタンの位置を確認する際、わざわざ上から覗き込むようにして見なければいけないので、やや不便だという印象だ。ただし、使い続けるうちにボタンの位置を記憶すれば、違和感無く操作できるようになるかもしれない。
 また、インタビューの話にもあった、周辺機器の接続端子と充電器の接続端子を1つに集約させた、新しい接続端子も確認できた。

本体上部から見た状態。本体をスライドさせると、ボタンがちょうどモニターの後ろに隠れてしまう 新たな接続端子。従来の周辺機器を繋ぐハブのような機器も今後登場するのだろうか

 また、スライドを閉じた状態だと時計が表示され、さらに「Lボタン」と「Rボタン」を同時に押すことでカレンダーを表示させることも可能。スケジュールを付けたりはできないが、かなり役に立つ機能だろう。

閉じれば時計が表示され、「Lボタン」+「Rボタン」同時押しでカレンダーも。前月や翌月のカレンダーも、「Lボタン」や「Rボタン」を押すだけですぐに見られる

 さらに「PSPgo」では、イヤホンジャックとが統合されたことにより、充電器も新しいものに変化。シルエットは全体的に細長くなっている。また、先端部分は取り外すことができ、PSP-3000などの充電器のコンセントケーブルを差し込み、延長することが可能だ。

先端のコンセント接続部分を取り外し、既存のケーブルを取り付けることも可能だ

 また会場では、ゲームプレイを一時中断して、クロスメディアバーを表示させるゲームスリープモードも試してみた。実際の製品版はどうなるかわからないが、ゲームを一時中断する際、そしてゲームを再開する際に10秒間ほどのローディングがあり、若干気になった。だが、改めてゲームを起動し直したりするよりは断然速く、今まで以上に便利に活用できるだろうと感じた。

ゲームを一時中断できる「ゲームスリープ機能」が新しく登場 再開するには「ゲーム」の項目内から「ゲームを再開する」を選択する

 今回のインタビュー、さらに実際に「PSPgo」を触れてみて、コンパクトで持ち運びやすさが増した分、ボタン位置の変更などで、少し操作しにくくなった印象も受けた。例えば方向キーと左スティックが横並びになっているので、従来のPSPで登場したアクションゲームの中には、やや操作しにくくなる作品も出てくるかの知れない。

 だが、PS3のコントローラを接続できるといった新しい機能の追加や、スライドを閉じたままでプレイできるゲームが登場する可能性など、これまでに無い遊び方が実現できるであろうことも事実だ。操作に関しては慣れが必要かも知れないが、新たな「PSP」シリーズの遊び方には期待できると思われる。

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