インタビュー
 
新職業「海賊」で ユーザーに“新鮮な楽しさ”を『メイプルストーリー』インタビュー
2008.07.09
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  先日のニュースでもお伝えしたとおり、2008年7月30日(水)に、次期大型アップデートを控えたネクソンジャパンの2DアクションMMORPG『メイプルストーリー』。

 今回のアップデートの特徴と言えば、何と言っても正式サービス開始以来初めてとなる新職業「海賊」の実装だろう。他にも「海賊」追加に伴い、「海賊」の拠点となる新マップをはじめ、新アイテム、新クエストなど多数の新コンテンツ追加が予定されており、これまでにない大規模なアップデートとなることがすでに判明している。

 『メイプルストーリー』と言えば、2003年に正式サービスを開始し、今年で5周年を迎える「古株」である。
 だからこそ、新職業追加を伴う、大規模なアップデートを行うのだ。果たしてその中身は?

 発表会に伴い来日してくれた、韓国Wizet(『メイプルストーリー』の開発部門)のチェ・ウンド氏、リュウ・インソン氏の2名と、ネクソンジャパンの『メイプルストーリー』チームリーダーの柳本隆氏に、今回のアップデートについて色々とうかがってみた。


「海賊」専門のエキスパートチームを結成

――今回のアップデートに伴い、新しく「メイプルコンテンツ開発チーム」という専門のチームを立ち上げたそうですが、これはどういった経緯で?

ネクソン Wizet1室 室長 チェ・ウンド氏

チェ氏:これまでは開発、企画、デザインとそれぞれの部署に分かれていたんですが、今回「海賊」という大きなコンテンツを作っていくなかで、既存のチーム構成ではたぶん対応できないだろうと。そこでこれらの部署とは別に、「海賊」のためだけに新しく、開発、企画、デザインがすべて一緒になったチームを立ち上げたんです。

――発表会では当初、錬金術士や召喚士といった新職業案もあったとのことでしたが。

チェ氏:まず第一に、これまでなかった「新しい楽しさ」を追加したいというのがあったんです。そのためには何が必要かというと、やはり既存の職業にはないスキルだろうと。そうしてスキルを考えていく中で、錬金術士や召喚士だと、どうしても既存の職業と重なるスキルが多くなってしまったんですね。そこで最終的に、ガンスリンガーやインファイターといった、これまでにないプレイスタイルを実現できそうな「海賊」に行き着いたわけです。

――個人的に、召喚士はちょっと見てみたかったかもしれません(笑)。ちょっと気の早い質問かもしれませんが、今後さらに新しい職業を追加していく予定は?

チェ氏:今のところ新職業の予定はありませんが、別の形で、これまでにない新しい楽しさを追求していこうとは考えています。

――「海賊」の開発のために結成したという「メイプルコンテンツ開発チーム」ですが、「海賊」実装後はどういった活動を?

チェ氏実は「海賊」の実装後、開発チームは一旦解体されまして、現在は従来の開発体制に戻っています。

――ええ! そうなんですか。

チェ氏:ただ開発チームの一部はそのまま部門内に吸収されていて、今後の新しいコンテンツ、特に開発に時間がかかるようなものに関わっていくことになると思います。

ネクソン Wizet2室 室長 リュウ・インソン氏

――なるほど。でも、そもそもなぜ今になって新職業追加という、大きなアップデートを行うことになったのでしょう。

チェ氏:これまで『メイプルストーリー』では主にマップの拡張を中心としたアップデートを行ってきましたが、5年間運営してきて、ある程度マップについては完成したんじゃないかと。そこで今後、既存のユーザーに新しい楽しさを与えていくにはどうしたらいいか。そうして考えた結果、新規職業の追加に行き着いたわけです。

――今までにないアップデートということで、やはり開発中には苦労もあったと思いましたが、特にどんな部分で苦労されましたか?

チェ氏:3Dのゲームと違って、やはり既存のモデルやモーションを流用することができず、すべて新規にドット絵を描き起こさなければならないのが大変でしたね。特に今回は、一次職の「海賊」から四次職の「キャプテン」「バイパー」まですべての職業を一気に追加するとあって、新しいスキルのアイデアを出すのにも苦労しました。

――特にオススメというか、「これは新しい!」「これは海賊ならでは!」といったスキルはありますか?

チェ氏:インファイター系の二次職に進んだ人は、ストレートやムーンサルト、スクリューパンチ、アッパーカットといった、肉体を生かしたスキルを組み合わせて戦っていくことになります。ひとつのスキルだけに頼るのではなく、様々なスキルを連続でつなげていく、コンボのような楽しさはインファイターならではでしょうね。ガンスリンガー系は逆に、フェイクショットやインビジブルショットといった、遠距離からの攻撃を得意とする職業です。

――同じ遠距離タイプとなる「弓使い」との違いは?

チェ氏:弓使いが、敵の攻撃が届かないほどの遠距離からの攻撃を得意としているのに対し、ガンスリンガーはもう少し近い距離で戦うタイプになります。そのかわり防御力は弓使いよりも高い。中距離タイプと言った方がいいかもしれませんね。

柳本氏:個人的には、やはりタルに隠れて敵をやり過ごす「オーク」のスキルが海賊らしいかなと。本物の海賊船にも、たぶんああいうタルはたくさん積まれていたはずなので、実際タルに隠れていた海賊もいたんじゃないかなと。

――本物の海賊に基づいていると(笑)。

アップデートの目玉となる「海賊」。育成ルートによって、インファイター系とガンスリンガー系の2系統へ分岐していく

「海賊」以外の新要素は?

――海賊の実装に関連して、新しいマップも追加されるとのことでしたが。

ネクソンジャパン 運用本部 第1運用室 運用1チーム チームリーダー 柳本隆氏

柳本氏:そうですね、海賊の拠点となる「ノーチラス号」が追加されます。また、秋以降には、日本オリジナルのマップを追加する予定です。

――マップ数としては、具体的にいくつくらい?

柳本氏:まだ正確な数については把握していませんが、およそ10マップくらい。といっても、これは船長室や寝室、食堂といったノーチラス号内の小さなマップも含めての数字になります。

今回追加される新マップのひとつ。中央に見える、クジラのような船がノーチラス号
 ※画像をクリックしていただくと マップを拡大してご覧いただけます

――クエストについては?

チェ氏:これも正確な数についてはわかりませんが、だいたい20〜30くらい。進めていくことで、ノーチラス号の船長カイリンや、海賊についてより詳しく知ることができるようなものを用意しています。

――もうひとつ、発表会では「時間の神殿」という新マップについても触れていましたが、こちらはどういったマップになるのでしょうか。

チェ氏:『メイプルストーリー』史上最強のボスが待ち受ける、高レベルユーザー向けのマップとなります。神殿の中で様々な時代を行き来しながら、色々なマップをクリアしていき、最後のマップまで辿り着けばボスと戦えると。クエストを進めていくなかで、プレイヤーは過去や未来へと赴き、様々な事件を解決していくことになります。

――そのほか予定している新要素としては?

チェ氏:まず「成長型アイテム」というものを考えています。従来のアイテムと違って「成長型アイテム」は、それを使って狩りをすることで経験値が得られ、これによって5段階に能力が変化していきます。

――ということは、「成長」と言っても他のゲームにあるような強化やエンチャントではなくて、どちらかと言えば一緒に戦い、育てていくペットのようなイメージに近い?

チェ氏:そうですね、その方が正しいと思います。それから「モンスターレイド」。これは、これまで出会ったボスを集めて、順番に戦っていけるものになります。

――実装時期についてはいつごろに?

柳本氏:すみません、このあたりはまだ韓国でも実装されていない要素になりますので、まだ具体的なスケジュールについては……(笑)。まず韓国で実装してみて、ユーザーから挙がってきた要望や問題点を吸収した段階で、じゃあ日本でも、ということになります。

――大体の目安というか、「希望」でも構いませんので(笑)。

柳本氏:そうですね、日本側としては冬くらいに入れたいところですが、あとは韓国側次第ということで(笑)。

――なるべく早くに実装されるようお祈りしています(笑)。


新コンテンツのキーワードは「新鮮さ」

――発表会の中で各国のユーザー層の違いについて触れていましたが、日本のユーザーについては何か特徴があったりしますか?

柳本氏:特徴といいますか、昔に比べてユーザー層が変わってきているなという感じは受けています。開始当初はオンラインゲーム経験者が中心でしたが、『メイプルストーリー』の認知度がどんどん高まっていくにつれて、オンラインゲーム未経験者の割合が増えてきた。もちろんこれはいいことなんですが、反面、こちらが「まさかここでつまづくことはないだろう」と思っているようなところで進めなくなっている人がいたり、新しい課題も出てきていますね。

――国ごとの違いで面白かったのが、タイの「基本経験値が他国に比べて1.25倍にもかかわらず、それでもレベルアップが難しいと感じるユーザーが多い」という点。こうした違いはやはり国民性によるものなのでしょうか。

チェ氏:やはり世界中を相手にサービス展開していくとなると、どの国でも同じものを、というわけにはいきませんよね。同じものでも、中には難しく感じる地域もあれば、問題なく遊べる地域もあります。このあたりは各国の動向を見て対応するようにしています。タイの場合は特別それが顕著だったと(笑)。

――よく国ごとの違いとして、韓国のユーザーは一人でもくもくとレベルを上げるのを好み、日本のユーザーはパーティやコミュニケーションの要素を好む、といったことが言われますが、『メイプルストーリー』ではどうですか?

柳本氏:たしかにそれもよく言われていますが、『メイプルストーリー』の場合コミュニティを重視するユーザーもいる一方、ソロで遊んでいる人もけっこう多いんです。というのも『メイプルストーリー』自体がまず、パーティを組まなくても進めるゲームバランスになっているというのが理由の一つ。それからもうひとつ、うちの場合ゲームパッドでプレイしている人が多いというのがありますね。パッドでプレイしていると、チャットをするのにいちいち持ち替えないといけない。

――たしかに、言われてみればそうですね(笑)。先ほどの基本経験値のほかにも、国ごとに独自の要素を入れたりしているんですか?

チェ氏:現地の雰囲気を生かした専用のマップを用意したりはしていますね。例えばタイだと水上市場、中国では少林寺といった感じで。

――先ほど日本オリジナルマップの追加について少し話が出ましたが。

柳本氏:日本では現在、オリジナルマップとして「ジパング」が実装されていますが、これに加えて「未来の東京(仮)」を追加する予定です。すでに「過去」と「現在」の日本マップについては実装してありますので、それなら次は未来にしようと。

――まだスクリーンショットについては公開されていませんが、具体的にはどんなマップに?

柳本氏:東京といっても、機械兵団に占拠され、すでに廃墟と化した遠い未来が舞台になります。そこへプレイヤーが赴き、未来の東京を救うと。「海賊」実装に伴って新規プレイヤーも増えるだろうということで、これまでは低レベルユーザーを意識したアップデートが続きましたが、「未来の東京(仮)」についてはかなり難易度の高い、高レベルユーザー向けのマップになる予定です。

――未来というので、てっきりもっと華々しい、未来都市のようなものを想像していました(笑)。

柳本氏:それとはまったく逆のイメージになるでしょうね(笑)。今回、新マップの舞台を「未来の東京(仮)」にしたのには二つの狙いがあって、一つは先ほど申し上げたとおり「高レベルユーザー向けのコンテンツを追加したい」というもの。もうひとつが「ユーザーに新鮮さを与えたい」ということなんです。そのためモンスターもこれまでとはまったく違うものになりますし、戦い方ひとつとってみても、うまくスキルを使って戦わないと思わぬ苦戦を強いられるようなものにしていくつもりです。

――最初に触れた「海賊」」もそうですが、今後の『メイプルストーリー』を見ていくにあたって、“新鮮さ”というのがひとつのキーワードになりそうですね。

柳本氏:5年間運営してきて、コンテンツについてはかなり揃ってきたと思っています。なので今後は単純にコンテンツを拡充していくだけでなく、それ以上のプラスアルファが必要になるでしょうね。

――今後予定しているイベントやキャンペーンなどはありますか?

柳本氏:今お話できる範囲ですと、昨年好評いただいた「スイカ割りキャンペーン」というのを、今年も夏休みに実施します。今年はさらに報酬として、昨年の「パラソルビーチ」にかわる新しいアイテムをご用意しますので、楽しみにしていてください。

――それでは最後に、ユーザーに向けて一言ずつ、おねがいします。

チェ氏:今回追加される「海賊」は、ユーザーの皆さんに少しでも新しい楽しさを提供しようと、かなり長い時間をかけて取り組んできたものです。実装されたあかつきには、ぜひ積極的に楽しんでみてください。

リュウ氏:サービス開始から5年、今ではたくさんのユーザーが『メイプルストーリー』で遊んでくれています。中には現在『メイプルストーリー』から離れてしまった人、それからまだ遊んだこともない人も多いと思いますが、アップデートを機に、ぜひまた『メイプルストーリー』で遊んでみていただけたらと思います。

柳本氏:おかげさまで『メイプルストーリー』もこうして5年目を迎えることができました。はじめてのアイテム課金制採用をはじめ、これまでのオンラインゲームにはなかった新しいコンテンツをどんどん導入してきた『メイプルストーリー』ですが、今後も皆さんに喜んでいただけるようなコンテンツを作り続けていきますので、末永く応援していっていただければと思います。

――本日はどうも、ありがとうございました。

今回の発表に併せて、Wizetのお二人はわざわざ来日し、記者らの質問に答えてくれた



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