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インタビュー
 

サンプルのコピペでゲームが作れちゃう「GAME BRAIN」開発者インタビュー

2008.04.26
関連URL:スクウェア・エニックス メンバーズ
関連URL:GAME BRAIN
 
 スクウェア・エニックスが運営する会員サービス「スクウェア・エニックス メンバーズ(以下、メンバーズ)」に、2008年4月10日(木)より、新コンテンツ「GAME BRAIN」が新たに追加された。

 これまでポイントサービスやゲーム、アバターといったコンテンツを中心に展開してきた同サイトだが、今回公開された「GAME BRAIN」は、ユーザーが自由にオリジナルゲームを作って発表できるという、従来のコンテンツとはやや性質が異なるもの。

 なぜこうしたサービスを始めるに至ったのか、実際にはどんな手順で、どんなゲームを開発することができるのか。本サービスの開発を担当した、スクウェア・エニックス ゲーム開発室の方々にお話をうかがった。

ゲーム開発室 室長 對馬正氏

プログラマー 春日秀之氏

デザイナー 今井仁氏


「もともとはプロ用のツールだった」
——そもそもこの「GAME BRAIN」というのは、どんな経緯で生まれた企画だったんですか?

對馬氏:実は3人とも、PlayOnlineの立ち上げ時期に、一緒に仕事をしていたことがあったんです。ご存知のとおり、PlayOnlineというのはPS2でもWindowsでも関係なく遊べる、マルチプラットフォーム環境が売りのひとつだった。それで、せっかくだからユーザーにも「マルチプラットフォームな環境で、何か作るということを楽しんでもらいたい」という考えがその当時からあって、これが出発点と言えるかもしれませんね。

春日氏:当時はまだ具体的なものはなにもなかったですし、あくまで小さな芽といった感じですけどね(笑)。

對馬氏:その後僕と今井は「SEAD Engine」という家電向けの組み込みエンジンの開発に関わることになるんですが、実はこの「SEAD Engine」上で動くアプリを作るためのツールが「GAME BRAIN」のベースなんです。

——ということは、もともとはプロ用のツールだった?

對馬氏:そういうことになりますね。1年前のGame Developers Conferenceでも少しお見せしたんですが、その後DS上で動くものを試作してみて、これをFLASHに移植したのが今回の「GAME BRAIN」ということになります。

現在公開されている6つのサンプルゲーム。ちょっとしたミニゲームから、本格的なパズル、シューティングまで様々なジャンルがある

キャラクタや背景のドット絵を自由にデザインできるグラフィックツール。16マス×16マス×16色のキャラクタ・背景をそれぞれ144個まで作成可能

——ユーザーが自由にゲームを作って公開できるとのことですが、具体的にはどんなゲームが作れるのでしょうか。公式のサンプルでは、アクションからパズル、それにちょっと変わったゲームまで、かなり幅広いジャンルのゲームが公開されていますが。

春日氏:基本的に、2Dのゲームであれば何でも作れます。もちろんプログラムのサイズなど制限ありますが、ジャンルの制限といったものは一切ありません。強いて言うなら「2D」ですかね。3Dも絶対にやれないというわけではないんですが(笑)。

對馬氏:アイデアさえあれば、まったく新しいジャンルのゲームを作ることもできます。

——ちなみにプログラムのサイズ制限はどれくらい?

對馬:100キロバイトまでですね。これはプログラムのテキスト部分だけの容量で、グラフィックと音楽はまた別になっています。

——ということは、かなり凝ったものもできそうですね。

春日:ファミコンのゲームや、ちょっとしたケータイアプリくらいなら、その気になれば完全再現もできると思いますよ。

今井:使える色数なんかは、ファミコンより断然多いですしね。

ドット絵のアニメーションも簡単に作成可能。サンプル素材も豊富に用意されているので、グラフィックが描けなくても大丈夫

効果音やBGMについては、あらかじめ用意されているものから選択する形に。BGMはそのまま商業作品に使えそうなクオリティ


「プログラミング部分はC言語がベース」

——最初のリリースでは、ドット絵のエディタなどの画像が公開されていましたが、肝心のプログラム部分はどんな感じになっているんですか?

ソースコードを書くためのエディタ。プログラミング言語はC言語がベースとなっており、知識とアイデアさえあればどんなゲームも自由自在

「GAME BRAIN」利用者のために用意されたマニュアル。初心者でもゼロからプログラミングを学べる「ゲーム脳道場」など、コンテンツはかなり豊富

對馬氏:基本的にはC言語がベースになっています。

——ということは、オブジェクト組み合わせでゲームを作っていく『○○ツクール』のようなものではなく、かなり本格的なプログラミングの知識が必要になる?

對馬氏:いえ、マニュアルを見ていただければわかると思うんですが、実際は意味なんかわからなくても、とりあえずサンプルをコピペすれば動くんですよ。それで、ああしたい、こうしたいとサンプルをいじっていくうちに、細かいところまでわかるようになっていく。

——たしかにマニュアルの流れはすごくわかりやすかったです。最初に簡単なプログラムがあって、意味はわからないけれど、とりあえずそれをコピペすると動く。で、次はそれをちょっといじってみると、動きがちょっと変わる。それで、ああ、この文章にはこういう意味があるんだ、っていうのが頭に入ってくる……。

對馬氏:そうそう、そんな感じでまったくプログラミングができない人でも、コピペしていじっていくだけで自然と覚えていけるものなんです。そのためのマニュアルもちゃんと用意してありますので、安心してください。そもそも最初にあえてプログラミング言語について触れなかったのは、初心者の方にそうした"壁"を感じてほしくなかったからなんです。

——いきなりC言語と言われると、腰がひけてしまう人も多そうですからね。

「ゲーム脳道場」では、簡単なサンプルコードを実際に貼り付け、動かしながらプログラミングの基礎を学習していくことができる

まったくのプログラミング初心者が作ったというサンプルゲーム『あながある!?』。開閉する穴のフタを操作し、動物たちを向こう側へ渡らせていく

對馬氏:あとはC言語と言っても、初心者がつまづきやすい要素はカットするなど、ちょっといじってあったりします。

——それは、たとえば具体的には?

對馬氏:たとえば"ポインタ"という概念があるんですが、これが初心者が最初にぶち当たる壁のひとつなんです。それを思いきって、今回は削りました。あとは"関数"を定義しなくてもプログラムが動くとか。

——最初からプログラミング経験がない人の利用を想定していたと。

春日氏:もちろんわかる人は、最初からバリバリ作っていただいて構いませんよ(笑)。

——ちなみにまったくプログラミングができない人が「GAME BRAIN」に触ったとして、どれくらいで1本のゲームを作れるようになると思いますか?

春日氏:サンプルゲームの中に『あながある!?』というのがあるんですが、これは実はまったくプログラムを知らないテスターさんに作ってもらったんです。

——そうだったんですか!

春日氏:その時は1ヵ月くらいでしたね。ただ、まだマニュアルすらなかったころですから。今ならもっと早いと思います。

「「GAME BRAIN」を中心とした、コミュニティの広がりに期待
——作ったゲームは、自分のサイトや「メンバーズ」内で公開したりできるんでしょうか。

對馬氏:正式オープンの際には、作ったゲームをブログパーツとして公開できるなどの展開を考えているそうです。それで、自分のサイトやブログを訪れた人に遊んでもらえると。

現在は「Yahoo! Games」と連動したゲームコンテストを実施中。作品受付期間は5月7日(水)から6月2日(月)まで

春日氏:あとは現在「Yahoo! Games」と連動したゲームコンテストを行っていますので、それに応募していただければ、優秀作品は「Yahoo! Games」上で「スクウェア・エニックス メンバーズ公認ゲーム」として公開されることになります。

——今後の予定については?

對馬氏:4月30日(水)で一旦、「GAME BRAIN」のユーザー募集は締め切らせていただき、コンテストの結果が発表される夏ごろに再度、正式にオープンする形になります。その際には、現在はエントリーをしないと使えない「GAME BRAIN」を、メンバーズ会員であれば誰でも利用できるようにしたいなと。また作ったゲームについては、メンバーズ会員以外でも遊べるようにしていくつもりです。

——ちなみに、現時点でどれくらいの人数が利用登録を?

對馬氏:これは言ってしまっていいのかな(笑)。現在までで、だいたい2,500人くらいです。締め切りまでもう少しあるので、締め切り直前でもっと増えるかなと。

——おお、意外に多い!

對馬氏:多いと見るかどうか、まだ社内では計りかねている部分もあったりしますが(笑)。

——そもそも今回、なぜ「GAME BRAIN」をメンバーズのコンテンツとして実装することにしたのでしょうか。ポイントサービスやアバターといった、これまでのコンテンツとはかなり路線が違うように感じられたのですが。

對馬氏:僕らはあくまで開発ということで、運営に関してはノータッチなのですが、ユーザーに喜んでもらえるサービスであれば新しいことでも取り組んで行きたいというのが基本方針のようですね。
 あとはゲーム好きな人なら必ず、"遊びたい"の裏側に"作りたい"というのがあると思うんですね。そんな"作りたい"をかなえてあげられたら、というのが第一の理由です。
 もうひとつの理由としては、メンバーズというコミュニティの上で公開することで、たとえば遊んだ人から反響をもらったり、また開発者どうしのつながりが生まれたりといった、コミュニティの広がりに期待したというのがありますね。

今後はチャットやBBS、アバターサービスといった、メンバーズ内のコミュニティを活かした広がりにも期待したいとのこと

春日氏:もともとDS版を作っていた時にも、たとえば作ったプログラムを学校に持っていって、みんなでうまくいかないところを相談しあったり、プレイした感想を語り合ったり、といった遊び方を想定していたんです。

——たしかにコミュニティとの相性はよさそうです。

對馬氏:今は皆さん一人でゲームを開発されていると思うんですが、いずれはメンバーズ同士、複数人で集まってひとつのゲームを作ったりとか、そんな遊び方をしてもらえると嬉しいですね。

——「ニコニコ動画」みたいに、誰かが公開したプログラムをまた誰かがいじって、それをまた誰かがいじって……といった流れも生まれたりすると面白そうですね。

あえて「プロっぽい」と言われるものを」
——それでは最後に、これから「GAME BRAIN」に触れるユーザーに向けて、ちょっとしたアドバイスをいただけますか 。

對馬氏:僕らが子供のころって、たとえば雑誌に載っているプログラムをとりあえず打ち込んでみて、それを動かしたり、改造していくうちに自然とプログラミングを覚えていった、という人が多いと思うんですね。たぶん今、第一線で活躍している人たちも、きっと最初はそんな感じだった。あまり難しく考えずに、みなさんも最初はサンプルゲームを改造するところから少しずつ始めていけば、自然とプログラムがわかるようになっていくと思います。

春日氏:今はWebのおかげで、サンプルコードのコピペや、ユーザー同士の情報共有が誰でも簡単にできる時代です。動かなかったら他の人に見てもらったり、遊んでみた感想を言い合ったりしながら、みんなでオープンに共有して楽しんでいただけたら嬉しいですね。

今井氏:ゲームクリエイターに憧れる人って、車で例えるなら、大衆車ではなくF1カーに乗りたい、と思うような人たちだと思うんですね。そういう人のために、今回はあえて「プロっぽいよね」と言ってもらえるような、本格的なツールを用意させていただきました。その分とっかかりの敷居はちょっと高いですが、それだけ色々なことができるようになっていますので、對馬からも言っていたとおり、ぜひ自由な発想のゲームを作っていただければと思います。10年後くらいに、この「GAME BRAIN」でプログラミングを覚えた人と、一緒に仕事ができたりしたら嬉しいですね。

——本日はどうも、ありがとうございました。



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