赤川氏はかつては『アーク・ザ・ラッド』シリーズなどを制作した経緯を持ち、Playstation.comなどのweb事業を手掛けた経験もある。web上の仮想空間とゲームを繋ぐPlaystation@Home(以下、Home)に適任の人物と言えるだろう。
赤川氏は、「よく既存の仮想空間、例えば『セカンドライフ』などとの違いを聞かれるんですよ。しかし、Homeはゲームを通じてゲームユーザーを繋げる仮想空間なんです」と前置きした。PS3はあくまでもゲーム機であり、そのPS3を介して、同じゲームを好きな者同士の結び付けるコミュニケーションの場という位置付けだ。PS3のゲームが点であるならば、その点と点を繋ぐ線のようなものになる。
すでに公開され、ご存知の方も多いと思うが、Homeでは3D空間でアバターとなるキャラクタを操作し、自由に動き回ることが可能だ。3Dアバターは顔の骨格から体型、眉の形といった細かい点までカスタマイズできる。とはいえ、テンプレートから選択するという方式なのでカンタンに多彩なアバターが作成できる。アバターは複数登録が可能で、その日の気分によって変更も自由とのことだ。
また、仮想空間内の操作は3Dのゲームと同じ感覚で操れるように作られており、例えばベンチに近づけばウィンドウがポップアップ、○ボタンで座れるというヘルプ的な表示が出る。仮想空間内ではソフトウェアキーボード(もちろんUSBキーボードも可)によるテキストチャット、また、コントローラでも手早く会話ができる定型文のクイックチャットが可能。また、ボイスチャットにも対応している。アバターのジェスチャーもかなりの数が用意されている。
Homeでは、それらのアバターで会話したりしながら、そのまま同じゲームで遊ぶこともできるようになり、例えばレースゲームの話で盛り上がったらそのまま対戦に突入ということもありえる(ただし双方がPS3のソフトを持っている必要がある)。その他にもHome内に設置されたミニゲーム(ボウリングやビリヤードなど)があり、これらはシームレスに遊ぶことができるようになっている。
さて、Homeは「ホームスクエア」という広場を中心に、ミニゲームなどを楽しむ「ゲームスペース」、自分でカスタマイズできる個々のユーザールーム「マイホームスペース」、ハイクオリティな映像を楽しめる「シアター」、将来的にオンラインで買い物が可能になる「ショッピングエリア(仮)」、様々なオンラインイベントが開催される「イベントエリア(仮)」などで構成されている。しかし最大の特徴として、他企業やゲーム会社が独自のエリア(ラウンジ)を構築、運営し、そこにユーザーを呼び込むことができる。
講演中、PS3の実機とβ版としてSCEで稼働中のHomeを繋いで、実際にアバターを制作して見せたり(なんと赤川氏そっくりのリアルなアバターをその場で制作)。Home内を歩きまわり、仮想空間内の様々な施設を紹介するデモンストレーションも行われた。ゲームスペース内にはアーケードゲームの筐体が設置されており、実際のアーケードゲームを実装することもできるようになっているとか。また、シアターではゲームのデモやプロモーションムービー以外にも多彩な映像を流せるようになっている。もちろん広告用スペースも用意されていた。
このように、多くの夢が膨らむHome構想だが、2008年春の稼動を目標としながらも、細部の仕様に関してはまだ不明な点も多い。講演後の質疑応答では、やはり注目度の高さから数多くの質問が寄せられたが、PS3を使用するがゆえにユーザーが限定されるのではと不安視する声もあった。PS3だけでなくPCによる展開はないのかという質問に、赤川氏は「そういったご意見が出るのは予想していますが、残念ながらそれに関してのコメントはできません」となかなか苦しい立場。また、Homeにいない人に対して呼びかけるメール的な機能はないのかといった質問にも「構想はあります」と答えるに留まるなど、仮想空間への集客という点においてはまだ疑問が残る。
赤川氏は「現状よりもPS3の普及台数を伸ばさなければならないとは思う。Playstation@HomeがあることによってPS3購入への動機になってくれれば……」と語っていたが、どの程度の影響力があるのかは未知数と言える。講演会場を見る限り、デベロッパーに対しての注目度は十分。ユーザー側へのアピールと施策に期待していきたいところだ。 |