元宮秀介のこれぐらい知っとけ
 
第23回
「教育系ソフト」はゲームか?否か?

2007.05.15
関連URL:任天堂
 

  『デューク更家の健康ウォーキングナビ』『美しい日本語の書き方 話し方』『まる書いてドンドン覚える 驚異のつがわ式漢字記憶術』『大人の女力検定』……これが何かお分かりだろうか。そう、5月6月に発売されるニンテンドーDSのタイトルだ。
  7月にはさらにこんなタイトルが出る。『角ちゃん式筋トレナビ』『どこでもヨガ』『一度は読んでおきたい日本文学100選』『山川出版社監修 詳説日本史B総合トレーニング』……。

 『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の特大ヒットに端を発したこの騒動だが、これら教育系のゲームソフトが5月から7月の3ヶ月の間に、およそ40タイトルも発売されるのだ。

 この状況、実は僕は好ましく思っている。こうしたタイトルのおかげで、ふだんゲームをしない人がニンテンドーDSに触れ、テレビゲームの世界へと誘うことができるからだ。
  テレビゲームの世界へと誘うといっても、何も彼らが『NEWスーパーマリオブラザーズ』や『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』で遊ばなくてもオーケーだ。各々、好きなタイトルだけを遊んでくれればいい。

 ニンテンドーDSの登場によって、テレビゲームの定義は一変した。既存のゲームは、まずルールがあり、システムがあった。例えば国民的RPGの『ドラゴンクエスト』を例にとれば、ルールは、最終ボスを倒すことであり、HPが0になると死んでしまうことだ。システムは、剣や魔法を使った複雑な戦闘やクラスチェンジなどがその一例だ。

 しかし、上記の一連のソフトの多くは、こうした複雑なルールやシステムは持たない。ミニゲームやクイズ形式になってはいるのだろうが、基本的にはタッチペンで画面をタッチして、切り替わる画面を見るだけだ。

 それでは、これらはテレビゲームと呼べるだろうか。僕はテレビゲームと呼べると思っている。僕自身のテレビゲームの定義は、ボタンを押して、映像が切り替わり、それが楽しければテレビゲームなのだ。極論を言えば、テレビのチャンネルをガチャガチャ変えて、それが面白く感じさえすれば、テレビゲームと呼んでいいのだ(面白くないけれど)。インターネットブラウザのボタンを押して、好きなサイトを表示するのも同様にゲームだ。Wiiの似顔絵チャンネルで、そっくりの似顔絵を作って満足すれば、それもゲームだ。

 テレビゲームは、ルールやシステムに縛られない。それを教えてくれたのが、ニンテンドーDSのタッチペンやWiiリモコンではなかったか。上記のゲームソフトに興じる人たちも立派なゲームユーザーなのだ。

 任天堂は4月末に開催した決算説明会で、ニンテンドーDSの国内での普及台数を1602万台と発表し、岩田聡社長は「一家に一台から、一人に一台が目標。これまでのゲーム機の販売台数の限界を超える」とまで語っている。
 
  この壮大な夢を実現するのは、前述した個人の趣向に即したソフト群だろう、と僕は想像する。まったく新しいタイプのゲームソフトがゲームの裾野を広げ、ゲーム人口を拡大するのだ。

■『デューク更家の健康ウォーキングナビ』
(C)DUKESWALK(C)2007 DORASU 
■『脳を鍛える大人のDSトレーニング』
(C)2005 Nintendo