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かねがね僕は、ニンテンドーDSは多くの人にとって、単なる「ゲーム機」の枠を超えた存在であることを提唱してきた。ある人にすれば「頭の回転をよくしてくれる楽しいマシン」かもしれないし、別の人からすれば「夕食のこんだてを考えてくれる便利なマシン」かもしれない。ヒットを記録しているソフトの中に、従来のゲームの枠には収まらないソフトが多いのがその要因だ。
任天堂自身もその点には非常に自覚があるらしく、ニンテンドーDSをことさらゲーム機であることは強調していない。別売の「ニンテンドーDSブラウザー」を使えば、パソコンのようにインターネットを見ることもできるし、地上派デジタル放送を受信する「DS地上波デジタル放送受信カード」の発売も予告している。
おもしろいニュースも飛び込んできた。東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムにおいて、11月11日(土)から来年の1月13日(土)まで開催される「スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡」では、展覧会の閲覧用端末として活用するのだという。
ニンテンドーDS本体を展覧会の観賞用ガイド機として無料で貸し出しし、客はニンテンドーDSを片手に展覧会会場を回る。ニンテンドーDSの画面には、エッシャーの作品が表示され、タッチペンを使用すると、作品を拡大表示することができ、細部までをしっかりと見られる、という。
この試みは、大きな反響を呼ぶことになるだろう。美術館のガイドとして「ゲーム機」が導入されることの意外性に加え、「作品をすみずみまで見渡したい」という知的好奇心を満たしてくれる利便性が高く評価されるはずだ。
ニンテンドーDSが展覧会のガイド機として使用されるのは、実はこれがはじめてではない。京都の嵐山にある「時雨殿」という施設をご存知だろうか。「小倉百人一首」をテーマにしたテーマパークだ。そこでは来場者全員に「時雨殿なび」と名前を変えたニンテンドーDSが貸し出され、京都の上空を自由に散歩できる「京都空中散歩」や、壁に並べられた小倉百人一首のパネルに近づくとその朗詠や解説を聞ける「百歌繚乱」といった展示がある。
僕はオープン間もない頃に「時雨殿」を訪れて、その光景に驚かされた。本当に小さな子どもから、おそらくはゲーム機などに触れたことはないであろう老人たちがニンテンドーDSを楽しそうに持ち、驚きの声を上げながら展示を楽しんでいたのだ。使用方法に迷っている人など、誰一人としていない。誰もがニンテンドーDSを慣れ親しんだ機器のように扱い、目を細めて「時雨殿」の中を歩き回っていた。これができるのも任天堂が提唱しているタッチペンやタッチパネルといったシンプルで直感的なインターフェースがあってこそ。おそらく「スーパーエッシャー展」でも同様の成功を収めるだろう。
僕はときどきこう思うことがある。一時期さんざん宣伝されながらも使い勝手の悪さなどから本格的な普及にいたらなかったPDA機器や電子書籍ビューワーの座を、このニンテンドーDSが占めるのではないかと。事実、ミリオンセラーを突破している「脳を鍛える大人のDSトレーニング」は、元々は書籍だったものをゲーム化したものだ。
ニンテンドーDSはこれからも「ゲーム機」の枠を超え、さまざまな活用方法が見出され、その利便性の高い操作方法から、多くの人に親しまれるだろう。
任天堂は据え置き型の新型ゲーム機Wiiを12月2日(土)に発売するが、それでもなおニンテンドーDSの今後の展開や発展性への興味はつきない。
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スーパーエッシャー展 ある特異な版画家の軌跡
多くのだまし絵を生み出したオランダの版画家M.C.エッシャーの作品展。東京・渋谷Bunkamura ザ・ミュージアムで、2006年11月11日(土)から2007年1月13日(土)まで行われる。詳しくは公式サイトにて参照のこと。
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