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任天堂の据え置き型ゲーム機Wii(ウィー)の発売日が12月2日(土)、希望小売価格が2万5,000円(税込)と発表され、マイクロソフトのXbox360とソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーション3と交えて、「新世代ゲーム機戦争」と騒ぐ動きがある。僕は、これに強い違和感を覚える。これから始まる商戦は、ニンテンドーDSとの商戦ではないか、と。
インターネットやDVDビデオ、iPod、携帯電話と娯楽があふれる時代、かつてのように携帯ゲーム機と据え置き型ゲーム機を律儀にそろえるユーザーはどれくらいいるのだろうか。
ご存知かもしれないが、ニンテンドーDSは発売から20ヶ月で1,000万台を販売した。これは家庭用ゲーム機史上の最速記録なのだそうだ。ニンテンドーDSは、そのソフト群によって、通常のゲーム機とは異なる捉え方をされている。「脳を鍛えてくれるマシン」「英語を勉強できるマシン」「バーチャルなペットを飼えるマシン」「料理のこんだてを考えてくれるマシン」……もちろん、『NEWスーパーマリオブラザーズ』や『おいでよ!どうぶつの森』のような300万本を超える大傑作のゲームもあってこそだが、多くの人の目にはニンテンドーDSは「携帯ゲーム機」としてではなく、「暮らしを豊かにしてくれる楽しい機器」のように映っているのではないだろうか。
これまでゲームをしない人たちは、その理由として「時間の無駄」「何の得にもならない」ことを挙げていた。ニンテンドーDSは、こうした反対理由を真っ向から飲み込み、ゲームをしない人たちすらも取り込んでしまったのだ。これは凄いことだ。
だからこれから始まる新世代機戦争とは、「Wii対Xbox 360対プレイステーション3」の対立構造ではなく、「ニンテンドーDS対Xbox 360」であり、「ニンテンドーDS対プレイステーション3」なのである。同じ任天堂の商品であるWiiとて例外ではない。つまり、「携帯ゲーム機と据え置き型ゲーム機の戦争」なのだ。これまでは据え置き型ゲーム機が主役で、携帯ゲーム機は脇役という役回りであったが、その座が入れ替わる可能性は十分にある。
僕たちはもう知っている。高性能な携帯ゲーム機であるニンテンドーDSがどれくらい快適なのかを。通学、通勤途中でも、待ち合わせの時間つぶしにも、眠る前のベッドでも、ニンテンドーDSは、僕たちを十分に楽しませてくれる。遊ぼうと思えば、手のひらの中にゲームの世界がすぐに広がる。これまでの家庭用ゲーム機のように、わざわざゲーム機のそばに歩いていって、DVD-ROMを挿入して、電源を入れて、ソファに座りなおす……そんな面倒な手間は一切不要なのだ。「いまさら据え置き型ゲーム機だって?」という倦怠感が生まれても不思議ではない。
しかし、さすがは任天堂。Wiiを発売するにあたり、目標を「ゲーム人口の拡大」とし、ニンテンドーDSの成功方程式は通用しない、と捉えている。
そのための方策は、十分に練られている。プレイヤーの体の動きをそのままゲーム中に伝える「Wiiリモコン」の発明。つねにWiiに電源を入れてもらえるようにするために情報番組「ニュースチャンネル」や「お天気チャンネル」の配信。ファミコンやスーパーファミコンなどの昔のカジュアルな名作ゲームをダウンロード購入できる「バーチャルコンソール」。離れた人とメッセージやデジタル画像をやり取りできる「伝言チャンネル」など、据え置き型ゲーム機だからこそできることはすべて実現している。ゆえにニンテンドーDSとWiiが共存できると考える。
ただし、ここでポイントとなるのは、そんな多彩なWiiの魅力を任天堂はどう伝えるのかどうかだ。わずか十数秒しかないコマーシャルでこれだけのセールスポイントをいかにもれなく使えるのか。その手腕が問われる。
そういう意味では『脳を鍛える大人のDSトレーニング』のCMは、画期的だった。 番組と番組の間のCM枠をまるまる買いきり、老年層や主婦層が「脳トレ」に挑戦し、脳年齢を上げるまでの流れを見せる1分間に及ぶショートフィルムといえる内容のCMを打ったのだ。
これ以上に説得力のあるCMはないだろう。こんな大胆なCMを試みられる任天堂だからこそ、WiiのCMやプロモーションは練りに練っているのではと想像し、今からその成果を見るのが楽しみで仕方がない。あなたも、こうした視座からこの年末の商戦をウォッチしてみるのも一興だろう。
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