@アキバ!がいど  

第3回
秋葉原ラジオ会館探訪の巻

2006.09.15
関連URL:秋葉原ラジオ会館
   
 

▲ビルは8階建て。上から下までいろいろな意味で“濃い”お店が詰まっています(各店舗名は8月11日時点のものです)
▲プレートは7階レンタルショーケース店「ボークス」の入口前に設置されています。地味なので見落とさないように
  秋葉原にはよく行くけど、「通」ってわけでもない、そんな微妙な立ち位置の記者が、皆様と一緒に秋葉原についてお勉強して秋葉通を目指そうという、そんなコーナーであります。今回は駅からすぐのショッピングセンター「秋葉原ラジオ会館」を散策します。

秋葉原の一等地にそびえ続ける
「世界のラジオ会館」

 「秋葉原ラジオ会館」は秋葉原駅西口を出て右ななめ前。黄色の看板に「世界のラジオ会館」と書かれた看板が目印のショッピングセンターで、通称「ラジ館」と呼ばれます。自ら「世界の」と名乗るとおり、扱う製品は多彩。1階だけ見ると普通のAV機器販売店のようですが、ビルの中にはさまざまな店舗が入っています。駅から歩いて1分もかからないということもあって、実は「ラジ館」は僕のいつものアキバ探索ルートの第一歩になっております。そんな行き慣れた施設の、あまり知らなかった歴史について調べてみました。
 この「ラジオ会館」は、元々昭和37年に秋葉原初の高層ビルとして建設されたもの。以降、家電やパソコン、そして現在の「萌え」系アイテムなど秋葉原の名物商品がどんどん移り変わるのに合わせ多くの店舗が入れ替わり、今では秋葉原の歴史を凝縮したようなビルになりました。
 その代表とも言えるのが、7階にある「パーソナルコンピュータ発祥の地」のプレートです。
 今を去ること30年前の1976年。パソコンの前身となるマイコンキット『TK-80』(※1)の販売拠点とするために、NECは「ラジオ会館」の7階にパソコンショップ『Bit-INN』を開設しました。これが当時のパソコン好きに爆発的な人気となり、毎週土日は開店前から手弁当を持った若者が店先に並ぶような状態だったそうです。この人気の影響は以降の「ラジ館」内だけではなく、秋葉原全体にも及び、パソコンショップ林立の一因となりました。
 その後ほかの店舗の充実もあり、『Bit-INN』は販売拠点からNECの最新製品を展示するショールームやイベントスペース的なものに変化していきます。そして時代の移り変わりとともに存在意義も薄れたのか、残念ながら2001年に閉鎖となってしまいました。ただし『Bit-INN』が日本でパソコンショップの端緒を開いた功績は大きく、記念のプレートがその跡地に作られることになったのです。
 このお店がなければ、現在オンラインゲームやインターネットもここまで普及していなかったかもしれません。「ラジ館」に寄ることがあれば、過去の秋葉原の象徴のひとつとも言えるこのプレートを、ぜひ拝んでおきましょう。

NEC製品のメッカ「ファーストポイント」

そういった歴史を感じるのにおすすめのショップが5階にある「ファーストポイント」です。こちらでは新旧問わずNEC製パソコンと関連製品を扱っており、入口近くには多くの古いパソコンがディスプレイされています。商品棚には、話でしか聞いたことのなかった5インチのフロッピーディスクドライブ(※2)や、8メガバイトの増設メモリなどがあり、「一体誰が使うんだろう……」などと余計な心配までしてしまいました。
 ただ店長さんに聞いてみると、顧客の4割が法人ではあるものの、こういった製品を求める個人のお客さんは30~40代を中心にまだまだ多いそう。特にNECの代表的なパソコン『PC-9800』の最終シリーズとなった『PC-9821Ra』(※3)などは現在もよく売れているそうです。自らの不勉強を反省しつつ、ほかの店舗も回ってみます。

▲先の話にある『TK-80』こそないものの、その後継機『TK-85』(※4)ほか古いパソコンが並ぶ


「マックスガレージ」で防犯はバッチリ!

 今世紀に入ってから、徐々にオタク系ショップが「ラジ館」に進出してきましたが、それでも以前の秋葉原の雰囲気を味わえるお店は多数存在します。1階には無線関連のショップが並び、4階には「萌え」なフィギュアとプロ仕様のガチガチな音響パーツが隣りあわせで売っていたり。こういった混沌としたところも、秋葉原を象徴する建物であると言えるでしょう。
 その中からもう1店舗、防犯&防災グッズを扱っている2階の「マックスガレージ」にお邪魔しました。元々卸業者のショールーム的な位置づけだったこともあってか、この店の一番のウリは防犯カメラの品揃えの多さ。売り場の壁には多種多様なカメラがびっしりと設置され、常に誰かに見られているような所在無い感じを受けながらも少し快感です。
 商品の値札の横には「電源:DC12V±10%/120mA」だとか「BNC変換」など、一見難しい言葉が並び敬遠してしまう人もいるでしょう。しかし、専門知識にとても優れた店員さんが、実際に使いながら製品を紹介してくれるので、安心して買い物に挑戦してみてください。
 確かに東京は救急車や消防車のけたたましいサイレン音がよく響き、身近に物騒な事件も多いような気がします(地方出身者の思い込み?)。そんな不安を感じる東京に住む小心者、もとい危機意識の高い方はここで安心できるまでグッズをそろえましょう。

▲膨大なカメラに写され、モニターに自分の姿が並んでスター(もしくは犯人)気分。右はタバコ型隠しカメラ


SHOP DATA
秋葉原ラジオ会館
営業時間:店舗により異なる
定休日:店舗により異なる
TEL:店舗により異なる
住所:東京都千代田区外神田1-15-16
[ Google Earthで確認 ]
※閲覧にはGoogle Earth(無料)が必要です
今回は古めの施設のお話ばかりになっちゃいました。文中でも触れたように、現在は毛色の違う店舗が増え、新旧多様なお店の集まった魅力的な建物になっています。秋葉原散策の行きにも帰りのも気軽に立ち寄れる場所なので、ぜひ自分好みのお店を探してみてください。



秋葉 NewWave

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■今月の紹介者
いつも通り大野です。最近アキバで「欲しいな」と思ったのは新しいとらのあなで見た「想像の斜め上へ」というキャッチフレーズのCDアルバム。
■秋葉原出没頻度
この連載を始めてから週2くらいになりました。
■よく行くスポット
メイドカフェ「JAM akihabara」。ビールがあって朝まで開いている手軽なスポットを秋葉原ではここしか知らないので。

■最近秋葉で話題の場所、モノ
辻将棋
秋葉原駅電気街口の改札口の前、ラジ館との間で辻将棋のオジサンとエンカウントしました。

謎の将棋指しとの遭遇
  ラジオ会館での取材が終わり、新宿へ移動するために改札口に向かおうとしたところ、道端に見慣れないテーブルが置いてありました。「はて何じゃろな?」とのぞいてみたところ9×9のグリッドがひとつ。そこに先ほどまでメイド喫茶のチラシを配っていたらしきオジサンが声をかけてきます。
「おぅ、兄ちゃん、将棋するかい?」
え、こんな天下の往来で将棋!? と思いながらも面白そうなのでこのオジサンに挑戦してみることに。

手書きの盤面で将棋を指しながら聞いてみると、仲間内から「ツジサカサン」と呼ばれるこのオジサンは、7月の半ばくらいからここに自前のテーブルを置いて将棋を指していること、1日に3~4人くらい相手にしていること、自称初段くらいの腕前ということがわかりました。う~ん、あやしい。そうこうしている内にギャラリーも付いてきたのですが、試合は早くも終盤戦。自陣はズタズタにされ玉将は丸裸で、
参りました
10年くらい前に駒の動き方を覚えただけという実力で、歯が立つわけもありませんでした。
自分のような素人はともかく、将棋のルールは知ってても普段はあまり指さない人は多いのでは? 秋葉原のど真ん中でできるこの辻将棋、まったく知らない人と同じルールで遊べる、ゲーム本来の楽しさを実感させられるいい機会になりますよ。

SPOT DATA
辻将棋
秋葉原駅電気街口改札前にある街灯の下


※1)『TK-80』……1976年日本電気(現NEC)が発売した日本初のマイコン。「TK」は「Training Kit」の略で、その名のとおり自分で組み立てなければならなかった。

※2)5インチのフロッピーディスクドライブ……約1.2~1.4MBの容量を持つ記録メディア。本当は5.25インチなのになぜか5インチと略されてしまう。

※3)『PC-9821Ra』……1993年からNECがリリースした、『PC9801』シリーズの上位互換機種のひとつ。「21」は「21世紀でも通用するように」との思いが込められたものだが、2003年でシリーズは幕を閉じた。

※4)『TK-85』……1980年に発売された『TK-80』のバージョンアップ版。ROMは768Bから2KBへ、RAMは512Bから1KBへと大幅に進化している。


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