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「『リッジ』らしさ+新しい『リッジ』」PS3『リッジ7』インタビュー |
2006/05/12 |
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PSをはじめとした様々なハードと同時発売され、市場の牽引役を担ってきた『リッジレーサー』シリーズ。その最新作『リッジレーサー7』の最新映像がE3で公開されている。 本作がこれまでと同様にロンチタイトルかどうかは明かされていないが、公開映像から新ハードの“実力”をまず最初に実感できるタイトルのひとつになることは間違いない。そして、それはユーザーに“ゲームのおもしろさ”として提供される。 では『リッジレーサー』が持つ“おもしろさ”とは、どこにあるのか。『リッジレーサー』は何を目指しているのか。『リッジレーサー7』の開発に携わっているアソシエイト・プロデューサー・寺本秀雄氏にお話を伺った。
■「ありえる、ありえなさ」それが『リッジレーサー』の本質
ジーパラ: 『リッジレーサー』は“リアルであってリアルでない、テクニックが必要であって、必要でない”ゲームであると思うのですが、そもそもどんなコンセプトで作られているのでしょうか。
寺本氏: 最近のレースゲームって難しいものが多いと思うんです。あんまり難しいと、遊んでいて上手く走れなくてなんだかおもしろくない。そんな気持ちになっちゃうでしょう。それでは、ゲームを遊んでいて楽しくないと思います。 でも『リッジ』は、コーナーでアクセル抜いてハンドル切れば、ドリフトでガーッと曲がっていってくれる。これって、気持ちいいですよね。「あ、曲がれた」って。スピード出して、そのまま曲がって、相手を抜いて、もしかしてオレって意外と上手い? プレイしてそんな気持ちを味わいたい、と。これが『リッジレーサー』なんです。 つまり『リッジレーサー』は一言で言うと、世界最高の「爽快感・スピード感・オレ天才感」を味わえるレースゲームです。
ジーパラ: オレ天才感?
寺本氏: そう、オレ天才感。ちょっとプレイしただけなのに曲がれちゃった。もしくはいきなり3位になっちゃった。これって、うれしいですよね。で、これが続くと「あれ、オレ上手い?」と気持ちよくなりますよね。これが我々が言っている「オレ天才感」です(笑)。
ジーパラ: では、ご自身が『リッジレーサー』をプレイして「オレ天才感」を最も強く感じるところはどんなところでしょう?
寺本氏: ドリフトですね。直線でスピードを出すことは誰でもできますが、カーブをハイスピードで曲がっていくことは難しいですよね。でも『リッジ』ではそれができる。これは気持ち良いですよ。
ジーパラ: 確かに、ちょっとプレイしただけでコーナーをドリフトで曲がれるというのはプレイして気持ちいいですよね。でも、それはレースとしてのリアリティとは離れていると思うのですが。
寺本氏: ええ。私たちはよく「『リッジ』って、“ありえる、ありえなさ”だよね」と言っています。 時速200Km出して、ドリフトでカーブを曲がる。ドリフトで曲がるとニトロが溜まる。現実世界ではありえないですよね。でも、これは気持ちいい、楽しい。私たちはレースではなく“おもしろいゲーム、おもしろいレースゲーム”を作っているんです。手軽にドリフトで曲がれる、クルマなのに何百メートルもジャンプする、もちろん現実のレースではありえません。ですが、『リッジレーサー』はゲームです。ゲームとしてそれがおもしろいんですから、積極的にそうした要素を取り入れていこう、と。 ただし、そこに現実感がないと突拍子もないものになってしまう。そこで、クルマやコース、街並みなどは現実世界に近いものにしているんです。こうした設定的な部分とシステム的な部分、両者が統一された世界で融合しているんですね。『リッジ』は、ありえる存在感のありえる世界の中で、ありえない爽快感を味わうゲーム、といったところでしょうか。だから、プレイして“リアルなんだけどリアルじゃない”という印象を受けるんです。 リアリティということですが、必ずしもゲームにリアリティだけが必要なわけじゃないと思います。だって、ゲームですから。先ほども申し上げたとおり、私たちはおもしろいゲームを作りたいんです。 でも、簡単すぎてもダメなんです。何でもかんでもすぐにできちゃうと、達成感がなくなっちゃう。それじゃ、やっぱりつまらないんです。手軽なんだけど、標準より上を目指すには練習が必要、そして達成感を味わえる。これもゲームとしてのおもしろさですよね。
ジーパラ: なるほど。ゲームとしておもしろい部分はどんどん吸収し、そこにリアルかどうかはさほど考慮しない。何よりもおもしろいものを目指す、ということなのですね。
寺本氏: ええ、それが『リッジレーサー』です。 何作品か『リッジレーサー』のシリーズを作ってきて、自分たちの中でもいろいろなものが蓄積されてきました。じゃあ、それを踏まえて「『リッジ』らしい『リッジ』を作ってみよう」と思って作ったのがPSPの『リッジレーサーズ』です。 これが全世界で150万本以上の出荷を記録して、海外のユーザーと話したりすると、すごく評価してくれているんですね。「ああ、やっぱり『リッジ』はこれでいいんだ」と。
ジーパラ: 反対に、制作の最中に悩むことってありますか?
寺本氏: それは、ありますよ。毎回、何かしら悩みます。でも、必ず悩むのは操作しているときの気持ち良さと、ビジュアルのバランスですね。たとえば、マシンのパワーをビジュアル面にばかり傾けると操作的な部分に弊害が出てしまいます。逆もまた然り。このバランス調整は、毎回、悩みます。
■シリーズの進化は時代の反映。『リッジレーサー7』の新要素は
ジーパラ: PSの『リッジレーサー』をはじめ、PS『リッジレーサー4』のテールランプ、Xbox360『リッジレーサー6』のアスファルトと、様々な面で「おっ」と思わせる要素が入ってきていました。
寺本氏: タイトルの開発をしていく中で、その時代ごとにスタイリッシュなもの、かっこいいものを表現やシステムに取り入れてきました。テールランプとかもそのひとつですね。 ですが、部分、部分でその都度何か考えるのではなく、世界の中に出したときに格好よく見えるものを作ろう、という姿勢で歩いてきました。これが『リッジレーサー』の良いところだと思います。 これは技術の一面でしかありませんが、たとえば2004年にPSPという新しいハードが出ました。では、その新しい“時代”にあわせたものを作ってみよう、というもっとタイトルそのものに合致する面でもあります。これが2005年であればXbox360、そして2006年の今はPS3、だと。 これらはシリーズを重ねていって得たノウハウでもあるんですが、タイトルに盛り込んでいくときに「じゃあ次はこうしよう」という思いが出てくるんですね。しかも、それをただ次回作に入れ込むのではなく、またその時々の状況に合わせて変化させて入れていっています。そうしていろいろな要素や映像表現などを加えてきたのですが、もちろん『リッジレーサー7』でも、新しい要素が加わります。
ジーパラ: 『リッジレーサー7』における新要素とは、何でしょう?
寺本氏: まだ具体的にお話しすることはできないんですが、オンラインに注目しています。 とはいえ、コンシューマユーザーにとってはまだまだオンラインって馴染みが薄いかもしれません。でも、『リッジレーサー』はもともと対戦プレイを楽しむゲームです。きっと、ユーザーさんにとって『リッジレーサー7』におけるオンライン対戦は楽しめるものになるはずです。 最終的にどうなるかは未定ですが、現在14人対戦ができるよう、がんばっています。14人で走ると、アツイと思いますよ。
ジーパラ: 14人対戦、アツそうですね。ところで、複数人数で遊ぶのは対戦機能だけですか?
寺本氏: 協力プレイもあります。友達が家に遊びに来たとき、いろいろとできると楽しいですよね。協力プレイはオンラインでもオフラインでも遊べるようにしたいです。また、協力プレイ以外の要素もあります。詳しくはまだ内緒ですが(笑)。
ジーパラ: 『リッジレーサー』で協力プレイ、とても気になります(笑)。他には、どんな要素が加わりますか?
寺本氏: 他には…カスタマイズですね。クルマのデザインを変えるとか。実は、カスタマイズについてはユーザーさんから意見が寄せられていたんです。なので、それを反映させたような形になりますね。 ちなみにカスタマイズパターンは20万とおりくらいになります。でも、煩雑なものではありません。とても手軽にカスタマイズを楽しむことができるようになっています。すっごく派手にして目立たせたり、とてもかっこよくして自慢したり。せっかくオンラインで世界中の人と対戦できるんですから、自分のかっこいいクルマで自慢したいじゃないですか。「自慢」がひとつのキーワードですね。 いろいろいじることができても、その手順が難解だと、いじる気がなくなっちゃうじゃないですか。そんなことにはしたくないので、手軽さには気を配っています。 そうそう、カスタマイズといえば、外見だけでなく“成長”のようなものもあります。
ジーパラ: それはクルマの成長、ということでしょうか?
寺本氏: いえ、それだけでなく“クルマとの関係の成長”という要素もあります。 たとえば、このクルマ、すごく気に入っているけどちょっとカーブが曲がりにくい。だったら少し曲がりやすくしよう。そうすれば、このクルマに乗り続けられる。「自分らしいカスタマイズ」ですね。 こんな風に、自分のクルマを自分が乗りやすいようにカスタマイズする、ということですね。言い換えれば、クルマを育てる、自分らしくクルマを換える、という感じですね。もちろん、これも煩雑なものにはしません。
ジーパラ: つまり、カスタマイズのキーワードは「自慢できる」「自分らしく」「手軽にできる」の3つ、ということですね。
寺本氏: そうですね。それが『リッジレーサー』ですね。
■PS3で描く『リッジレーサー』は「こだわりはそのままで新しい姿」
ジーパラ: すでに『リッジレーサー7』の開発は佳境に入っていると思いますが。
寺本氏: というか、最初から佳境って感じでしたね(笑)。新しいハードで作る最初のタイトルは、ハードそのものの確認から始まりますから。 F1にたとえると、新ハードがF1カーで僕らがドライバー。テストランをして意見を出し、それをメカニックに伝える。これを何度も繰り返してハードを作っていくことになります。
ジーパラ: 御社からの意見をSCE側に伝える、ということですよね。それでPS3の仕様が変わることってあるのでしょうか?
寺本氏: ええ、ありますよ。SCEさんとは長い付き合いですし、これまで何度も新ハードの立ち上げ時にタイトルを出してきましたから。会社の場所もお互い近いですし、SCEさんとはいろんな意味で近い距離にいると思います。
ジーパラ: それでは、PS3をどうご覧になっていらっしゃいますか?
寺本氏: 細かいところは抜きにしても新しいチップのパワー、ビジュアル部分のエンジン、サウンド、どれもおもしろいです。PS2のときは「DVDを作れる」だったんですが、PS3になって「映画を作れる」になったと感じました。本当に、サウンドなんかも楽しいんですよ。
ジーパラ: ということは、開発もしやすい?
寺本氏: いや、それはまた別の話ですね。やはり独特の難しさがあります。でも、私たちって、新ハードが好きなんですよ。見ると、「あぁ、使いこなしたい」ってすぐに思うんですね。もう、この瞬間にハードの性能を限界まで引き出したものにしたい、って。PS3のパワーを最大限まで引き出すとこんなこともできる、という新しいアイディアが出てくるんです。さらに、「これをやれば一層クオリティの高い『リッジレーサー』が作れる」と。そう思うと、もうたいへん(笑)。一生懸命、考えちゃうんですね(笑)。
ジーパラ: なるほど。では、すでに手応えを感じていらっしゃる、と。それを踏まえてお聞きしますが、『リッジレーサー7』は既存の『リッジレーサー』と変わりますか? それとも同じですか?
寺本氏: ……難しいですね。プレイした感覚、私たちが常に念頭においている「爽快感・スピード感・オレ天才感」は変わりません。ですが、それを感じる“質”はきっと変わります。もっと良いものになります。もちろん、ビジュアルや演出面も同様です。テイストやイメージは変わらないんだけど、その感じ方は変わる。といったところでしょうか。 具体的なことは言えないんですが、ハードが新しいものになり、スペックが上がる。すると、同じような演出を行う際の見せ方やデータの使い方などが変わるんです。『リッジレーサー7』もそうなりますね。
■この映像は『7』ではない。PS3で展開する『リッジレーサー』である
ジーパラ: すると、すでに公開されている映像に、今おっしゃられたような内容は含まれているのでしょうか?
寺本氏: いや、そうでもないですね。そもそも現在、公開している映像は厳密に言うと『リッジレーサー7』ではないんです。PS3で展開する『リッジレーサー』のコンセプト映像なんです。クルマで言えばコンセプトカーといったところですね。 とはいえ、まったく『リッジレーサー7』に関係がないのかというとそうではありません。実はいろいろなキーワードを隠しています。
ジーパラ: キーワードというのは?
寺本氏: 映像の中に、メニュー画面っぽいところがあるのですが、そこに英語や日本語、韓国語、フランス語などでいろいろな文章が書かれています。それを読み解くと、これから私たちが『リッジレーサー』でやろうとしていることが少し、わかるかもしれません。 あと、キーワードではないですけど、永瀬麗子にも今までとはちょっと別の役割が用意されています。
ジーパラ: そのキーワードですが、ヒントだけでも教えていただけませんか?
寺本氏: いや、教えてしまうとつまらなくなってしまいますので、それはなしということで。じっくり、映像を見てください(笑)。
ジーパラ: わかりました。何度も見てみます(笑)。
寺本氏: ひとつ言えることは、これまで積み上げてきた“おもしろいゲームを作っていく”ことは今後も変わりません。そして、その根幹が「爽快感・スピード感・オレ天才感」であることも同様です。ただ、その感じ方や質は確実に向上します。 現在、なるべく早い時期にお届けできるよう、制作を進めています。期待して、お待ちください。
ジーパラ: ハードと同時発売であることを願っています(笑)。本日は、ありがとうございました。 |