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プレスリリース  

グラヴィティ金会長が語る、現在の心境とこれから

2005/09/18
   
 
 東京ゲームショウ2005開催中の9月17日(土)、グラヴィティ現会長の金 正律(キム・ジョンリュル)氏のインタビューを行った。先に報道したように、金氏は自身と親族が保有していたグラヴィティ株式を売却し、グラヴィティ社を事実上“手放した”ばかりだ。
 折しも東京ゲームショウでは、金氏が会社創立以来育ててきた『ラグナロクオンライン』の続編である『ラグナロクオンライン2』が発表されたばかり。氏の現在の心境と、これからについて訪ねてみた。

―20代でゲーム会社を設立し成功を収め、94年には韓国ゲーム協会KAMMAを創立、会長を務め、そして2000年に自身で設立したグラヴィティをわずか5年弱でここまで大きな会社に育てました。今回、会社を手放すことになったわけですが、現在の心境を教えて頂けますか?

金氏  私はグラヴィティを、それこそたった5人の社員からスタートさせて、600名弱もの規模にまで育てて来ました。ですから、グラヴィティに対して、それこそ並々ならない愛着と愛情を持っています。『ラグナロクオンライン』は大きな評価を受けることが出来ました。私たちは自分の製品に自信を持っていますし、市場からも大きな支持を受けたとも思っています。しかし反面、資本市場においては、私たちの企業価値に見合う評価を受けることが出来なかったという思いも抱いています。
NASDAQに上場したことにより、グラヴィティは私一人の会社ではない、多くの株主の方の利益を考えなくてはいけなくなってきました。そのとき、株式市場で受けている(低い)評価が、株主の皆様の利益を損なっている、申し訳ない、と考えるようになりました。
今、たとえば中国のゲーム企業が高い評価を受けている中で、私たちが韓国企業であるために低い評価を受けてしまっているのではないかという風にまで考えたこともありました。
グラヴィティが今後も発展していくためには、世界をフィールドとしたグローバルな企業にならなければならないと、そのように考えるようになりました。それが、今回の決定の理由です。
そうは言っても、今後も私は、アドバイザーという立場にはなりますが、グラヴィティと関わって行きたいと思っています。グラヴィティへの愛着は消えるものではありませんし、グラヴィティの発展を助けていきたいと考えています。

『ラグナロクオンライン』と言うタイトルは、非常に大きな可能性があるコンテンツでした。ワンソース・マルチユースの戦略にも、とても向いているタイトルでもありました。これは、私がとてもやりたかったことですし、とても恵まれていたと思います。

―今回のステージイベントでも、壇上でコメントを行っていましたが、今後もグラヴィティの“顔”として活動を続けていくおつもりですか?

金氏 (9月21日に行われる臨時株主総会での決定以降)私は、経営から離れた立場になります。それ以降は、純粋に“アドバイザー”であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
 しかし、今までグラヴィティと言えば私の顔を思い浮かべてくれたユーザーの人たちがいてくれたことは確かですし、それを考えて今回もステージに立ちました。これからグラヴィティに変化が訪れたあと、徐々にグラヴィティと私の関わり合い方にも変化が訪れるだろうとは思っています。
 今後、アドバイザーとして関わっていく理由は、グラヴィティが安定した経営を続けていくため。投資家の皆さんや今まで関わって来た関係各社の皆様のためという要素が強いです。ですので、安定して会社が動くまでは、このような立場で働いていたいと考えています。

―グラヴィティは“グローバルな企業”にならなければならないとおっしゃっておりましたが、金氏が考える“グローバルな企業”とは、どのような物でしょうか?

金氏 ゲーム会社としてのグローバルな企業と言うものを考えたとき、ですね。ゲームというのは文化である、文化的なコンテンツビジネスだと考えています。グローバル化を行ったからゲーム企業が成功すると言うのは別のことだと思っています。普通の企業でしたら、韓国で開発した物を各国に提供すれば、それはそれで「グローバルな企業」なのかもしれませんが、私が考える本当のグローバルなゲーム企業とは、各国の文化を吸収し、“現地化”を行えなければならないと考えています。(単純なローカライズなどではなく)その国にあった文化を取り入れて行かなくてはならないのです。ヨーロッパであればその歴史背景や文化を取り入れなくてはならないし、南米なら南米、中東なら中東と、どの国に進出するにあたっても同様です。どんどん他の国に進出していくだけでなく、“現地化”が出来なくてはいけない。それは、ゲームの内容だけでなく、マーケティングなどに関しても同様ですね。
 『ラグナロクオンライン』のアマツやコンロンなどは、そのような方向を向いて作った物です。その国の人が知っているものが出てくる。そう言ったものが必要です。
 私はグラヴィティの経営からは離れますので、今後グラヴィティがどうするかは私が決めることでは無く、次の経営陣が決定することですが、私個人としては各国に開発スタジオを置いて、それぞれの国で開発を行うと言う方法も、有効だと思っています。

―後任の方は、金氏から見てどのような方だとの印象を受けていますか?

金氏 日本から新たな経営陣が来てくれて、既存の経営陣の一部と共に経営を行っていきます。いわば、日本と韓国が共に経営していくような物になると聞いています。これによって、グラヴィティはもっと大きくなっていくと思っています。新しい経営陣は、ゲーム業界での実績もあり、非常に優秀だと聞いています。

―今後、金氏ご自身はどのようにされる予定ですか?

金氏 私個人のことに関しては、来年の上旬くらいまではグラヴィティでアドバイザーとして働き、グラヴィティのために努力していきたいと思っています。しかし、その後のことは決まっておりません。そのタイミングが来たときに、ゆっくり考えなくてはいけないなと思っていますが、まだ考えていません。
 しかしですね、私はとても日本が好きなんです。日本のユーザーが『ラグナロクオンライン』を愛してくれていたと言うことにも、とても感謝しています。今後、どこで何をするかは決まってはいませんが、日本とも関わっていたい。場合によっては、日本で新たなスタートを切ると言うことも考えています(笑)

―ありがとうございました。ところで、今後もゲーム業界にはいてくれますよね?

金氏 (日本語で)ええ、死ぬまで(笑)私はもう、30年近くもゲーム業界で働いていたんですから(笑)私の人生はゲームの人生なんだと考えていますよ(笑)



金 正律氏の、グラヴィティに対する愛情、自社のコンテンツに対する愛着を、非常に強く感じたインタビューだった。金氏はグラヴィティの経営から離れることに、寂しさを抱いているように見えた。しかし、これからのビジョンを口にする時に見せた笑顔は、大きな希望を抱いた若者のようにも見えた。再びゲームのフィールドで、金氏の笑顔を見る日が、遠くない未来にきっと来るだろうと予感せずにはいられない。


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