欧米ゲーム事情  

クラウドファンディングに関心をもつゲーム開発者たち

2012.02.17
デヴィッド・ジャッフェ氏のインタビュー(英語)※Gamasutraより
クリス・アヴェローン氏のスレッド(英語)※Obsidian公式フォーラムより
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 ゲームの開発資金を調達する手段として、にわかに脚光を浴びているクラウドファンディング。新たな可能性に開発者たちは興奮しているが、慎重な姿勢も崩していないようだ。

 「ポイント&クリック式のアドベンチャーゲームを作りたい」と、クラウドファンディング・サービス“Kickstarter”で先日声を挙げ、またたく間に多額の開発資金を集めてしまったDouble Fine。この記事を執筆している時点で、集めた金額はすでに約190万ドル(US)(日本円で約1億5000万円)にのぼり、後援者の数は5万5000人を突破している。

 予想をはるかに超える結果を受けて、開発者のティム・シェイファー氏は最新状況を知らせるビデオをアップ。「PC、Mac、Linux、一部のiOS/Androidデバイスに対応させる」「英語のボイス付きで、テキストは英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語に対応」「デジタル配信サービス“Steam”で後援者向けにベータ版をリリースし、フルリリースはDRMフリーになる」と述べた。

 この大反響に、他の開発者も強い関心を示している。例えば、PS3ゲーム『Twisted Metal』の開発を終え、サンディエゴで新たなスタジオをかまえようとしているデヴィッド・ジャッフェ氏もそのひとり。「Kickstarterでティムがやったことを見た。クラウドファンディングはもちろん検討するよ。100万ドルも集まるだろうかって思うと少し怖いけれどね(笑)」

 また、1999年に高い評価を浴びたRPG『Planescape: Torment』の開発者で、現在はObsidian Entertainmentに勤めるクリス・アヴェローン氏も「新しいビジネスモデルの誕生だ。ゲーム開発の道が新たに開かれた気がする」と興奮の面持ち。「Kickstarterで資金を集めるとしたら、どんなゲームを作ってほしい?」と、公式フォーラムやTwitterでゲーマーの意見を募っている。

 さらに、Interplay社の創設者で、現在はinXile Entertainmentを率いるブライアン・ファーゴ氏も、1988年に手がけた『Wasteland』の続編を企画中。『Wasteland』は核戦争後の世界を舞台にしたRPGで、『Fallout』シリーズの前身ともいえる作品だ。その権利をエレクトロニック・アーツからすでに買い取り、続編の開発資金をKickstarterで募ることを検討している。「メジャー路線に迎合せず、前作に100%忠実な作りに。見下ろし型(おそらくは斜め見下ろし)の画面で、パーティ制・スキルベースのRPGにする」ということだ。

 このほか、Double Fineの成功とはまったく別の動きとして、インディ系開発者向けに資金調達をサポートするクラウドファンディング・サービス“Gambitious”が、3月に立ち上がる予定となっている。

 しかし、クラウドファンディングの将来性について、どの開発者もまだ確信を持てないのも事実。例えばジャッフェ氏は次のように言っている――「Double Fineが200万とか800万ドルという額を来月に達成したら、それは新たな資金調達の兆しといえるのか。真の疑問はそこにある。ティム・シェイファーの名前で一時的に起きた現象にすぎないのか、それとも、新たな波が本当に訪れるのか。まだわからない」。また、「みんなのお金を使わせてもらうわけだから、期待は決して裏切れない」と、資金調達の責任も強く意識しているようだ。

 クラウドファンディングが資金調達のあり方を根本的に変え、開発者とゲーマーを直接つなげることで、ゲーム業界でも“中抜き”が当たり前となるのかどうか、断言するのはまだ早い。今でも、無名の開発グループが多額の資金を集めるのは難しいのだ。しかし、クリエイターは今後、クラウドファンディングのもつ可能性を少なくとも無視することはできないかもしれない。

(中島理彦)

■関連リンク
Gambitiousのローンチを報じる記事(英語)※GamesIndustry.bizより
『Wasteland』プロジェクトを報じる記事(英語)※IGNより

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