先週、米疾病対策センター(CDC)の調査で、「ビデオゲームをする男性はしない男性と比べて体重が重い傾向がある」「(ゲームをする)女性は落ち込みやすく健康状態の悪い人が多い」ことが判明――と報道された。政府機関所管の研究所が行った調査だけに、一般の大手メディアも大きく伝えたようだ。
ところが、上の報道に対し、テクノロジー/ゲーム関連のメディアから疑問の声が噴出している。
記者たちは、報道のもとになった発表資料を読み込んで、さまざまな指摘をしているところ。ゲーム/政治関連の話題を報じる“GamePolitics”が、そうした声を拾い集めている。
例えば“CNET”は、今回の研究におけるサンプル数の少なさや、データ収集方法の問題、対象地域の限定を根拠に挙げて、「結果を少しは疑ってかかる必要がある」と批評している。
確かに、今回のデータは、ワシントン州西部に住む552人を対象にネット調査を行って得られたもの(もともと同地域は降雨量が多く、家にこもってゲームをする人が多いために対象地域に選ばれたようだ)なので、いきなり全米の傾向としてとらえるのはムリがある。そのことは、研究を行った当人たちも認めているのだが、先の報道ではちゃんと伝えきれていないかもしれない。
また、被験者の大半は、ゲーマーである/ないとにかかわらず、もともと体重が重い傾向にあった点も見逃せない。男性ゲーマーの平均BMI(ボディマス指数)は28.05、非ゲーマーは26.55で、どちらも評価は「多め」と、同じ範疇に入る。ゲームニュースサイト“GameStooge”もこの点を取り上げ、「アニメ“ザ・シンプソンズ”の親父キャラ・ホーマーと、(体型がほぼ同じ)コメディアン・クラスティーの違い程度」と形容している。
さらに“Ars Technica”は、この研究が2006年のデータに基づいていることに注目。というのも、この時点ではWiiはまだ市場に出ていなかったのだ。そのため、ゲーマー層の新規開拓に貢献したとされるWiiが出回っている今日では、調査結果はさらに違ってくるであろうことは想像に難くない。
しかも「体重が重い」「落ち込みやすい」ことと、ゲーマーであることとは関連性が認められるだけで、ゲームそのものが原因とは限らない。先日、欧米ゲーム事情で紹介したように、もともと落ち込みやすい人が、ゲームで気分転換をはかっているケースも多いはずだ。
このように、研究にはまだまだ課題が残されていることは明らか。今後も、広範囲・長期にわたる探求を続ける必要があるのだろう。
(中島理彦)
【関連コンテンツ】
・ゲームはストレスやうつの症状をやわらげる? メンタルヘルスの研究
|