欧米ゲーム事情  

声優のアフレコ反対! キャラのセリフは“異質言語”でなきゃ、との声

2009.08.19
該当記事(英語)※Destructoidより
 ゲームキャラのセリフに、声優のアフレコ音声をあてるのがすっかり当たり前になっている昨今。しかし一方で、聞き取り不可能な言葉をキャラにしゃべらせて、セリフを字幕で読ませるゲームも存在する。

 それは、音声データを媒体に収納しきれないという技術的な事情によるのかもしれないが、聞き取り不可能な言葉――“異質言語”を用いることで、逆に生まれる利点もあるだろう。今回紹介するのは、「ゲームにはアフレコ音声より、異質言語のほうが効果的」と訴えるコラムだ。

 このコラムは、ニュースブログ“Destructoid”でJonathan Holmes記者が執筆したもの。「最近のゲームは、アニメやハリウッド映画を真似ようとして、アフレコ音声に重きを置きすぎている。しかし、リアリズムはもともとゲームの強みではないし、ゲームが目指してきたことでもない。むしろ独自の強みを生かすべき」というのが彼の主張だ。

 Holmes記者は、異質言語を用いるゲームとして以下のタイトルを挙げている。

 『スターフォックス』……子供にアピールするディズニー調のキャラが、SFの世界で大活躍。異質言語をしゃべらせることで、“言葉をしゃべる動物”ではなく“異星人”としての立ち位置が明確になり、大人のSFファンをも納得させた。

 『花と太陽と雨と』……シュールなストーリーに異質言語が見事にマッチ。セリフを読むうちに、登場人物とテレパシーで意思疎通しているような不思議な気持ちになってくる。

 『どうぶつの森』……本作の舞台は私たちの現実世界に似ているけれど、もっと親しみやすくて楽しい世界に表現し直されている。「どうぶつ語」もその表現に貢献している。

 『LocoRoco』……上に紹介したタイトルの利点をすべて備え、出色の出来。

 さらに、ちょっと変わり種のケースも。

 『ストリートファイターII』……「波動拳!」「昇龍拳!」などはアメリカ人にはまったく意味不明だが、今でも記憶に残るセリフ。キャラが何を言っているのか、アーケードファンの議論の的になっていたそうな。

 『シーマン』……親は、子供が生意気盛りになると「幼い頃のほうがかわいかった」とこぼすものだが、シーマンでも同じことが言える。いったん流ちょうにしゃべりだすと、舌足らずだった頃のシーマンが懐かしく思えてくる。

 『王様物語』……王様の家来のセリフは、「My King!」「Yes, sir!」といった一部のセリフを除き、すべて異質言語。王様は、ひょっとしたら自分に従う言葉以外は耳に入らないのかも。尊大な王様心理を表現しているのでは?

 『塊魂』……「大コスモの王様」という強烈なキャラは、とうてい人の声で表現しつくせるものではない。制作サイドは賢明にもアフレコを避け、“レコードのスクラッチ”という効果音をあてた。これが、脳天気で型破り、リリカルな王様のキャラにピッタリだった。

 アフレコ音声が入っていないゲームを“しょぼい”とみなす風潮は、メーカーやゲーマー、レビュワーの間でも見受けられるが、ゲームは映画・テレビなどとは違い、プレイヤーが能動的にかかわるメディア。受け身で聞き取れるアフレコ音声より、プレイヤーの想像をかきたてる異質言語のほうが、たしかに向いているのかもしれない。技術の進歩によりハードの制約がほぼ取り払われた今日も、異質言語は有効な表現手法となっているのではないだろうか。

(中島理彦)

 
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