今年のE3で、コントローラを用いない新技術として強烈なインパクトを放った“Project Natal”。実際の使い心地や価格など、まだ未知数の部分は大きいが、E3の発表から2カ月たった今、ゲームクリエイターたちが同技術に寄せる期待や慎重の声が、少しずつ明らかになってきている。
まず、『Tom Clancy's Splinter Cell: Conviction』でリードデザイナーを務めるSteve Masters氏の声から。「ぜひNatalを使ってみたいね。教育ソフトをすごく面白くできるだろうし、思わず没頭してしまうようなビデオゲームも作れるだろう。クールな可能性がいっぱいあると思う」(Joystiqより)と、同氏は期待に目を輝かせているようだ。
また、音声で指令をくだすリアルタイム・ストラテジー(RTS)『Tom Clancy's ENDWAR』の開発チームを率いたMichael de Plater氏も、コンシューマ向けのRTSを新たに活気づける機会として、Project Natalに期待している様子。
「音声と身振りの組み合わせを使えば、本当にパワフルな体験を生み出せそう。選択ボックスのドラッグや、目的地の正確な指示だってできるかもしれないね。映画『マイノリティ・リポート』に出てきたようなインターフェイスを楽しめるのは間違いなさそうだ」(VG247より)
その一方、慎重な見方をするクリエイターも。Project Natalのデモを見たValve社のChet Faliszek氏は、技術のすばらしさに舌を巻きつつも、対応タイトルの出来には疑念をもっているようだ。
「そもそも、自分が本当に体を動かしたいのかどうか自信がない。僕はすごく怠け者でね。ゲームで疲れるのはごめん被りたい。Wiiのローンチタイトルは完璧だったけれど、それ以外には欲しいタイトルがなかった。まずは魅力的なタイトルがないと」(Destructoidより)
また、従来の操作体系を用いるゲームに、Project Natalをそのまま適用するのは難しいという、現実的な見方をするクリエイターもいる。
例えば、レースゲーム『Blur』を開発しているBizarre Creations社のBen Ward氏は、“モーションコントロールはコントローラに取って代わるべきではない”という立場。
「モーションコントロールはたしかに面白い技術だけど、本質的に、ある種のスタイルをもつゲームには向いていない。ゴルフゲームでゴルフクラブを振る真似ができるのはすごいとしても、レースゲームで10分間も手を前に突き出して、ハンドルを握る真似をしたいかい?」「コントローラは今すぐに完全に取って代わられないだろうし、そうなってもいけないと思う。今日のコントローラは、目的にかなうまで20年以上もかけて進化してきたんだから」(Destructoidより)
また、『Halo』シリーズで有名なBungie社のシニアデザイナー・Lars Brakken氏も、「Natalは本当にクールな技術だけど、『Halo』の操作体系にまるごと適用するのが無意味なのは明らかだ。少なくとも僕の頭の中では、そんなことを成立させる術が見つからない。ただ、将来を考えると、Natalは従来の操作体系を強化することはできると思う」と語っている(CVGより)。
これには、『Gears of War』で有名なEpic Games社のCliff Bleszinski氏も同意見。「近い将来にうちが取りかかるゲームは、まだ従来の操作体系を採用しているだろう。だけど、従来の操作体系をNatalで補完して、さらに魅力的なゲームを作る方法はあると思う」(Develop Onlineより)
以上、Project Natalに寄せられたさまざまな声を紹介してきたが、みなさんはどうお感じになっただろうか。同技術がこれからのゲームにどんな波を引き起こすのか、楽しみにしたいところだ。
(中島理彦) |