欧米ゲーム事情  

E3プレゼンの勝者は? 3大巨頭がメディアに放ったインパクト(前編)

2009.06.05
   
 E3開幕とほぼ同時に催される3大ハードメーカー(マイクロソフト、任天堂、SCE)のプレスカンファレンスは、これから1年間にわたるゲーム業界の動向を占ううえで重要なイベント。それだけに、北米のニュースメディアが寄せる関心もきわめて大きい。リアル、そしてネットでも、毎年「最もインパクトを残したメーカーはどこだったか」という議論に花が咲く。

 今回、E3の動向を日本でチェックしていた筆者は、ネットでリアルタイム中継される映像で、これらのカンファレンスを見ていた。同時に、複数のニュースサイトが行っていた実況ブログや、記者たちがカンファレンスの合間にTwitterで打ち込むメッセージもウォッチング。現場にいる記者たちの心のつぶやきを横目で見ながらの視聴は、会場に足を運ぶのとはまた違う意味で、スリリングかつ刺激的な体験だった。

 北米の記者たちが取材対象に寄せる感想は、実に正直で、そして容赦がない。エキサイティングな発表があれば俗語を連発して大喜びするし、気に入らないものはこっぴどく叩く。実況ブログでは特にその傾向が顕著で、数秒ごとに打ち出される2、3行のメッセージから、北米メディアの反応がダイレクトに生々しく伝わってくるのだ。

 そういうわけで、今回の欧米ゲーム事情では、3社のプレスカンファレンスが、北米のニュースメディアに与えたインパクトにポイントを絞って総括してみようと思う。

 まず、6月1日(月)に開催されたマイクロソフト(以下、MS)のプレスカンファレンス。ポール・マッカートニー、リンゴ・スター、スティーブン・スピルバーグといった豪華なゲスト陣や、『Call of Duty Modern Warfare 2』『Final Fantasy XIII』『HALO 3 ODST』『HALO REACH』『メタルギアソリッド ライジング』といった強力なラインナップなど、MSの気合いが伺える内容になっていたのは、すでに報じられたとおり。

 とはいえ、記者たちの反応は、その1つ1つに一定の興奮を示しながらも、全体としてはわりとクール。一方で、記者たちの期待を上回るダークホース的存在となったのが、『TOM CLANCY'S Splinter Cell: Conviction』『ALAN WAKE』、そしてXbox LIVE Arcadeで配信されるEpic社のアクションシューティング『Shadow Complex』などだった。いずれも実機によるデモが功を奏していたようだ。

 しかし何といっても強烈だったのは、プレイヤーの体の動きや音声を認識し、従来のコントローラを無用にする技術「Project Natal」、そして、ピーター・モリニュー氏が同技術を用いて開発しているバーチャルキャラクター「Milo」だろう。

 プレイヤーとの交流が肝となる「Milo」は、いわば『シーマン』や『ピカチュウげんきでちゅう』の発展形といってもいいかもしれない。だが、技術は高度に進化しており、“表情や服装、身振りを読み取る”“プレイヤーの描いた絵を受け取って感想を述べる”というように、より自然な交流が可能になっている。そのあまりの自然さに、恐怖を覚えた記者は多かったようだ。なかには、スカイネット(映画「ターミネーター」シリーズに登場する人工知能)の名前を引き合いに出して、「世界の終わりは近い!」とトンデモな実況をする記者も。

 ステージでは映像上映にとどまった「Milo」だが(E3会場ではクローズドで実機デモも行われた模様)、開発元Lionhead Studiosのピーター・モリニュー氏が「これはビデオゲーム史において画期的な出来事になる」と力を込めて語っていたのが印象的。たしかに、本当にこの映像の通りに実現すれば、80年代から今日まで続いてきたビデオゲームの概念は根本的にひっくり返るかもしれない。カンファレンス終了後のメディアの反応は、しばらく呆然としたあと、堰を切ったように興奮した面持ちでおしゃべりを始める、といった感じだった。

 こうなると、1つの疑問がどうしても頭をもたげてくる。任天堂やSCEは、どうしたら、このMSのインパクトを打破できるのか? ある記者は、実況ブログでこんなことを言っていた――「MSは初日に今年の水準をしっかり打ち立てた。これを他の2社が追い抜くのは容易ではない」。

(中島理彦)

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