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欧米ゲーム事情  

日本の開発者はもっと表に! 米国の若手クリエイターインタビュー

2008.10.17
 先日の欧米ゲーム事情では、米ワシントン州ベルビュー市で開催されたインディーズゲームのイベント“IndieCade 2008 @ Open Satellite”の模様をお伝えした。このイベントで、講演を行ったJenova Chen、Jeep Barnettの両氏にインタビューする機会が得られた。


 まず、2人の経歴を簡単に紹介しておこう。Jenova Chen氏は、中国・上海出身のクリエイター。22歳で渡米し、南カリフォルニア大学映画芸術学部に在籍中、“雲”をモチーフにした体感プロジェクト『Cloud』を立ち上げて話題に。その後、thatgamecompany社を共同設立し、これまでにPS3向けソフト『flOw』『flOwer』の開発に行っている。

flOwer (c) 2007 Sony Computer Entertainment America Inc. Developed by thatgamecompany.

 Jeep Barnett氏は、北米でゲーム開発者を育成するDigiPen工科大学を卒業。在学中に仲間とともに開発したアクションゲーム『Narbacular Drop』がValve Software社の目を引き、同作をプロトタイプとしてパズル性の強いアクションシューティング『ポータル』を発表。本作はValve社のリリースしたゲームセット『オレンジボックス』に収録されたほか、開発者が選ぶ“Game Developers Choice Awards”の最優秀賞を受賞した。

(C)2007 Valve Corporation. All rights reserved. Valve, the Valve logo, Half-Life, the Lambda logo, Team Fortress, the Team Fortress logo, Portal, the Portal logo, Source, and the Source logo are trademarks or registered trademarks of Valve Corporation

――お2人とも来日したことはないそうですが、日本のゲームはプレイしたことがありますか?

Chen:僕は中国で生まれ育ったので、日本のゲームはたくさんプレイしましたよ。海賊版が多かったはずで、日本語のタイトルを知らないものも多いんですけど、覚えているのを挙げると、コーエーの『三國志』シリーズやカプコンの『天地を喰らう』、SNKの『サムライスピリッツ』とか。RPGもずいぶんやりました。ゲームのプレイ記事を、自分が主人公になったような気持ちになって、むさぼるように読んでいたこともありましたね。

Barnett:子供の頃、任天堂のハードで『がんばれゴエモン』などにハマったのが最初ですね。アクションやシューティングが好きなんです。とくにトレジャーの作るクレージーなアクションゲームには注目していました。『ダイナマイト・ヘッディー』『ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ』、最近だと『斑鳩』『ASTRO BOY・鉄腕アトム』とか。『洞窟物語』などの日本のインディーズゲームもよくチェックしていますよ。アメリカにはないタイプのゲームがあって面白いと思います。

――日本と欧米のゲームの違いはどんなところにあると思いますか?

Chen:西洋のゲームは“being there(ゲーム世界の住人になりきる)”、東洋は“not being here(現実世界から離れる)”という傾向の違いがあると思います。子供の頃はゲームの作られた国など気にせず、とにかくプレイしまくっていたけれど、大きくなってから、ゲームにも文化の違いがあると気づくようになりました。

Barnett:日本のゲームは、リアリズムよりも様式やスタイルを重視している感じがします。とくにRPGでは、可愛らしくデフォルメしたり、象徴的なモチーフを強く押し出したりしたものがよく登場していますよね。

Chen:それはひとつには、日本ではキャラクタデザインがすごく重視されていて、キャラを前提としたアニメ化や商品化などのビジネスができあがっているからだと思うんです。

――お2人とも学生プロジェクトで成功をつかんだという点で共通していますが、ゲーム開発のスキルをどうやって磨いたのですか?

Chen:親がソフトウェアエンジニアだったので、小学校時代からプログラムを勉強していました。でも退屈で退屈で……(笑)。僕自身は絵を描くのが好きで、先生からもアーティスト向きだと言われていたんだけど、親は、芸術家は貧乏生活を強いられるものだと思いこんでいた。でも僕は、強制的にプログラムの勉強をさせられているうちに、『ゲームがあるじゃん!』と気づいた(笑)。デジタルアニメの監督をしたいという夢もあったんですが、アメリカでゲーム開発者向けのカンファレンスに行ってすごく触発されて、この道に進もうと決めたんです。

Barnett:僕は高校卒業時に進路を選ぶとき、かねてから興味のあったプログラミングの道に進みたいと思って、弟から聞かされたDigiPen工科大学というところに行くことにしたんです。でもこの大学は1年目で半数が脱落するほど厳しいことで有名で、勉強は大変でしたね。奨学金をもらって勉強に専念していたので、生活費はいつもキツキツで食事も質素でした。

――日本のゲームを子供の頃から親しんでいたというお2人ですが、先日、東京ゲームショウの基調講演でスクウェア・エニックスの和田社長が「日本のゲーム業界は世界のリーダーではなくなっている」と語りました。日本の現状についてどう思いますか?

Chen:その危機感はたぶん、スクウェア・エニックスなどのメーカーが、ゲームエンジンに“Unreal Engine 3”を採用するようになったことで表面化したと思うんですよね。革新性という点では、たしかに日本のゲームはアメリカほどスピードが速くないと思います。それは日本のクリエイティビティが劣っているからではなく、市場が必要を感じていないからなんでしょうけれど。あと、アメリカに来てわかったんですが、ここでは新しいアイデアをもとに会社を興してビジネスにするまでのプロセスが、とてもラクです。

Barnett:でも、過去を振り返っても、日本と西洋はお互いに競争をくり返して切磋琢磨してきた歴史があると思うんです。日本のゲーム業界は長年すごく強かったけれど、もともと『ドンキーコング』や『マリオ』が生まれたのも、その前に繁栄したアタリのゲームに触発されてのことだと思うし、RPGだって、日本と西洋が影響し合っている。だから、日本の開発者がこのまま遅れをとるとは考えられない。欧米のゲームを見てすごいと思ったクリエイターたちが、僕らを驚かせる日がまたくるんじゃないでしょうか。

――日本にも、個人や小集団のレベルで自分のビジョンを追求しているゲーム開発者がいます。そういった人たちに向けてメッセージをお願いします。

Chen:アメリカでもインディーズゲームがメディアに注目されるようになったのは、ほんの2、3年前のことなんですよ。最近では学生プロジェクトからメインストリームの市場にデビューするという流れも生まれています。日本のゲーム開発者はもっと自分をプロモートすべきだと思う。アメリカのインディーズゲームのイベントはどの国からも出品も受けつけているのに、日本のゲームはどうして出品されないのでしょう? 僕のルームメイトは、インタラクティブノベルを自作して日本の同人イベントに出品しようとしていますが、その逆の流れがあまり見あたらないんですよね。

――たしかに。それは言葉の壁が大きいんでしょうけれど……。

Barnett:僕も言葉の問題を指摘しようと思うんですが、あるアンケートで、複数の言語をしゃべれるかという質問をしたところ、日本とアメリカがワースト3位に入っていたそうです。それだけ日米の言葉の壁は厚いし、アイデアのやりとりも少ないと思うんですよね。僕らが日本のインディーズゲームを探そうと思うとけっこう大変で、見つけても操作方法がわからない。アクションやシューティングだったら手探りでなんとかなるけれど、カットシーンのセリフはお手上げですしね。でも、『洞窟物語』のように英語化されて人気が広がった例もあります。英語圏の人間にとって日本語サイトはなかなか入りづらいので、まずは“Newgrounds”や“Kongregate”のように自作ソフトを紹介できるサイトに投稿してみたらどうでしょうか。

――どうもありがとうございました。

 インタビューを終えたあと、「日本のゲームの話ができて楽しかった」と楽しそうに語っていた2人。まだ20代という若さだが、子供時代に楽しんだゲームを生み出した国について、その現状を親身にとらえ、開発者にとって有益なアドバイスをしてくれたと思う。「日本のインディーズゲームをもっと見てみたい」という2人の言葉が印象的だった。

(中島理彦)

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