7月半ば、「E3 Media & Business Summit」の開催期間中に行われた任天堂のプレスカンファレンス。その内容から、「任天堂はコアゲーマーを見捨てたのか?」という不安がアメリカ人ゲーマーの間に広がっている。
同カンファレンスは、「Wii MotionPlus」や『Wii Sports Resort』、『Animal Crossing :City Folk』、『Wii Music』といった新発表が目を引いたが、『スーパーマリオ』『ゼルダの伝説』両シリーズの新作については、開発中というアナウンスのみにとどまった。そのため、E3が終了して2週間近くたった現在も、アメリカのゲームニュースメディアやブログの記者たちが口々に不満を漏らしている。例えば、米MTV公式サイトのゲーム担当記者Stephen Totilo氏は、長文のコラム記事で「任天堂のメッセージとファンの求めるものにズレが生じている」と批判している。
任天堂はこの状況に対して、即座に対応しなければならないと気づいたようだ。同社の岩田社長は、Forbes誌とのインタビューで次のように語っている。「コアゲーマーを無視しているという印象を与えてしまったのなら、それは誤解であり、何としても払拭したい。E3のプレスカンファレンスについては、とくに『スーパーマリオ』や『ゼルダの伝説』の新作を期待していた人に申し訳ないと思っています」「いわゆるビッグタイトルは開発に時間がかかるもの。今年のE3はまだ発表の時期ではないと判断したのです」(英語原文の翻訳)。
英語の記事なので、岩田氏が日本語でどう語ったかは不明なのだが、ここで報じられた「申し訳ない(We are sorry)」という表現はアメリカではかなり異例のもので、驚いたゲーマーも少なくないようだ。
また、Telegraph紙のインタビューでは、宮本茂専務が次のように発言。「“伝統的な”ゲームを作るのは私の得意分野。こういうゲームは開発に2〜3年はかかるので、常にチームを動かしていなければならない。(中略)みんな、マリオ、ゼルダ、ピクミンの新作開発に携わっていて、私は彼らのそばで目を光らせています」(英語原文の翻訳)
さらに、Wedbush Morgan社の業界アナリスト、Michael Pachter氏も、一般の反応には与しない立場だ。「一部のコアゲーマーは、E3でマリオやゼルダの新作が発表されなかったことに批判的だが、今回任天堂は、巨大なマス市場に専念しただけだと思う。コアゲーマー向けのタイトルが欠けていたからといって、彼らを見捨てたなどととらえてはならない」(ゲーム開発者向けのニュースサイト“Gamasutra”より)
そういうわけで、熱心な任天堂ファンは心配しなくてもいいのかもしれないが、新作が発表されるまで、不満は今後もくすぶり続けそうだ。
(中島理彦)
|