欧米ゲーム事情  

“『GTA IV』は都市の裏社会をよく描いている”と社会学者

2008.05.13
該当記事(英語)※Slateより
Sudhir Venkatesh氏のプロフィール(英語)※コロンビア大学サイトより
Sudhir Venkatesh氏の個人サイト(英語)
   米国ではニュースやトーク番組など、一般メディアでも大きく取り上げられるようになったクライムアクションの最新作『Grand Theft Auto IV(GTA IV)』。その報道は、社会的現象となった本作を興味本位に取り扱うものが大半だが、そんななか、“『GTA IV』はギャングの世界や裏経済の実態を的確に描写している”と評価する社会学者の論説記事が、日刊オンラインマガジン“Slate”に掲載された 。

 記事を書いたのは、コロンビア大学で社会学を専門とするSudhir Venkatesh博士。彼は、ニューヨークやシカゴ、パリを拠点に、裏経済、貧困層、売春、移民社会の実態を研究し、ドキュメンタリー映画の制作も手がけるなど精力的な活動を繰り広げている。そんな博士が、ニューヨークを模した架空都市を舞台とする『GTA IV』に関心を持つのは、当然と言えるかもしれない。

 博士は本作をプレイしてすぐ、シカゴでは治安が悪いことで有名なサウスサイドの現状を思い出したとのこと。同地域には、ドラッグ、売春、盗品売買の巣窟となっているホテルがあり、その使用をめぐってギャング同士の抗争が続いている。市当局や警察は何もしてくれないため、住民は地域安定のためにギャングと癒着せざるを得ないという。

 そうした貧困地区の状況を知る博士は、「本作は、警官や政治家、学識者よりも現実に即した描写を行っている」「“正義の警官と悪の犯罪者”という単純な図式にとらわれていない」と評価。ときには、博士自身でさえゲーム中の描写に辟易し、小休止をとらなければならなかったそうだが、ゲームが人間の本質を的確にとらえていることに驚かされたという。

 本作の主人公“Niko”は、独力では生きていけず、つねに危険を冒して誰かを信用しなくてはならない。だが、その仲間も明日には敵に寝返っているかもしれない。現実の犯罪者も同様のルールに従って行動し、つねに反目と協力関係が移り変わる世界で生きているのだという。

 「通行人をひき殺さずに運転するテクニックがマスターできないので、最後までプレイする気はない」という博士だが、早くも、次作ではどれほどの進展が見られるか楽しみとのこと。また、開発チームに向けて「ゲームのヒントを得るために、ぜひシカゴのサウスサイドを訪れてみてほしい」「プレイヤー同士がギャングを結成、抗争もできるようにしては」と提言している。

(中島理彦)

(C) 2008 Rockstar Games, Inc.

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