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欧米ゲーム事情  

“ゲーム性描写”をめぐる米トーク番組の偏った姿勢に怒りの声

2008.01.30
EAが送った抗議文書の紹介(英語)※Kotakuより
Multiplayerの記事(英語)※MTV公式ブログ
NY Timesの記事(英語)

  昨年末に米国で大ヒットしたXbox 360向けのSF RPG『Mass Effect』。以前の欧米ゲーム事情では、保守派のブロガーが作品中の性描写に的外れな批判を浴びせたことを紹介したが、今度は米FOX Newsが同様の批判的報道を行い、前回を上回る大騒動となっている。

 問題となったのは、同局の“Live Desk”というトーク番組。1月21日(月)に放映された回では“セックスボックス? 新作ビデオゲームにデジタルセックスの描写”というタイトルで特集が組まれ、2人の論客による激論バトルが繰り広げられた。

 まず、論客の1人である心理学者のCooper Lawrence氏は、「ゲームの性描写は、暴力描写と同じようにプレイヤーを無感覚にする」「このゲームは女性を性的対象としてしか扱っていない」と批判。これに対し、ゲームジャーナリストのGeoff Keighley氏は、「そもそもあなたは、本作をプレイしたことがあるのか?」と反論。“男女どちらの設定でもプレイ可能” “物語の流れにそった内容であり、性描写そのものを目的としてはいない” “30時間以上のプレイで2分程度のシーン。見ないでクリアすることもありうる”といった点を挙げ、論拠を崩そうと試みた。

 しかし番組全体が、批判側に与していたのは明らか。司会者は“本作にはあからさまな性描写がある”“17歳以上推奨となっているが、実際はその年齢に満たない子供を対象にしている”という前提で番組を進行し、同席したコメンテーターたちも「ルーク・スカイウォーカーとポルノを組み合わせていいわけがない。私は絶対『Mass Effect』を家には置かない」「どうして成人指定にしなかったのかしら。レーティングを決めた人たちの頭を検査しないといけないわね」など、どう考えてもゲームの内容を知らないとしか思えない発言をしていたのだった。

 こうした番組の方針に、ゲームジャーナリストや一般のゲーマーから怒りの声が上がったのは当然だろうが、今回の騒動で注目すべきなのは、ついにゲームパブリッシャまでが腰を上げたこと。最近、『Mass Effect』の開発元Biowareの親会社となったElectronic Arts社は、ただちにFox News宛てに抗議文を送った。

 EAはこの抗議文の中で、“本作の性描写はFOXで普段放映されているものと大して変わらない”“子供を対象としたゲームではない”と、あらためて指摘。「法的な行動に出るつもりはないが、あなた方の良心に訴えたい。番組内容を訂正する発表をしてほしい」と訴えた。
  このようにパブリッシャが積極的な行動を起こすことは今まであまりなかったことなので、ゲーマーからは驚きとともにEAを支持する動きが高まっている。なお、MTV公式ブログ“Multiplayer”が伝えたところによると、FOX Newsは「もともとEAにも番組出演をお願いしていたが、返答をもらえなかった」と回答しているという。

 一方、番組の中で『Mass Effect』を批判したCooper Lawrence氏にも、災難が降りかかっているようだ。Amazon.comなどの書籍販売サイトでは、彼女が執筆した本に最低評価のレビューが数百件も殺到(そのほとんどは個人攻撃だったため、今は削除されている)。また、本人はのちに“The New York Times”の取材に答え、「番組中の発言を悔いている」と告白した。収録のあとで、2時間半にわたって他人が本作をプレイするのを見て、自分が間違っていたことを悟ったという。「収録前は“ポルノみたいなゲーム”って聞いていたの。でも全然そんなことなかった。人気のTVドラマにだって、もっと露骨な場面があるわ」と彼女は語っている。

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(中島理彦)

 

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