『Grand Theft Auto』シリーズで物議をかもしたRockstar Games社の最新作『Manhunt 2』。その発売が一時的に見合わされた出来事については欧米で大きく報道されたが、この欧米ゲーム事情でも、基本的な経緯をあらためてまとめておくことにしよう。
問題となった『Manhunt 2』は“人間狩り”をテーマとしたステルスアクションで、残虐な暴力描写が発売前から話題になっていた作品。英国・米国では、PS2/Wii/PSP向けに7月半ばの発売が予定されていたが、英国では映像審査機関BBFC(British Board of Film Classification)が2007年6月19日(火)、PS2とWii版の審査を拒否したことにより、事実上の発売禁止が決まってしまった(PSP版は、この時点でまだ同機構に提出されていなかった模様)。
今回の処置について、BBFCのDavid Cooke理事は次のように述べている。
「審査を拒否するというのは大変深刻な決定で、我々としても軽々しく下すものではない。可能であれば一部をカット/修正するといった処分も検討するが、今回の場合はそれが不可能だった。ゲーム全体に漂う無神経さや、殺人を奨励し続ける露骨な文脈は、最近のハイエンドのビデオゲームとははっきり区別されるものだ。表現を和らげるような配慮は驚くほど少なく、軽薄なサディズムに満ちた殺人の奨励と実行が延々と続いている。BBFCが同作品を両プラットフォームにおいて承認することにより、成年と未成年の両方に見過ごせないほどの有害な効果をおよぼす可能性がある。公共の益を考えると、成年限定の販売でさえ受け入れられるものではない。」
なお、BBFCによれば、『Manhunt 2』以前に同じ処分を受けたのは、97年に破壊描写満載のレースゲームとして話題になった『Carmageddon』のみとのこと。また、英国に続いて、アイルランドの審査機構も同じ措置をとると発表している。
BBFCの措置について、開発元のRockstar社は次のように反論している。
「本ソフトは、サイコスリラー/ホラーのファンに向けられた娯楽作品。他の主流メディアで見られるような成人向け娯楽作品と同じラインに立っている。全ての製品は、一般大衆が正しい情報を得たうえで選択できるようにすべき。BBFCの決定や認識は尊重するが、成人ゲーマーの意見にも耳を傾けてほしい。書籍や映画、テレビ番組と同様、ビデオゲームも最近はストーリーがバラエティに富んでいる。本作品をプレイする成人は、これが虚構のインタラクティブ・エンターテインメントにすぎないことを十分に理解しているはずだ」
また、Rockstar社の親会社であるTake-Two Interactive社のStrauss Zelnick会長も、のちにNew York Times紙の記事で「ゲーム中に実写的な描写はなく、アニメーションのようなものにすぎない。R指定を受けた「ソウ」や「ホステル」といった映画に比べたら、まだおとなしいほう」と訴えている。
だが、逆風は英国やアイルランドだけにとどまらなかった。米国においても、審査機構のESRB(Entertainment Software Rating Board)が、同ゲームを“AO(Adult Only)”指定にすると予告したのだ。米国では、AO指定を受けたゲームがショップで取り扱われることはほとんどないと言ってよく、過去十数年に同じ指定を受けたゲームはわずか二十数本しかないというほどの厳しい宣告である。
しかも、任天堂とSCEが“サードパーティのゲームでAO指定を受けたものはリリースを許さない”との方針をあらためて明確に示したことで、米国での発売の道も絶たれることとなってしまった。Take Two社は2007年6月21日(木)、同ゲームの発売を一時的に見合わせると発表。今後の方針はまだ具体的に示されていないが、同社によれば「この素晴らしいゲームを支援していく立場に変わりはない」ということなので、内容に修正をほどこしたバージョンをあらためて発表する可能性は残されている。
(中島理彦)
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