神聖な聖堂で銃撃戦!?―教会が『Resistance』販売中止を要求
英国教会は2007年6月11日(月)、PLAYSTATION 3向けのゲーム『Resistance~人類没落の日~』において、ロンドンのマンチェスター大聖堂が許可なく舞台に選ばれたとし、ソニーに謝罪と販売中止などを求めた。欧米で大きく報じられたこのニュースについて、今までの経過を整理しておこう。
問題となったゲームは、日本では2006年11月、英国では2007年3月に発売。1950年代、謎の生物“キメラ”によって数々の大国が制圧された状況下で、人類の存亡をかけた戦いを描くアクションシューティングだ。同ゲームの中で、主人公のアメリカ軍兵士がマンチェスター大聖堂においてエイリアンと銃撃戦を展開するシーンがあり、これが問題視された。教会は“ソニーの謝罪”“ゲームの販売中止(または問題視されたシーンの削除)”“教会の教育部門への寄付”“同地区における銃問題への取り組みを支援すること”を要求。受け入れられない場合は法的な措置も考えているという。
マンチェスター地区のNigel McCulloch主教は、「同地区は銃問題を抱えているのはよく知られていること。それを考えると実に不適切なシーンだ。世界的なメーカーが大聖堂を本物そっくりに再現し、銃撃戦を行うよう奨励するのは、あまりに無責任で信じがたい行為」と述べている。また、同聖堂のRogers Govender師は、「学びと祈りの場所である歴史的遺産が、若者に銃を発砲する場所として示されていることに衝撃を受けている。この聖堂は毎年、多くの若者が見学に訪れるところ。ソニーが私たちの仕事をおとしめているのは残念だ」と非難している。
これに対し、Sony Computer Entertainment Europe(SCEE)は、教会の懸念をたいへん深刻に受け止め、教会関係者と直接連絡を取って話し合うと発表。さらに「同作品はSFファンタジーゲームであって、事実に基づいてはいない。ゲーム制作にあたって、必要な許可は全て得たものと理解している」と述べている。なお、ゲーム開発元のInsomniac Games社は事態の収拾をSCEEに一任した模様で、コメントをしていない。
SCEEは6月13日(水)、教会との話し合いが始まったと発表したが、AP通信によれば行き違いがあるようで、Govender師は記者会見において「まだ話し合いは行われていない」とそっけない。師によれば、教会は6月11日(月)にソニーへ要求書を送ったが、正式な返答はもらっていないとのことで、「沈黙しか返ってこないのは受け入れがたいことだ。本日、私は日本国民の方々にもソニーに返答をうながすよう訴えたい」とまで発言している。
同じころ英国議会では、ブレア首相が質疑応答の中で今回の騒動に触れた。マンチェスター・セントラル選出のTony Lloyd議員が「ソニーが銃の発砲を奨励するゲームに同地区を用いたことは、悪趣味ではないか。英国教会だけでなく国民に対して無礼千万ではないか」と質問したところ、首相はおおむね同意。「こういった商品を売る企業は、責任感と他者の気持ちに対する感受性を持つべき」「しばらく議論が続くものと考えるが、議員の言うとおり、利益追求だけでなく、もっと広い社会的責任があると理解するのは大事」と答えている。
このように、騒動はいまのところ拡大する一方。欧米メディアやブログでは、教会がソニーを訴える場合の法的根拠についても議論が始まっている。果たして早期の解決はありえるのか、世界中が固唾を呑んで見守っているところだ。
(中島理彦)