欧米ゲーム事情  
「否定的報道がゲームを買うきっかけに」映像審査機関の発表
2007.04.26
BBFCの発表(英語)
BBFCサイト(英語)

 英国の映像審査機関である“British Board of Film Classification(BBFC:全英映像等級審査機構)”は、ビデオゲームの魅力とその影響、暴力的表現に対する認識や親の考えなど、広範囲のテーマについて調査を行い、その結果をまとめた報告書を現地時間4月17日(火)に発表した。

 一般に、ビデオゲームは他のメディアに比べて、世間の評価が両極端に分かれやすい。ゲームをプレイしない人は、ゲームの魅力を理解できないまま、一部のタイトルに激しい非難を浴びせているのが現状だ。そこで同機関は、“人はなぜゲームをプレイするのか”“プレイすることでどんな影響を受けるのか”といった知識を得るべく、7歳から40代前半までのプレイヤー、保護者、ゲーム業界関係者やゲーム評論家などを対象に研究調査を行った。報告書は全107ページにもわたる膨大なものなので、以下に目を引くポイントをまとめてみよう。

---報告書のポイント---

《年齢》
・子供がゲームをプレイしはじめる時期は年々早くなっているが、プレイヤーは全体的に高年齢化しつつある

・若年層の場合、友達の勧めや口コミよりも、むしろゲームに対する否定的な報道のほうが、プレイする大きな動機づけになる

《男女の違い》
・ゲームの好みやプレイ時間は男女間で大きな開きがある。女性は『The Sims』などの“頭を使う人生シミュレーション”やパズルゲームを好み、男性よりはプレイ時間が短い傾向がある。また、男性はアクションシューティングやスポーツゲームを好み、プレイに没頭する傾向がある

《ゲームの効用》
・人々がゲームをプレイするのは、日常生活を逃れ、プレイヤーのコントロール下におかれた危険のない冒険的世界に行くためである

・テレビや映画などの受動的メディアと違い、ゲームは能動的で達成感を与える。さらに、人物描写より行動の進展に重きがおかれるため、プレイヤーは物語よりもゲームを進行させることのほうに関心を向ける傾向がある

・ゲームはプレイヤー自身による関与が求められるため、プレイヤーは映画に比べて「自分はゲームをプレイしている」事実を忘れることがあまりない。傍から見ると無我夢中のようだが、本人はゲームを進行させることに頭を向けているだけで、情緒的にとらわれているわけではない

・ゲームをプレイする人は、ゲームは精神を刺激し、視覚と手の動きの協調を向上させる効果があると考えている

《暴力的表現について》
・暴力は“障害を除去する”という意味合いで一部のタイトルに組み込まれ、ゲームの進行に必要なものとなっている。銃撃戦それ自体より、銃撃にさらされると我が身が危ういことが、緊張を生み出すのに一役買っている。また、大半のプレイヤーは敵を傷つけることよりも、自身の生き残りに意識を傾けている。しかし、実際に危ない目にあわずに暴力を行使できるのが魅力とはいえ、プレイヤーはあくまでゲームに過ぎないと承知しており、現実と混同するようなことはない

・ゲームをプレイする人は世間で暴力的表現が取りざたされていることを周知しており、若年層は、成人向けと認定されたゲームの暴力的表現を不快と感じている。また、一部のタイトルについては、“悪意が純真さに打ち勝つ”内容になっていることを懸念する声も出ている。とはいえ、大半のゲーマーは、テレビや映画の暴力的表現のほうが不快で現実に近いと感じており、ゲームについては深刻に感じていない

・「ゲームは人を暴力に駆り立てる」「ゲームをすると暴力に対して無感覚になる」という説に対して、ゲームをプレイする人は、ほぼ全員が反対の立場をとっている。彼らは、自分や周囲の人たちがゲームによって現実に暴力的になったという例を一切見ていない

《親の姿勢》
・ゲームをプレイしない親は、子供(特に男児)のプレイ時間を気にかけており、ゲームに興じるより外で遊んでほしいと思っている。だが、そうした親にとってもっと心配なのは、インターネットのチャットルームで子供が見ず知らずの人と接触することだ。ゲームで描かれる暴力はたしかにショッキングだが、大半の親は、わが子は情緒的に安定していて影響されることはないと確信している

・親はゲームに関する規則を設けることには賛成だが、一部には“ただのゲームに過ぎないのだから”と、成人向けのゲームを子供に与えることを気にかけない親もいる

 以上の報告内容について、BBFCのDavid Cooke理事は「プレイヤーはゲームをプレイすることで、むしろ現実との結びつきを強めているという事実は興味深いもの。暴力シーンにおいても、プレイヤーはそれがゲームに過ぎないことを理解しているということです。とはいえ、成人向けタイトルを子供にプレイさせていいことにはなりませんし、子供たち自身も『Manhunt』のようなゲームには不快感を示しています。私たちは今後も、成人向けコンテンツを含むゲームを厳正に審査していくつもりです」と述べている。

 英国と日本ではプレイヤーのおかれた状況に多少の違いはあるかもしれないが、この報告は、暴力的表現を含むゲームについて新たな知見を与えてくれるものであることは間違いないだろう。詳細を知りたい方は、上記リンクをたどってみてほしい。

(中島理彦)
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