欧米ゲーム事情  
フランス政府でゲームを“芸術”と認める動き
2006.11.09
New York Times紙の記事(英語)

 フランスのルノー・ドヌデュー・ド・ヴァーブル(Renaud Donnedieu de Vabres)文化大臣は、ゲームを“芸術”と認定するため、各方面に働きかけていることを米New York Times紙が報じた。

 同大臣は「私を“ゲーム大臣”と呼んでくれてもいい。むしろ誇りに思う」と発言。「ビデオゲームはただの商品ではない。スクリプトライターやデザイナー、ディレクターの創造性を取り込んだ芸術表現だ」と語ったほか、ゲームのプレイヤー人口とタイトルの売上が増加しつつある現在、大きな文化的枠組みの中でゲームをとらえる必要が出てきたとも述べている。

 事実、マーケットリサーチ企業GfK Franceの調べでは、2005年にフランスで最も売れ、日本では『ウイニングイレブン』シリーズで知られる『PRO EVOLUTION SOCCER 5』は、ハリー・ポッターの小説や『スター・ウォーズ エピソードIII』のDVDよりも高い実績を示したということだ。

 もしゲームが芸術と認められれば、フランスを拠点とするゲーム企業は、20%の税制優遇措置を受けることになる(すでに映画に対しては同様の政策が実施されている)。経営不振にあえぐInfogrames Entertainment、米国のライバル企業Electronic Artsに19%の株式を買い取られたUbisoft Entertainment、そして、世界的に大ヒット中のMMORPG『WORLD OF WARCRAFT』に収益の大部分を頼っているVivendi Gamesなど、悩みを抱えるゲーム企業への効果が期待される。しかし一方で、補助金の減額を目指す欧州連合と、政府の干渉を懸念するゲーム業界自体から反発の声も出ているようだ。

 ちなみに、2006年3月には任天堂の宮本茂氏を含む3人のゲームデザイナーがフランス政府から“芸術文芸騎士勲章”を授与された。芸術や文化の創作活動に実績があった人に贈られる同勲章を、ゲーム開発者がもらったのは初めて。このことからも、フランス政府がいかにゲーム業界に注目しているかが見てとれる。


(中島理彦)

 
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