[CEDEC2017]ユーザーと運営が互いに友情を高め合うために大切なこと/「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」

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小野憲史
2017年09月05日

 「ソーシャルゲーム運営とはユーザーコミュニティのマネジメントである」
 業界内で呪文のように繰り返される言葉だ。

 しかし、実際には生放送やオフラインイベントが運営からの一方的な発信に終わっている例が少なくない。
 ユーザーコミュニティとの距離感の取り方に悩んでいる運営も存在する。

 こうした中、さまざまな施策で優れたユーザーコミュニティを構築し、運営4年目を迎えてもなお、ユーザー数が増え続けている『ぼくらの甲子園!ポケット』。

 その秘訣が「CEDEC2017」8月31日(木)、「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」で明かされた。

 講演者はカヤックでプロデューサー・マーケティングディレクターをつとめる杉政英樹氏。
 杉政氏は「カヤックではコミュニティドリブンなゲーム作りを掲げており、ゲームのコンセプトと運営の施策がうまく噛み合った」として、内容を解説した。

運営とユーザー間の友情は成り立つか?

[CEDEC2017]ユーザーと運営が互いに友情を高め合うために大切なこと/「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」
▲15人のチームメンバーによるレイドバトルという、他に類をみない野球ゲームだ

 監督としてチーム編成を行い、他のチームと試合に挑む形式が多い野球ソーシャルゲーム。
 その中で『ぼくらの甲子園!ポケット』は、ギルドバトル型野球ゲームとして異彩を放っている。

 プレイヤーは1人の高校球児としてゲームに参加し、最大15人のプレイヤーと野球部を結成して、甲子園で優勝を目指すという内容だ。
 このユニークなゲームコンセプトと、「友情」というキーワードがうまく適合し、運営における各施策に繋がった。

 実際に運営チームでは「ユーザー間の友情だけでなく、運営とユーザー間でも友情が生まれるような施策を打ち、実際に汗をかきながら互いの関係性を高めている」のだという。

[CEDEC2017]ユーザーと運営が互いに友情を高め合うために大切なこと/「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」
運営とユーザー間で友情を育むという、他に類を見ない運営スタイル

 ユーザーからのアイディアやコメントを吸い上げる「目安箱」や、公式攻略wikiなどを活用した情報発信、公式生放送、オフラインイベント、Twitter……。
 ユーザーとのエンゲージメントを高める一般的な施策は、もちろん本作でも実施されている。

 その上で杉政氏は本作ならではの試みとして、オフラインイベントの「ぼくポケ会議」と、ゲーム内で実装されている「友情エピソード投稿」「甲子園優勝新聞」をあげた。

 一般的なオフラインイベントと異なり、「ぼくポケ会議」はユーザーと運営が一体になってゲームのアイディアを出し合うブレインストーミングだ。
 ユーザー同士の懇親会と組みあわせることで、「ユーザーと運営」「ユーザー同士」の友情アップに効果をあげているという。
 運営スタッフがユーザーと直接交流することで、若手社員のモチベーションアップにもつながったとされた。

[CEDEC2017]ユーザーと運営が互いに友情を高め合うために大切なこと/「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」
▲カヤックでは頻繁にブレインストーミングを実施する社内文化があり、これが「ぼくポケ会議」に繋がったと説明された

運営が汗をかくことが友情を高めることにつながる

 友情エピソードとは、ゲーム内でプレイヤーが体験したエピソードを、運営側に投稿してもらう仕組みだ。
 現在までに4,000件以上のエピソードが寄せられており、ゲーム内で紹介するほか、小冊子にまとめてノベルティとしても活用しているという。
 寄せられた内容も、実際の部活動でみられるような、熱い内容が多いとのこと。
 野球を題材としたギルドバトルというコンセプトが、うまくハマった例だと解説された。

[CEDEC2017]ユーザーと運営が互いに友情を高め合うために大切なこと/「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」
▲友情エピソードはノベルティとしても活用

 実際にゲーム内で甲子園に出場し、優勝するには、プレイヤーに対して並々ならぬ負荷がかかる。
 そこで、特別報酬として優勝チームに提供されているのが、「甲子園優勝新聞」だ。

 トーナメントは2週間に1回で行われ、一度に5大会が並行して開催されるため、運営チームは2週間ごとに5つの「甲子園優勝新聞」を作成し続けている。
 しかも、毎回チーム掲示板でユーザーの要望を集め、その内容を加味したものにするように努力しているのだという。

 ちなみに優勝新聞は優勝チームが決定した、その翌日に必ず掲示する必要がある。
 そのためアーティストのリソースも、最優先で確保されていると説明された。

[CEDEC2017]ユーザーと運営が互いに友情を高め合うために大切なこと/「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」
▲ユーザーの要望にこたえて、常に進化し続けている

 このように杉政氏は「運営が本気でユーザーのことを考えることが、運営とユーザーの友情を高めるために必要だ」と指摘した。
 もっとも、その思いが空回りに終わるのでは意味がない。
 そこで同社ではユーザーアンケートを実施し、定点観測を行っている。

質問項目には満足度などの一般的な項目に加えて、

・運営チームのことを信頼できていますか?
・他のプレイヤーと友情を感じたことはありますか?
・友人や同僚に勧める可能性を0から10までの数値と、その理由で教えてください

といった、そのものズバリの質問もあるという。

[CEDEC2017]ユーザーと運営が互いに友情を高め合うために大切なこと/「ユーザーとのエンゲージメントを育むコミュニティ運営“友情マーケティング”の解説」
▲定性評価と定量評価を組み合わせて友情マーケティング自体を評価していく

 これらのデータと、生放送やリアルイベントなどで得た感触を組み合わせて、コミュニティ運営やゲームの改善に生かしているとのこと。
 友情を高めるうえで、ゲーム内外で運営が汗をかくことが大切だと分析した。

 このように、ある意味で泥臭さすら感じさせる同社の運営スタイル。
 中には同様の施策を「やってみたけど続かなかった」と語る企業や、運営チームも少なくない。

 杉政氏は最後にコミュニティマーケティングを組織で機能させるポイントとして、

・わかりやすく、浸透しやすいコンセプト(友情など)
・運営メンバーが活動の主体となり、ポジティブフィードバックを回す

 という2点を挙げた。

 前述の通り、これらはゲームの開発コンセプトと密接な関係がある。
 運営中のタイトルだけでなく、新規にタイトルを立ち上げる上でも、参考になる講演だったといえるだろう。

 
ジャンル 野球ゲーム / スポーツ / 経営・育成
リリース日 2014年09月16日 (【スマホ】Android(アプリ))
2014年09月19日 (【スマホ】iPhone(アプリ))
価格 基本プレイ無料
コピーライト (C) Kayac Inc.
公式コミュ https://twitter.com/koshien_pocket
PRサイト https://koshien-pocket.kayac.com/
 

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