[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い

記事カテゴリ: iPhone Android
2017年09月04日

 横浜みなとみらいで行われた国内最大のコンピュータエンタテインメント業界向けカンファレンス「CEDEC 2017」最終日2017年9月1日(金)、『Ingress』『Pokémon GO』で知られるNianticの川島優志氏、野村達雄氏による基調講演"GO OUTSIDE! Adventures on foot”が行われた。

 この講演では、Nianticの掲げる「Adventures on foot (自分の足で歩いて冒険する)」をいうミッションがなぜ掲げられているのか。
 そして、Nianticの『Ingress』『Pokémon GO』の出現で世界で何か起こったのかを"GO OUTSIDE!”というキーワードを通して、Nianticが実践してきたさまざまな事例が紹介された。

 講演前半は、Nianticの成り立ちから『Ingress』。
 後半は『Pokémon GO』について。

 ちなみに、Nianticは、Google社内のスタートアップ「Niantic Labs」としてスタート。Nianticの設立者ジョン・ハンケ氏は、GoogleストリートビューやGoogleマップを率いてきた人物だ。

[関連情報]
▼『Ingress』関連情報はこちらから
http://www.gpara.com/games/infos/35401

▼『Pokémon GO』関連情報はこちらから
http://www.gpara.com/games/infos/45494

ちょっと習慣を変える動機を与えることで新しい世界が目の前に広がる

[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い ▲Nianticの川島優志氏

 世界を変えるにはどうしたら良いか。
 Nianticの掲げる"GO OUTSIDE!”。どんな意味が含まれているのか。

 大人がスクリーンを前にしている時間は9時間。子供は3時間。
 世界の80%以上の子供が本来あるべき運動量に達していない。
 さらに、57,000万人の人が運動不足が原因で亡くなっている。
 とさまざまなデータを提示し、エクササイズ(外に出ることの)の重要性を説き、川島氏が言葉を繋げる。

 さらにハンケ氏の息子さんが『MINECRAFT』に夢中になっていて、ずっとソファーにいる(笑)。どうしたら彼を外に出せるのか。
 そこがNianticのはじめの一歩だったと言う。

 普段15分の最短時間で移動する距離を1時間半かけて散策させることができないか。それができれば、これまで知らなかった風景を目にすることができるかもしれない。ちょっとバカらしく聞こえるかもしれませんけど、世界を変える大事なことだと我々は考えていますとは、川島氏。

『Pokémon GO』がリリースされるまでの『Field Trip』『Ingress』にも「外に出る」という思いが込められている

 Nianticの初期作品『Field Trip』にもその思いが込められている。
 グーグルグラスやスマホ端末を持ち散策し、各所で建物やスポットの持つさまざまな情報が端末に送られてくるアプリ。

 そしてつぎにリリースされた『Ingress』。
 世界中の歴史的なもの図書館や美術館といった公共的な場所を、プレイヤーが2つの陣営に分かれて自陣のエリアを拡大してゆく、いわゆる陣取りゲームだ。

 『Field Trip』『Ingress』ともに現実の世界の出ないと体験できないアプリ。

 『Ingress』は世界で2,000万ダウンロード。200の国と地域で、2,000万ダウンロードを超えるヒット作に。参加者が『Ingress』で歩行した距離は3億km。約地球から太陽に言って往復できるぐらいの距離をユーザーが歩いている。
 『Ingress』は、プレイヤーに外に出るきっかけを与えたのだ。

 さらに川島氏は、1例として、アジア各国のプレイヤーの中には、オーストラリアから韓国まで自陣のエリアを拡大する為に、国境を越えて移動する人たちが『Ingress』によって生まれていると説明。

 「ずっとアジアを見ていますが、エリアによっては紛争が起きたり、理解できないと距離を置いている人たちがいます。でもゲームはこういった壁を乗り越え壊してくれるとそういう力を持つ。」と川島氏は話を続ける。

 さらにマレーシアからは「Redƒaction」ミッションが運動が起こったという。
 『Ingress』で健康になったのでみんなで献血をしようという呼びかけだ。
 もちろんユーザーが自発的な行動。この運動も全世界に広がっている。

 『Ingress』によって、ユーザーの振る舞いを、ポジティブな方向へ影響を与えることができるきっかけを作ることができることが分かったという。

『Pokémon GO』の誕生はGoogleマップのエイプリルフールのプロモーション映像がきっかけだった

 2014年、Googleマップのエイプリルフール企画「ポケモン チャレンジ」の映像が川島氏の目に留まる。
 「ポケモンチャレンジ」はGoogleマップ上にポケモンが現れ、151匹全てのポケモンを集めるとポケモンマスターとして承認されるという企画。

 「Nianticが次に作るものはこれだ!」と、その映像を見たハンケ氏と川島氏がそう話したという。そのエイプリルフール企画を担当していたのが現在『Pokémon GO』を手がける野村氏だった。

 だが、ポケモンと交渉を続ける中、Nianticは一つの岐路にぶっつかる。

 Niantic(当時はNiantic lab)を解体し、Android部門の下で働くか、独立するかの選択をGoogleから迫られることになる。

 Googleから独立することになったNiantic。
 チームのメンバーも半分ほどになる。
 そんな状況の中『Ingress』の運用、そして『Pokémon GO』の開発。
 そもそもサービスを運用するには資金が必要だが、まだめどが立っておらず、川島氏は当時を「片翼飛行の上、ガソリンすらままならない状態だった」と振り返る。

 そこでポケモンと任天堂に経緯を説明。
 もともと『Pokémon GO』はGoogleという大手企業と一緒にやるプロジェクトだったにもかかわらず、わずか40名ほどの中小企業とのプロジェクトになってしまった。そんな状況で協力を得られるのだろうかと不安だったNiantic。
 しかし、当時の任天堂の岩田聡社長、ポケモンの社長石原恒和氏は、投資すると即答だっだようである。

『Pokémon GO』のヒットは、世界中の老若男女がピカチュウを知っている「ポケモン」抜きには語れない

[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い ▲Nianticの野村達雄氏

 「一緒になにかやろうという」とハンケ氏と川島氏に声をかけられた野村氏。
 当時はもちろん、グーグル本社で、Android版のGoogleマップの業務に従事していた。
 実際にアニメ含め「ポケモン」世代だったこともあり、“現実世界でポケモンを捕まえる”は絶対に面白いものができるとグーグルを離れ、『Pokémon GO』のプロジェクトに参画。 

 そんな『Pokémon GO』のダウンロード数は7億5,000万。150以上の国と地域でプレイされている。プレイヤーの歩いた距離は160億Km。
 DAUでもMAUでもなく、人が『Pokémon GO』でどれだけ歩いたか。
 Nianticでは非常に大事な数字、大きな指標ですと野村氏は言葉を繋げる。

 日本人は知らなくても世界中の老若男女がピカチュウを知っている。
 できる限りシンプルに、ピカチュウを知っているすべての人が遊べるように作って行くことを一生懸命考えましたと、野村氏は当時を振り返る。

『Pokémon GO』でARをどう表現したか。ヒットを支えたテクノロジー

 『Pokémon GO』で表現されている「AR(拡張現実)」。
 しかし、開発当初実際には実現は無理なのかもしれないと思ったという。
 Googleのストリートビューを活用して、「ポケモン」の世界を再現しようとしたが、既に用意されているストリートビューの撮影時間(映像)とプレイしている現実とギャップが生じる。さらに、車の上から撮影しているストーリートビューだと、視点が高い。正しくポケモンをおけない。拡張現実ではなく、仮想現実、さらに仮想仮想になってしまったと野村氏は当時を振り返る。

 するとスタッフのひとりが週末、スマホのジャイロとカメラだけで表現できるPhotosphereを用意してきた。カメラのレンズに映し出された現実の映像に「ポケモン」が出すという方法だ。

次に「ポケモン」をどうやって出すか。そこら中にポケモンが出てきても面白くない。拡張現実なので水辺の近くに、水属性のポケモンがいるなど、リアルとの関連性をきちんと紐づける。
 拡張現実としてうまくおっている理由の一つだと野村氏は解説する。
 ポケストップ、ジムが現実世界の銅像であったり、美術館という点も拡張現実としてきちんと『Pokémon GO』でARとして世界を構築している。

 さらに『Pokémon GO』は一つの世界で構成されている。
 MMORPGのように、サーバーごとの収容される人数に制限があるのではなく、全てのプレイヤーが一つの世界に集まっている。これが非常に大事だとは野村氏。
 ゼニガメが出たら、一斉にそこに向かうというプレイヤーの行動原理を支えている。
 しかし、リリース当初、予想より50倍以上のトラフィックが集まってしまいサーバー障害も。でも設計の問題ではなかった。当時のサーバーエンジニアは、3、4人。それでも24H以上サーバー障害が続くといいた問題にはならなかった。

[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い
▲ストリートビューを用いたときのPhotosphereテスト
[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い
▲スマホのジャイロとカメラだけで表現できたPhotosphereテスト
[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い
▲ローンチ時のトラフィック

現実をメインに。でもピカチュウがいるだろうゲームの世界に近づけたデザイン

 開発スタート時は、現実をメインにしたマップ画面。
 UIがマップを邪魔しないシンプルなデザインだった。
 発表されたイメージを見るとそこにはリアルなマップが描かれている。
 でも、各所から。これって「ポケモン」じゃないよね。ピカチュウは住んでいないでしょうという意見が各所から出てきた。
 さらに、ゲームの世界に近づけられないかとデザインを再構成。
 ポケストップ、ジムといったリアルなスポットや道は用意されているものの、決して街そのものではないデザイン。でも何かリアル。
 木が生えていたものバランスをとったデザインに落ち着けた。デザインチームに感謝したいとは野村氏。

 リリースから1年経った今でも、新しいメニューを作るごとに、本当にそのメニューは要るのか。必要だったとしてもボタンが必要か。つねにプレイヤーの没入感を最大限に引き出す為の画面デザインになることに注意しているという。

 そして最後に野々村氏は、NianticはARを「現実世界での体験を、それを体験している最中に高めることで、ユーザーに恩恵を与えるコンピューティングのスタイルの一つ」と定義しています。実際に『Pokémon GO』をプレイしている人を見ると、人種も年齢もさまざま。でもみんなポケモンを集める為に楽しんでいる。ARはプレイヤーにどのような影響を与えることができるのか。プレイヤーの現実がどう拡張されるのか。そこに尽きると考えています。と講演を締めくくった。

[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い
▲初期デザイン
[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い
▲デザイン構成を繰り返し見直す
[CEDEC 2017]人を外に出すことで世界を変えることができる『Ingress』『Pokémon GO』に込められた思い
▲最終デザイン

 今や目的地までの最短のルートを表示されることで重宝されるマップアプリ。
 移動を便利にするサービスGoogleマップの最も深いところで繋がっていたNianticが、さまざまなアプローチで"GO OUTSIDE!”をサービスとして具現化してきた。しかも、もっと外に出て、寄り道までしようという、どちらかというと逆転の発想。

 外に出ることで、これまで知ることのなかった人と繋がる。
 全く違った境遇の人と知り合ったり、現実世界で人々と一緒に体験することができないか。
 人種や宗教を超え、コミュニティーと繋がる体験のきっかけを与えられれば、世界は変わる。

 『Field Trip』『Ingress』、そして『Pokémon GO』。
 Nianticのサービスすべてに込められている思いだ。

 
ジャンル RPG / / キッズ / 経営・育成 / 原作もの / コミュニケーション
リリース日 2016年07月22日 (【スマホ】iPhone(アプリ))
2016年07月22日 (【スマホ】Android(アプリ))
価格 基本プレイ無料
コピーライト (C)2016 Niantic, Inc. (C)2016 Pokemon. (C)1995-2016 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
公式コミュ https://twitter.com/PokemonGOAppJP
PRサイト http://www.pokemongo.jp/
 

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