『ワールドチェイン』『フィンガーナイツ』の運営責任者がガチトーク。グラスを重ねながら語り合った「スマホゲーム運営の今」とは?

記事カテゴリ: iPhone Android
小野憲史
2017年04月19日

 『ワールドチェイン』(セガゲームス)のきくDと『フィンガーナイツ』(ゲームオン)の池亀泰宣プロデューサー。ともに運営の細部までを見るお二人。
 人気スマホゲームをあずかる二人の異色の対談が実現した。

 本紙編集長が幹事をつとめた飲み会に、たまたま両名が参加したことがきっかけだ。
 これを契機に4月17日(月)よりはじまった両タイトルの新規ユーザー向けの共同キャンペーンが実現し、あわせて対談企画を実施。
 もっとも、場所が居酒屋だけに際どい会話も飛び出して……!?

 スマホゲームの現状から、運営ならではのゲームの遊び方、理想の運営ディレクター像まで、酔いが回るほどに話はさまざまに広がった。

『ワールドチェイン』『フィンガーナイツ』の運営責任者がガチトーク。グラスを重ねながら語り合った「スマホゲーム運営の今」とは?
▲写真左からゲームオンの池亀泰宣氏、セガゲームスのきくD

共に異業種からの転職組という二人

編集部:
今日はよろしくお願いします。先日の飲み会から引き続きとなりますが、ざっくばらんにスマホゲームの現状や運営の方法などについて、話していただければと思います。

池亀泰宣氏(以下、池亀P):
よろしくお願いします。
先日、もともとゲーム業界の人じゃなかった、的な話をちらっと伺ったんですが、何をされていらっしゃったんですか?

きくD:
もともと家電メーカーで法人営業をやっていたんですよ。
そこからゲーム業界に転職してきて、スマホゲームのプランナーを経て、2年前にセガゲームスに合流しました。
セガゲームスではスマホゲームの海外展開をしていて、そこから『ワールドチェイン(ワーチェ)』のリリースにあわせて運営ディレクターになりました。

池亀P:
そうなんですね。
じゃあ、『ワーチェ』には、スタートアップから企画に携わっていた訳ではないんですね。
完成したものをポンと渡された形で。

きくD:
そうなりますね。
よく誤解されるんですが、『ワーチェ』は『チェインクロニクル』と同時期に企画がスタートしているんです。
『チェンクロ』の続編ではなくて、兄弟ゲームみたいなものですね。

池亀P:
なるほど。
でも、業界外からの転職という意味では、僕も同じですね。
物販とか接客業とかウェブ広告とか、全然違うことをやっていたんですよ。
入社当時はPCオンラインゲームのことなんて全然知らなくて。
なにしろ、ゲームオンに入社したのが三十路を過ぎてましたからね。
よく弊社もそんな人物を採用したなあと、改めて思います。

編集部:
PCオンラインゲームの黎明期は、そういった人が結構いましたね。

池亀P:
最初は専門用語がわからなくて、苦労しました。
MMOって何? MOディスクなら聞いたことがあるぞ、という。
まわりにゲーム業界からの転職組も多くて、自分だけ浮いていて。
IT用語辞典が友達でしたね。

きくD:
自分もメーカーから来たので、まったく一緒でした。
会議に出て、わからない単語をメモして、後から調べるという。

池亀P:
そうしないと議事録が書けない(笑)

きくD:
オンラインゲームの運営も長いんですか?

池亀P:
ゲームオンに入社したのが2005年だから、もう12年になりますね。
最初はPCオンラインゲームのディレクターをやって、そこからプロデューサーをやって、運営の統括をやって、ポータル事業を経て、モバイルゲームの運営に至ります。
当時はまだ「App Storeって何ですか?」「GooglePlayって美味しいの?」みたいな感じで、モバイル市場に関して不勉強な自分に気づいて焦ってましたね。そこから『HELLO HERO』『どこでもダンジョン』の運営を経て、『フィンガーナイツ』の担当することになりました。

きくD:
すごいキャリアですね。

池亀P:
でも開発はしていなくて、運営だけなんですよ。
もともとゲームオンってパブリッシャーですから。
海外、特にアジア圏の会社と契約して、ローカライズして、そこから始まるという。
だから、きくDさんと立場が似ているなあと思いました。

きくD:
言われてみればそうですね。

池亀P:
だから、運営が始まってから開発に聞くと、「紆余曲折がありました」「ウン年前から作ってました」みたいな話がポロポロ出てくるという。

きくD:
だからこの仕様はこうなっているんだとか(笑)
そういう意味でも一緒ですね。
これまでいろいろな運営をやられてきて、何か感じられるところはありますか??

池亀P:
細かいところを言うと違うんでしょうが、基本的にはオンラインゲームですし、一緒ですね。
一番大きな違いと言えば、PCオンラインゲームだと自由に運営できるのに、モバイルゲームだとApp StoreとGooglePlayがついて回ること。
ああ、もうビール一杯で顔に出ちゃってますね。
アルコールに弱いんですよ。

きくD:
海外の方とお仕事をされる時、お酒が弱いと大変じゃないですか?

池亀P:
ホントそうなんですよ。

きくD:
万国共通の言葉というか、お酒ですよね。
自分も海外向けをやっているときは、よく台湾に出張に行っていました。
そこで現地の方から「まあ、とりあえず飲め」と。
酔っ払って、ぐだぐだになって、はじめて仲間に入れてもらえるという。

池亀P:
翌日から商談が本格的に始まるというのに。
こっちは頭がフラフラで、向こうはシャキッとしている
状況になれるのに数年かかりました。

運営ディレクターだからこその遊び方

編集部:
皆さん仕事で忙しいと思われますが、プライベートでゲームって遊ばれますか? この前もそんな話をしましたよね。いま盛り上がっているゲームとか。

きくD:
遊びますね。『ドラクエ』とか『FF』とか、普通に。

編集部:
ゲーム開発者って、他人のゲームでもおもしろければ普通に遊ばれるじゃないですか。嫉妬されたりしないんですか?

池亀P:
不思議と嫉妬はしませんね。
好きなゲームだと普通に遊びますし、あとは仕事でも遊びますし。
「このイベントはやられたな」「すげえな、このシステム」と思えば、どのようにして自分のゲームに取り入れられるか考えます。

きくD:
まさしく、仰るとおりですね。

池亀P:
運営とか企画とか、全体を整えるポジションだから、よけいにそういうところがあるのかもしれない。
業界人とユーザーが半々みたいなポジションが大事だと思っていて、あんまり職人っぽい考え方を持たないようにしているんですよ。
だから、普通に遊んじゃいますし、自分が運営しているゲームも、できるだけ客観的な視線を保つようにしています。

きくD:
ピュアな心で接するというか。
新作や話題作が出ると、とりあえず遊んでみますし、そこで運営ががんばっていたりすると、変な話ですが親近感が湧くというか。

池亀P:
プレイしてるとだんだん裏の事情が透けて見えるようになりますよね。
ここでメンテナンスが来るよな、とか。
トラブル対応が終わった時とか半分ホッとしている自分もいたりして。
自分が対応してるわけじゃないのにね。

編集部:
仕事で遊ばれる時って、どれくらい時間をかけられるんでしょうか?

池亀P:
だいたいそのゲームを把握したなと感じるまでだと、3週間くらいかかりますね。
そもそもスマホゲームって毎日ちょこちょこ遊ぶものじゃないですか。
そんな風に普通のペースで遊んでいると、だいたい3週間くらいで、運営を含めたゲーム全体が見えてくる気がします。
最初はおもしろかったけど、だんだん息切れしてると感じることもありますし、その逆もありますね。
特にローンチ時はその傾向が感じられるときでもありますね。

きくD:
ああ、わかります。

池亀P:
ローンチの時って、最初の1週間はかなり綿密にイベントやアップデートの計画を立てるんです。
でも始まって2〜3週間くらい経つと、運営も人間だから、油断しちゃうのかもしれませんし、サービスが上手くいっているのであれば、バグFIXかコンテンツ改善かアップデートか、など次ステップに進む上で決断する時期にもなるんで対応が難しい時期なんですよね。
だから、3週間たっても継続して遊びたいゲームというのが、自分の中では良いゲームかなあと思います。

きくD:
自分も1ヶ月というスパンが大事かなあと思っていて、それだけ楽しく遊べたら良いゲームだと思っています。
運営って月単位での繰り返しみたいなところがあるので、3週間目って一つの山ですよね。

編集部:
それだと、同時にたくさんゲームができないですよね。

池亀P:
そうなんですよね。
中には10本くらい並行してがっつり遊ばれる人もいますけど、僕にはできないです。
今月はこれとこれとこれ、みたいに3本くらい絞って遊ばないと楽しめなくて。
逆にたくさん同時に遊べる人って羨ましいですね。

きくD:
自分も記事で見たり、話題になっていたりすると、とりあえずダウンロードするんです。
でも、そのままで起動しなかったり。
起動しても、チュートリアルがめんどくさくて、途中で止めちゃったり。
ダウンロードしたのを忘れていたり。
そういうゲームがありますね。

運営はどれだけ長く遊んでもらえるかが勝負

編集部:
ちなみに『ワーチェ』と『フィンガーナイツ』は、それぞれ遊ばれましたか?

池亀P:
遊びました。
セリフとか、早送りせずにがっつりと読んじゃうタイプなんですよ。
思わずフルボイスも聞いたりして。
豪華ですよね。

きくD:
『フィンガーナイツ』はバトルがすごくアクティブじゃないですか。
そういうところは似ているなあと思っています。

池亀P:
『ワーチェ』だと騎馬ユニット(ライダー)が使いやすいですね。
主人公のレブナントとして最初に出てくる佐々木小次郎(アタッカー)も、自分の周りの敵をなぎ払ってくれるので、そこそこ便利なんですよ。
ただ、ある程度進めていくと敵が強くなってきて、前線を突破されがちなので、追いかけていって倒したくなる。
気がつくとライダーを操作している自分がいます。
むっちゃ普通だと思うんですが(笑)

きくD:
わかります。

池亀P:
ヘビーゲーマーにならないように努力しているところはありますね。
こういう仕事をしていると、ゲームができる人の方が良い仕事ができる部分もあるんです。
ただ、それだと新しい案件が来た時に、初心者の視点がないと、見誤ることがあるんですよね。

編集部:
それは課金・非課金の問題ともからみますね。

池亀P:
そうなんですよ。
僕もゲームを遊んでいて、どこで課金したくなるか、実際にそこで課金したか、その時はどういう状況だったか、後になってすごく考えます。
それも、できるだけ初心者の視点にたって。

きくD:
課金してくださったことを後悔させないとか。

池亀P:
後から課金状況に関するレポートを書いたりもしますよ。
この時の状況がこうで、こういう心理状況だったから、課金したみたいな。

編集部:
まさに運営をご覧になられているお二人だからこその視点だと思うのですが、課金したくなるシズル感ってどういうところにあるんでしょう?

きくD:
目標がハッキリしていることでしょうか。
ゲームって目標があって、壁があって、それを乗り越えることで目標に近づいていく、その繰り返しだと思っていて。
その時に課金したから、必ずその壁が越えられるかというと、そこまで直接的じゃなくても良いと思うんです。
ただ、少なくとも目標が明確になっている必要があって、そこが大切かなと思います。

池亀P:
自分もあんまりゲームで課金しない方なんですよ。
ただ、それでも課金しちゃう時ってあるので、それがどんな時かなって考えると、効果がハッキリしている時かなあと思います。
そのためには段階的に効果を推測させる必要があるなあと思っていて。
たとえば「課金すると早く成長できる」という状況があるとするじゃないですか。
その時も序盤は「課金と時短」の関係がハッキリしているような状況を提示しておいて、プレイヤーにその価値を理解してもらって。
その上で後からより複雑な状況を提示した中で、「課金したら早く成長できる」というように使ってもらいたい時に効果と結果が推測できる状態を作っておく的な。

きくD:
そういった構造を設計することが大事ですよね。

池亀P:
だから課金ポイントを作るのはそんなに大変な事ではないんですが、ホントに大事なのは課金に至るまでのゲーム体験を、どうやってデザインするかなんですよね。
それで課金率が大きく変動すると思っています。

編集部:
スマホでマンガが無料で読めるアプリが流行ってますよね。それまで無料で読めたのに、連載が完結するラスト数話だけ有料だったりします。結末が気になれば課金するわけで、まさに今の話につながりますね。

池亀P:
そうそう。まったく同じですね。
でもゲームにそれ入れたらエグいですよね(笑)

編集部:
課金の仕方で変化を感じることはありますか?

池亀P:
カードバトル全盛期と比べて、だんだん課金がマイルドになってきたところはありますよね。
薄利多売という訳ではないんですが。
だんだん健全になってきたのかな、お客様のゲーム見る眼が本当に肥えてきてるから。
だからこそ、「課金に至るデザイン」がより重要になってきた感じがします。
まあ、言うのは簡単なんですが、具現化するのは大変なんですよね。
バランス調整がすごく大変じゃないですか。

きくD:
そうですよね。
結局は「どれだけおもしろいゲームを作るか」と同義語ですから。

池亀P:
一方でお客様の中には、好きなゲームに対して先行投資しちゃう層ってありませんか?
たとえば『ワーチェ』だと、ビジュアルがきれい、お話がおもしろい、もともと『チェンクロ』のファンだった、だから遊ぼう、みたいな人ってある程度いると思っていて。
そういう人たちって、最初からある程度先行投資されたりしますよね。

きくD:
ありますね。
特に序盤のうちは遊んでいる人も少ないので、変な話ですがランキングなども上げやすいですし。

池亀P:
でもそれって、運営じゃなくて開発の勝利なんですよ。
僕らはサービスが始まってから、どれだけお客様を増やせるか、長く遊んでもらえるかが勝負なので。最初はそこに一喜一憂しないで、そこに視点を合わせながら仕事をしているところがありますね。

パーティの初期メンバーと長期運営

編集部:
SNSやストアの書き込みなどは気にされますか?

池亀P:
よくチェックしていますよ。
『フィンガーナイツ』だと、同じように引っ張り系のアクションゲームといった具合に、同種のゲームプレイヤーのコメント欄も見ますね。
そこで「前のゲームの、ここがダメだったから移ってきた」的なコメントがあれば、他山の石にしたり。そこから拾えるものであれば、アップデートの参考にしたり。そもそも「ここがダメ」という声って、直接書いてもらい難いんですよ。
そのため、いろんな情報を集めて整理する必要がありますね。

きくD:
『ワーチェ』は歴史上の人物を扱っているので、キャラごとに固定ファンがいらっしゃるんです。
中には好きなキャラのイラストを描いてSNSでアップロードしてくれる方もいらっしゃいますし、声優さんの中にも歴史好きの方がいて、SNSで発信してくれる方がいます。
最近だと大河ドラマで話題の井伊直虎とかがそうで、女性だったんだとか、書き込みが熱くて。
SNSでそうした書き込みを見ると嬉しいですね。

池亀P:
僕も歴史が大好きなんですよ。
大河ドラマだと「井伊直虎」「真田丸」「黒田官兵衛」「龍馬伝」とか……。

編集部:
大河ドラマって最初は熱心に見ていても、「これ、おもしろくないな」「これ、自分には合わないな」と思ったら、だんだん見なくなっていくじゃないですか。

池亀P:
はい。

編集部:
だからドラマのほとんどが、どんどん視聴率が下がっていくんです。
最終回だけ、思い出したように視聴率が上がって終わる。
でも、たまに回を追う毎に、どんどん視聴率が上がっていくドラマがあるじゃないですか。

きくD:
ありますね。

編集部:
スマホゲームの運営が目指すのも、まさにそこですよね。
どうやったらお客さんって増えるんでしょうね?

池亀P・きくD:
そんな法則があるんなら、教えて欲しいですよ(笑)

編集部:
Webメディアと雑誌の違いは検索性だと言われているんですよ。
ロングテールではないですが、過去の記事も検索で読まれたりするので、総じて運営すればするほど、全体のPVが上がっていくのは事実なんですよね。
スマホゲームってどうなんでしょうか?

きくD:
スマホゲームも長く運営することを前提に設計するんですが、そうなると、だんだん初期に登場したキャラクターって、使えなくなっていくじゃないですか。
それは、運営型ゲームの宿命でもあるんですよね。
ただ、最初の頃に苦労して手に入れたキャラクターって、愛着があるじゃないですか。
だから、そういったキャラクターの魅力をどうやって再アピールするか……。
長く運営を続けていくことで、一番大切なことかなあと考えています。

編集部:
『ポケモン』における「最初の3匹」ですね。

きくD:
まさにそうですね。
やっぱり最初のメンバーって、外したくないじゃないですか。

池亀P:
wikiとかで「ゴミだ」「使えない」と書かれていても、最初のガチャで引いたこのキャラクターはパーティから外さないぞ、みたいな。

編集部:
池亀さんはPCオンラインゲームの運営経験も長いですよね。

池亀P:
いろいろやりました。

編集部:
いろいろなタイトルでビジネスモデル自体が変更になりましたよね。
ある意味で究極のアップデートというか。
そんな風にいろいろ運営を通して改善していって、タイトルを育ててこられたと思うんですが、スマホゲームはPCオンラインゲームに比べて、そうした改善のしやすさ、しにくさはありますか?

池亀P:
スマホの方がたぶんやりやすいとは思います。
業界のことを何もしらない状況でPCオンラインゲームの運営をやって、そこでいろいろ痛い目にあって学んで、そこからスマホに来たので、そう思うだけかもしれませんが……。
ただ、PCオンラインゲームって最初から、すごいボリュームを用意してサービスを始めるんですよ。
だから、いろんな意味で「重たい」んですよね。
コミュニティが温まるまで、けっこう時間がかかるところがあります。

編集部:
たしかにPCオンラインゲームは自由度が高くて、最初からやれることが満載ですよね。

池亀P:
ある意味、初めてプレイされるお客様にはハードルが高いところがあるじゃないですか。だからアーリーアダプターのお客様がすごく重要で。
彼らがゲームの中でいろいろやって、いろんな遊び方を発明していって、それこそ「おもしろ動画」みたいなものをゲームの外で発信してくださる。そんな風に場を温めてくれて、そこからより広い層に拡散していくといった流れがあります。
それがPCオンラインゲームの会員数を増やすセオリーかなという気がしますね。
それに対してモバイルゲームはもっとカジュアルで、最初から打てば響くというか、わーっと広げていけるというか。

編集部:
なるほど。

池亀P:
逆にPCオンラインゲームのプレイヤーさんって、過去の運営について覚えている傾向が強いんですよ。
「お前、前のタイトルでこんなことしてたよな」みたいなメールが、来たりするんでですよね。
スマホの運営では、あまりそういう経験はないです。

編集部:
課金額でいえば、スマホゲームの方が断然、高額なんですけどね。

池亀P:
そうそう、それが不思議ですよね。
モバイルゲームはダウンロードもインストールも手軽じゃないですか。
だから、すぐに削除もされちゃうし。
プレイヤーにとっても、後腐れがないというか。

きくD:
PCオンラインゲームは基本プレイ無料とはいっても、どこか家庭用ゲームに近いノリがあるのかもしれないですね。
ちゃんとPCの前に座って、ダウンロードして、インストールして、起動したら長いアップデートがかかって、さあ遊ぼうという。

池亀P:
だからモバイルゲームの方がドラスティックなアップデートもやり易いところがありますね。とにかくスピーディーな変化を求めているお客様が多いというか、とにかくやることを増やして的な要望も大きいですしね。
でも、PCオンラインゲームだと、アップデートに対する期待値は当然高いんですが、ゲーム自体のボリュームも大きいし緻密にバランス調整されているので、最初、かなり緻密に考えてやらないと、えらいことになったりします。
それこそ暴動が起こりかねない。モバイルゲームがタイミングを重んじる傾向があるとすると、PCオンラインゲームは精度を重んじる傾向があるように感じます。でも、だんだんその垣根も無くなってきてるようにも感じます。

スマホゲームとマネタイズの今

編集部:
PCオンラインゲームより、スマホゲームの方が刹那的な快楽を提供している感じはしますね。
ガチャというビジネスモデルに、より依存しているからかもしれませんが……。

きくD:
特に国内タイトルはそうですね。
海外タイトルだと、ガチャ以外にもさまざまなマネタイズの方法が出てきていますが。
遊んでいる流れの中で、いかに自然に課金してもらうかという。
とはいえ、国内のお客様におけるガチャに対する目も、どんどん厳しくなってきています。
気持ちよく、後悔しないで、どんな風に遊んでいただくか。
そこが今後のキモになっていくんだろうなあと感じています。

池亀P:
それは絶対にそうですよ。
ガチャはすごく優れた発明だと思いますが、これから10年後も同じようにガチャでスマホゲームを回しているかというと、とてもそんな気がしないんですよね。
別のやり方を作っておかないと、スマホゲーム自体が一時の流行で終わってしまうかもしれません。

きくD:
先ほどの『ドラクエ』『FF』じゃないですが、後生まで残って遊んでもらえるというゲームを作ることが一番幸せなことだろうなあと思います。

池亀P:
そういう目的をもって運営していかないと、本当にローンチしたタイトルが1年〜2年で疲弊して、終わっちゃいますからね。

編集部:
ガチャに変わる発明ってありますか?

池亀P:
うーん、それも自分自身に対する宿題だと思ってます。
実際、ゲームオンのPCオンラインゲームって、最初は月額課金だったんですよね。
それが『RED STONE』ではじめて、基本プレイ無料のアイテム課金になったんです。
極論すればそこから、大きな進歩はなくて。
その一方で、お客様の負担を軽減する為にいろんなものを捨ててきたような気がします。

編集部:
捨ててきたってどういうことですか?

池亀P:
一例上げるとすれば、プレイヤーに関しての情報ですね。
PCオンラインゲームの方は、アカウント登録などをしていただいた上でプレイをしてもらっていますし、課金についても自社で対応できるので、ゲームとビジネスについてはアイデア勝負だと思っているのですが、それがスマホになったら、それすらストアに握られて、何も無くなってしまった感があります。
当然ですが、お客様にとってはそちらの方が楽だし安心な面があると思うのですが、反面サービスという観点でいうと、ロイヤリティを高めていく事が今後重要だと思っているんですが、今の状況だとアプリを運営する側でそのアイデアは出し難い状況だと思っています。

編集部:
中国ゲーム市場ではVIP課金も流行っていますよね。というか、池亀さん大丈夫ですか?

池亀P:
ああ、ごめんなさい。
僕、酔っ払うとすぐに眠くなっちゃうんですよ。
お酒を飲むと体温が上がるじゃないですか。
でも、なまじ飲めないからすぐに酔いが醒めちゃって、体温が下がっちゃうんですよ。
そうなると生理的に睡魔が襲ってきて。

きくD:
雪山で遭難するパターンですね。

池亀P:
そうなんですよね。
もっとお酒が飲めれば、体温も高いままなんですが……。
何か温かいものを頼もう!

編集部:
話を戻すと、ガチャだけに頼るんじゃなくて、そうした新しいマネタイズ方法を運営側が提案していかないと、まずいのかなあと。

池亀P:
去年アップルがサブスクリプション課金をスタートさせましたよね。
一定金額を消費したら特別なガチャが回せたり、特別なサポートが受けられるVIP課金もそうだし。
体験版から有料版への誘導もそうだし。

きくD:
業界としても、いろんな試行錯誤が行われていますよね。

池亀P:
とはいえ、いろんな会社がいろんなやり方をためして、そこでやらかして、叩かれて。
新しいマネタイズは永遠の課題になっていますよね。

きくD:
落としきりの有料版がいいのか、F2Pがいいのかについても、答えが出ていない段階です。

編集部:
昔は課金することがゲームを遊ぶ権利を買うことと同義語でしたが、F2Pになって無料で遊べるようになって、そこで得られた体験に対して課金をするというように、逆転しましたよね。
それでゲーム業界の縮小に歯止めがかかったのは良かったんですが、その先が見えていないという。

池亀P:
PCオンラインゲームも最初のうちこそ、いろんなマネタイズ方法があって、ハイブリッドな感じでしたが、収益が上がるほう、上がる方によせていった結果、すべてF2Pになりましたよね。
僕も10年くらいいろいろ考えてるんですが、そろそろ天から何か新しいアイディアが降ってこないかなぁと考えているのですが、なかなか…。

きくD:
『ワーチェ』だと、そこをストーリーによせている感じですね。
歴史上のキャラクターが入手できて、そこにいろんなストーリーが紐付いていて、より深く楽しめるという。
そこが史実のキャラクターを使うメリットだし、一番重要なところかなと思っています。

編集部:
ちなみに『ワーチェ』は次にどの時代に行くんですか?

きくD:
まさに今、「三国志編」が佳境に入っていて。
その次は当然、皆様が期待される時代というのがありますので、乞うご期待というか。
戦国、ローマ・エジプト、三国志と来て、まだいろいろありますよね。
アンケートなどもとって参考にしています。

池亀P:
なんだろう、すごく気になる。

きくD:
まずは「三国志編」が近々のアップデートでクライマックスに突入しますので、ぜひ楽しみにしてください。

開発チームと運営チームのあるべき関係

池亀P:
さっきの話じゃないですが、マンガもストーリーの続きが気になるから、買うわけですよね。
ストーリーって大事だなあと改めて思っていて。
そういう意味では『チェンクロ』はすごく有り難かったですね。
というのも、「スマホゲームにストーリーって必要なんですか?」って、すごく言われるんですよ。
実際にランキングを見ると、ストーリー要素のないゲームの方が圧倒的に多いですし。

編集部:
数字のロジックだけを見ていくと、そうなりますよね。

池亀P:
シナリオライタ−に払うお金が不要なコストにしか思われない、そんな時代がありました。
フィーチャーフォン時代もサウンドのコストって、そんな感じでしたよね。
「電車の中で遊ぶのに、誰も聞いてないじゃん、無駄だよ」と言われて。
そういうのがすごくいやだったんですよ。
もともと初代『ドラゴンクエスト』でゲームにハマったくちでしたから。
そういう中で『チェンクロ』が出てきて、ストーリーがあってキャラがあってボイスがあって、やっと元にもどってきたというか。

きくD:
ありがとうございます。

池亀P:
スマホゲームは集金ツールじゃないんだぞと。
「1〜2,000万円くらいで作れて、ガチャを入れておけば月商1億円は固い」みたいな捉え方をされていた時代があったじゃないですか。
そうじゃないと思うんだけどなあ。
でも、実際にそういうタイトルがあったからこそ、よけいに腹立たしかったというか。

きくD:
やっぱり体験ありきですよね。
映画とか、小説みたいに、ゲームも作品だと思って作っていますから。
後生に残るようなゲームを作りたいですよね。
ストーリーがあって、ゲームのキャラクターがこんな風にがんばっているから、自分もがんばろうじゃないですけど。
そんなふうに、人生にも影響が与えられたら良いですね。

編集部:
スマホゲームで泣いたりしますか?

きくD:
『ワーチェ』を作っていて、プロットを読んでホロリとしたりしますよ。
歴史の歪みを正すことが目的なので、歴史上の人物は誰も運命から逃れられないじゃないですか。
それがゲームで体験できると、受ける感情も倍増されるというか。

編集部:
そういう楽しみって日本ならではでしょうか?
これだけ国民が歴史好きで、JRPGの歴史があって、スマホゲームでもストーリーを楽しみたいという市場は、海外にもありますか?

きくD:
たしかに、日本だけでしょうね。
海外向けにセガのスマホゲームを展開していたときも、そのズレを感じました。

池亀P:
僕らは海外ゲームをローカライズして日本で展開するわけじゃないですか。
ストーリーが薄いものが大半なので、新たに書き起こしたりしてもらっています。
固有名詞もかなりこだわるじゃないですか。
『ワーチェ』だと、あえて「リライター」「レブナント」という造語を作っていますよね。
そういう感覚も薄いですよね。
そこは『フィンガーナイツ』で、かなりやりました。

きくD:
逆に海外の方はストーリーよりも、直感的に遊べることを重視されますよね。
『クラッシュロワイヤル』が良い例だと思います。

編集部:
実際に海外の方が日本のスマホゲームを遊ぶと、UIが複雑すぎて、訳がわからないと良く言われますよね。

池亀P:
そこがガラパゴスと言われる所以ですよね。
実際に日本のヒットゲームが海外でなかなかヒットしないのも、そのあたりがあるわけで。
だからストーリーだけじゃないんですよね。
トータルでみて、何か体験の質に違いがあるというか。

編集部:
ちなみに開発ディレクターと運営ディレクターの理想の関係ってありますか? 

池亀P:
良く言われるは野球のバッテリーで、実際にそこを目指します。
でも、お互いに見ているものが違うので、はじめは絶対にケンカになりますね。
開発ディレクターはゲームを良くするために全力投球じゃないですか。
でも、運営ディレクターはゲームをお客様に遊んでいただくことに全力投球です。
しかも、僕らのゲームは開発と運営で国が違うので。
開発チームからすれば、日本のプレイヤーの趣味嗜好って理解できない部分もありますからね。
どうしてもズレがでてきます。

編集部:
ぶつかるわけですね。

池亀P:
こんな薄いキャラやストーリーでゲームに愛着もってもらえるの?
こんなマラソンのような長いイベント誰が最後までやってくれるの?
こんな渋いドロップ率で誰が継続してくれるの?
内容から時間軸から、すべて違うので。
もっとも、彼らも開発としてのプライドがあるので、反発してくる。
そういうシーソーゲームを繰り返しながら、いつか理想のバッテリーになれると信じる日々です。

編集部:
ディレクターとプロデューサーの関係に似ているかもしれませんね。

きくD:
それはそうかもしれませんね。
弊社だと「良いクリエイティブである、おもしろいゲームである」ということがベースにあります。
その上で「長く遊んでいただきたい」という施策につながるわけですが、そこで苦労することもあります。

池亀P:
それはどこでもそうでしょうね。

きくD:
それで、さっきの理想の関係じゃないですが、料理に例えると開発チームは一流の食材を作ることだと思うんです。
それに対して運営チームは料理人で、与えられた食材を調理してお客様に食べていただくことかなと。
料理人も食材以上の料理は出せないわけで、どっちが偉いというわけでもなくて、車の両輪です。

池亀P:
開発と運営の軋轢は絶対に必要だと思うんですよ。
頼んだことだけをやってくれるような開発チームだと、そこから全然膨らまないですから。
逆に最初から良いバッテリーは、むしろ組めない方が良くて。
だいたいゲームのおもしろさって、人によって感じ方が違うし、お互いそれまで遊んできたゲームだって違うわけで。

きくD:
人によって価値観って絶対に違いますからね。
衝突しながら良い関係性を構築していくというか。

編集部:
だから、とりあえず酒を飲もうという話になるわけですね。綺麗にオチがついたところで、今日は長々とありがとうございました。

池亀P:
こちらこそありがとうございました。
今回は『ワーチェ』さんともコラボさせていただくことになり、楽しみにしています!

きくD:
こちらこそありがとうございました。
ぜひぜひに、今後ともよろしくお願いします。

 
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