「Nintendo Switch プレゼンテーション」イベントレポート。全貌が明らかになっていないNintendo Switch

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小野憲史
2017年01月14日

 任天堂が東京で新型家庭用ゲーム機の発表会を行ったのは、いつ以来だったでしょうか?
 ゲームビジネスがワールドワイドに拡大する一方で、スマホゲームと家庭用ゲームの市場が逆転した日本。家庭用ゲームの中心はすでに北米や欧州市場に移っています。

 2017年1月13日(金)に東京で開催された「Nintendo Switch プレゼンテーション&体験会 2017」。
 その模様はインターネットを介して全世界に配信されました。
 家庭用ゲームの新しい歴史が日本から世界にむけて発信されたのです。

 数多くの業界関係者で溢れかえった会場。
 そこには、どこか懐かしさを感じさせるように、流通関係者の姿が少なからず見られました。
 一様にスーツを着用し、ほとんどが男性で、どこか野暮ったさすら感じさせます。
 もっともテレビゲームはかつて、そうした流通関係者の手を経て、街のおもちゃ屋さんに配送され、一般消費者に販売されていました。
 今やテレビゲームは物理メディアの呪縛を離れ、インターネットを介して個々人の手のひらに、直接届けられるようになっています。

 そうした中でも、ゲームハードだけは別です。

 煌びやかな演出の中で、どこか居心地が悪そうに座っている人々は、これまで日本のテレビゲームビジネスを支えてきた、もう一つの立役者。

 もっとも、実際には東京ゲームショウをはじめとした、さまざまなゲームイベントで、数多くの流通関係者の姿が見られます。

 それでも、なぜかそうした姿が目についた様に思えたのは、久々に任天堂が東京で行った家庭用ゲーム機の発表会だったからかもしれません。

 どこかNINTENDO64とコントローラが初出展された、1995年9月の第7回初心会を彷彿とさせる、そんなNintendo Switchのお披露目だったように感じられました。

「Nintendo Switch プレゼンテーション」イベントレポート。全貌が明らかになっていないNintendo Switch
▲発表会後に行われた体験会の模様

ハードと共に人材をプレゼンテーション

 もっとも発表会自体は、さまざまな意味で変革を遂げていました。
 既報の通り任天堂はイベント内でNintendo Switch、特にJoy-Conの説明と新作ソフトの紹介に大きく時間を割きました。

 故・岩田聡社長の後任として、2015年から第5代社長となった君島達己氏の登壇で開幕。
 続いて取締役常務執行役員で企画制作本部長の高橋伸也氏、そしてNintendo Switch総合プロデューサーで『SUPER MARIO ODYSSEY』でもプロデューサーをつとめる小泉歓晃氏へと「スイッチ」されつつ、プレゼンテーションが続きました。

 インターネットごしに中継を見守るユーザーにとって、「初お披露目」だった人物もいたのではないでしょうか。

「Nintendo Switch プレゼンテーション」イベントレポート。全貌が明らかになっていないNintendo Switch
▲任天堂 代表取締役社長 君島達己氏
「Nintendo Switch プレゼンテーション」イベントレポート。全貌が明らかになっていないNintendo Switch
▲「Nintendo Switch」総合プロデューサー、『スーパーマリオ オデッセイ』プロデューサー 小泉歓晃氏

 壇上ではNintendo Switchの3つのモードが紹介されていきました。

 Joy-ConをJoy-Conグリップに装着し、通常のコントローラとして使用する「TVモード」。
 本体の左右にJoy-Conを左右に挟み込む形で装着し、持ち運んで楽しむ「携帯モード」。
 本体を背面のスタンドでテーブルに立てかけ、コントローラーで楽しむ「テーブルモード」です。

 そして披露されたのが、Joy-Conに搭載されたセンサー類と、それが可能にする遊びの数々。
 通常のコントローラとして使用できるだけでなく、Wiiリモコンのようなモーションコントローラとしても使用できます。

 これは2016年10月に公開されたトレーラーでは伏せられていた、Nintendo Switchの新しい機能でした。
 プレゼンテーションの冒頭で高橋氏は「Nintendo Switchは任天堂の過去のゲーム機の集大成」だと説明しました。その通りでしょう。

 そのほかNintendo Switch総合ディレクターで、ローンチタイトル『1-2 Switch』プロデューサーの河本浩一氏。格闘スポーツ『ARMS』プロデューサーの矢吹光佑氏。『Splatoon2』プロデューサーの野上恒氏と、次々と新しい世代のクリエイターが登壇し、新作ソフトのプレゼンテーションを行いました。

 任天堂の顔ともいえる宮本茂氏は(最後にビデオで登壇したのみで)壇上にはいません。
 そもそも、企業にとって最も重要な資産は、ハードでもソフトでもIPでもなく、それらを生み出す「人」です。

 任天堂は今回、Nintendo Switchと共に、次世代の任天堂を担う人材をプレゼンテーションしたと言えるでしょう。
 そして日本、それも京都から世界に向けて、新しい遊びを発信し続けていくと表明したのです。

カジュアル系とやり込み系、2つの重点タイトル

「Nintendo Switch プレゼンテーション」イベントレポート。全貌が明らかになっていないNintendo Switch ▲『1-2-Switch』

 新しい革袋には新しい酒を。

 Wiiのローンチタイトルであり、Wiiで最大のヒット作ともなった『Wii Sports』。
 それまで「任天堂ハードのローンチにはマリオが発売される」伝統が打ち破られた瞬間でした。
 Nintendo Switchでも同様に、カジュアルに遊べるゲームと、やり込み系ゲームの2本が重点ソフトとして発表されました。

 ローンチタイトルの『1-2-Switch』と、今春発売予定の『ARMS』です。
 前者はJoy-Conのさまざまな新機能を活かして作られた対戦ゲーム集。
 後者は二つのJoy-Conを両手で持ち、腕を動かしながらプレイする体感格闘スポーツです。

 『1-2-Swith』はちょうど、Wiiのローンチタイトルとなった『はじめてのWii』『おどるメイド イン ワリオ』や、Wii Uにおける『Nintendo Land』といった位置づけ。
 特徴的だったのが「テレビではなく、相手の目を見てプレイする」と強調されたことです。
 これはWii Uが「テレビとコントローラ、二つのモニターを見てプレイする」と説明されたのと、正反対だといえます。
 いわば脱「テレビ」ゲームという先鋭的なコンセプト。
 そして、それを可能にしたのがJoy-Conに内蔵された高度なセンサー群。
 にもかかわらず、実際に遊んでみると誰でもすぐに理解できて楽しめる、いわば「VRおもちゃ」といった内容です。

 これに対して『ARMS』は競技性が高く、がっつり遊び込めそうな対戦ゲーム。
 キャラクターの両腕が伸びて攻撃するところは、どこか往年の格闘ゲーム『ジョイメカファイト』を彷彿とさせました。

「Nintendo Switch プレゼンテーション」イベントレポート。全貌が明らかになっていないNintendo Switch
▲『ARMS』

 こうした新規性の高いタイトルに加えて、同じくローンチタイトルとなった『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や、期待の続編『スプラトゥーン2』、大作RPG『ゼノブレイド2』、そして年末発売予定の『スーパーマリオオデッセイ』といったタイトルが続きます。
 他にサードパーティーからセガゲームス名越念洋氏、グラスホッパー・マニファクチュア須田剛一氏、EAパトリック・ソダーランド氏らが登壇。全世界で50社以上が参入し、80タイトル以上が開発中だとアナウンスされました。

 最後に再び登壇し、発表会を締めくくった君島氏。
 大任を果たして、思わず安堵の表情が浮かんだように見えました。

まだまだ明らかにされていない全貌

 すでに2017年3月3日(金)の発売と、あと2ヶ月を切ったNintendo Switch。
 しかし、まだまだ語られていないことがありそうです。

 たとえばNintendo Switchのオンラインサービス。
 Wii Uではローンチ前からオンラインサービスと、それがもたらす生活の変化について、映像と共に詳細に語られました。
 しかし今回はスマートデバイスでフレンドを招待したり、ボイスチャットしたり、子供のプレイ状況をチェックする「みまもりSWITCH」といった個々のサービスが「点」で語られたのみでした。
 『スーパーマリオラン』を皮切りに、本格的にスマホゲームに参入した任天堂。
 両者の橋渡し役として、ニンテンドーアカウントが鍵を握るのはあきらかでしょう。

 また、Nintendo Switchでは原則としてリージョンフリーでゲームがリリースされるという、驚きの発表もありました。
 Nintendo Switchでも発売が期待される、海外のインディゲームが日本でも普通に遊べるようになるのでしょうか。
 一方で各エリア・各国におけるレーティング事情の違いもあり、どのように整合性がとられるのか気になります。

 そして君島社長が冒頭で強調した、テレビゲームのプレイスタイルを多様化させる新しい家庭用「据え置き型」ゲーム機というフレーズ。
 「テレビゲームのプレイスタイルを多様化させる」はわかるとして、なぜわざわざ「据え置き型ゲーム機」と説明を加えたのか。
 発表以来、Nintendo Switchには「リッチなコントローラがついた、クレドール付きのタブレットゲーム機」という指摘があります。

 据え置き型ゲーム機ではなく、携帯型ゲーム機の文脈で語られるハードというわけです。
 事実、ライバル機は4K対応をはじめ、よりリッチなパワーでリードを広げようとしています。
 これに対して、どのように独自の魅力を提示していくのか。
 独自路線がサードパーティのマルチプラットフォーム戦略と齟齬をきたさないのか。
 将来的にパワー不足とならないのか。
 それとも従来より短い単位でハードウェアがアップデートされていくのか。
 そして、Nintendo Switchが「携帯できる据え置き型ゲーム機」というジャンルを切り開いた結果、純然たる携帯型ゲーム機の未来はあるのか。
 こうした声に新生・任天堂は一つずつ答えていくことになります。

 もっとも、すべてはこれからでしょう。
 発売を前に、東京でいち早く新作ハードに触れられた喜びを、今はかみしめたいところです。

■Nintendo Switch プレゼンテーション 2017

 

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