[CEDEC2016]講演「VRはどこから来てどこへ行くのか?」VRはHMDの歴史。VRを取り巻く今の技術的な環境とは?

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2016年09月02日

 横浜みなとみらいで行われたCEDEC2016。
 2日目2016年8月25日(木)に、筑波大学の岩田洋夫氏の講演「VRはどこから来てどこへ行くのか?」が行われた。
 この講演では、岩田氏が、今のVRを取り巻く環境を「頭部搭載型ディスプレイ(HMD ※ヘッドマウントディスプレイ)」の歴史を紐解く形で紹介しています。

 ちなみに岩田氏が会長を務める日本バーチャルリアリティ学会は創立より20周年。
 「バーチャルリアリティ」という言葉ができたのは1989年で、今年はVR歴28年にあたります。
 バーチャルリアリティとは、物理的には存在しないものを感覚的には本物と同等の本質を感じさせる技術。
 よくマスコミなどでは、バーチャルリアリティを仮想現実とするが、「バーチャル」は「仮想」ではなく物理的有無の違いであり、本物と同じ。これにぴったりくるそれにあたる日本語がないため、学会でもバーチャルリアリティと呼んでいるそうです。

ヘッドマウントディスプレイからスタートしたVR

 VRの歴史はHMDの歴史そのもの。
 1960年代にはアイバン・サザランド制作の、1980年代には舘氏の制作した「テレイグジスタンス」などがHMDが登場。
 1980年代後半に登場したNASAの「Virtual Environment」から、2015年以降Oculus Riftまでその形状、内容は変わっていません。
 今のHMDは、映像出力性能の向上、機能がより安価に提供され得る技術が出そろったのみ。基本的な構造は変わっていません。
 その歴史は繰り返されてきました。
 それではVRを取り巻く環境は、どのように変化していくのでしょうか。

今後のVRはHMDからIPTへ

 岩田氏は、“HMDは気軽に体験できる”としながらも、光軸があわないと映像に不合理が生じてしまう、着脱が煩雑で面倒、1人だけの体験に留まってしまうという理由から、 HMDからIPT(投影型没入ディスプレイ)にシフトすると説明。

  IPTは、イリノイ大学が開発した“CAVE”と呼ばれる施設。
 プロジェクターを通した映像に囲まれたスペースで、ゴーグルをつける必要がなく、VRに身を置き体験できます。
 また、スペース内で複数名が一緒の同様の体験ができるのもIPTの特徴の一つです。

 岩田氏は実際に、多人数が同時に体験できる25m×15m×7.8mの映像空間“Large Space”を筑波大学につくっています。

今後のVRには触覚が必要になる

 ここまでは、映像と音の世界のみ。
 では触覚はどうか。
 1980年代終盤に「パプティックインタフェース」として生まれたという、VRと同じ歴史がある。
 ただしこれまで、指型、ペン型、装置自体が対象自体を模擬し変形するといったさまざまなハプティックインタフェースは開発されて入るものの、BtoBどまり。
 まだ市場に投入するには至っていません。
 2005年に誕生した“Volflex”は、多数の空気圧バルーンで形成されたデバイス。さまざまな形状、堅さを変える装置です。これは、肝臓手術シミュレーターという形で、外科医育成のために訓練シミュレータになるなど、その進化は目覚ましいと岩田氏は話を続けます。

今後のVRにおける歩行感覚を与える装置

 HMDだけでのVR体験では、実際の移動は非常に困難。
 広いフィールドが用意されたとしても、コントローラーを用いて移動することはできても、実際に動くことはできない。リアルスペースに依存してしまいます。
 そこで登場するのが、歩行感覚を与える装置「ロコモーションインタフェース」。
  多数のベルトコンベアをつなぎ、前後左右動く床を構成して制作された(前方向トレッドミル)、省スペースで、4つ動くタイル自体を動かし、歩行者の足下に動く床を作り出す(Robot Tike)などが存在します。
 しかしながら、スペースの問題や、プレイヤーの意思通りに「歩いたり、急に走ったり、急に旋回したりには対応できない」と自由が利かないのが現状です。

そして最後に食べるVR

 味は、光の三原色と同様に5つの味「五味」が存在します。
 これら5つの味を組み合わせることで、味はある程度再現できるそうですが、食べた感触を表現するものがあるのでしょうか。

 「Food Simulator」というものがあるそうです。
 この装置により、歯ごたえを表現。
 何とも、えずいてしまいそうな装置ですが存在するようです。

技術がよくても見せ方がよくなければ、歴史に埋もれてしまう

 そして岩田氏の専門分野「デバイスアート」について話が移ります。
 「デバイスアート」とは、テクノロジーの本質をアートにしていく表現様式。
テクノロジー自体を表現するのではなく、テクノロジーの本質を表現する。
 いくら技術が優れていても、その見せ方が良くなければ、その技術は歴史に埋めれしまうと岩田氏は話を続けます。

 例えば、明和電気の音符、オタマジャクシをデバイス化した楽器・オタマトーンを例に挙げ、その作品自体が使え、楽しく、道具へ美意識を兼ね備えているといデバイスアートの3つの特徴を説明しています。

 また、岩田氏は今後のHMDの普及から「見る」ことから「体験する」ことへシフトし、今後VR技術がもたらす新たな体験に関するサイエンスが必要だと説きます。

1、物理的特性:人体の形状・運動
2、生理的特性:生体信号
3、心理的特性:認知、記憶、判断
4、社会的特性:集団行動

 これらの研究が進めば、それに伴う技術が生まれ新たなVR体験を生み出すとして講演を終えています。

 

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