[CEDEC2016]視覚・聴覚に続く第3のフィードバック「触覚」。それを提供する新ミドルウェア「CRI HAPTIX」とはなにか? CRI・ミドルウェアのセッションレポート

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小野憲史
2016年08月26日

『ポケモンGO』で再注目された振動機能

 視覚・聴覚に続く第3のフィードバック「触覚」。

 家庭用ゲームでは1990年代から一般的になっており、特にVRでは没入感や存在感を向上させる上で必須の要素となっています。
 スマホゲームでも『ポケモンGO』の振動でポケモンの出現を通知してくれる機能によって、改めてその価値が再評価されはじめました。
 しかしスマホゲームでは単純なブザー程度の振動が中心で、家庭用ゲームのような多彩な振動フィードバックは望むべくもありません。
 こうした中、CRI・ミドルウェアがAndroid端末向けに提供を開始した触覚ミドルウェアが「CRI HAPTIX」です。同社にとって映像向けのSofdec、サウンド向けのADX2に続く、第3の主力製品となります。

 このCRI HAPTIXの概要や、触覚フィードバックの可能性について、同社はCEDECで講演。
 「未体験の感動、手のひらから~スマホゲームに新たな感動・驚きを与える触覚ミドルウェア~」と題して、家室証氏と櫻井敦史氏が解説を行いました。

 実際、家室氏は「家庭用・業務用では体験の底上げ、VRでは体験のクオリティを大きく変えるほどの力を秘めている」と語ります。特にHTC ViveのコントローラやOculas Touchでは、物体に触れた際に「コトン」という、かすかなモーターの回転すら表現できます。
 この振動の有無で実在感が大きく変わることは言うまでもないでしょう。

 一方でスマホゲームでもガチャの当たり演出で、映像や音楽と共に振動フィードバックを加えることで、よりリッチな体験をユーザーに提供することが可能です。
 『ポケモンGO』のように振動を通知目的に使うことで、画面を見ずに遊べるゲーム、マナーモードでも遊べるゲームといった、新しいアイディアのゲームも提供できる可能性もあります。

[CEDEC2016]視覚・聴覚に続く第3のフィードバック「触覚」。それを提供する新ミドルウェア「CRI HAPTIX」とはなにか? CRI・ミドルウェアのセッションレポート ▲櫻井敦史氏
[CEDEC2016]視覚・聴覚に続く第3のフィードバック「触覚」。それを提供する新ミドルウェア「CRI HAPTIX」とはなにか? CRI・ミドルウェアのセッションレポート ▲家室証氏

リアルな振動情報ではなく、リアルな振動体験を作るには

 こうした触覚フィードバックを作る際に、大きく「ハードウェアごと作る」やりかたと「既存プラットフォーム上で開発する」やり方の2種類があります。しかし家室氏は「結局のところ企画にあわせて最適解を探す」点では変わりがないとします。

 たとえばVR空間内でリンゴに触った感覚を再現するとします。この時、最先端の触覚グローブやセンサーなどを使う方法もあるでしょう。一方でHTC Viveのコントローラの上に、第三者がリンゴを乗せて触らせるというやり方もあるでしょう。
 どちらも「触った感覚を提供」していることに変わりはありません。結局のところ技術は手段でしかなく、やり方次第というわけです。
 ただし、現状の技術では「どうやっても完全な感覚の再現は不可能」であることも事実です。

 それよりも重要なことは、リアルな触覚刺激ではなく、リアルな触覚体験を提供すること。
 すなわち適切なやり方で「脳を騙す」ことです。
 そのための有効なアプローチが、ゲーム内容や使用デバイスによって、提供したい触覚表現を切り分けること。
 たとえば「リンゴを触る」のではなく、つつく、叩く、ナイフで切る、といった具合に体験を細分化することです。
 その上で物理刺激を通して感覚に昇華させる、すなわち映像や音と振動を組み合わせたり、ユーザーの過去の経験をうまく活用したりすることで、チープな触覚刺激でもリアルな「触覚体験」を提供できるとしました。

 また、こうした触覚デザインの調整では、実機での確認が不可欠です。触覚フィードバックはプレイヤーの操作によって発生します。そしてプレイヤーの感じ方が最も重要だからです。
 その一方でアクチュエーターの性能は端末によって千差万別。こうした点からも、実機確認しやすい環境の構築が不可欠だとされました。

ADX2と親和性が高く、サウンドと振動の演出が同時にできる

 このように、大きな可能性を秘めている触覚フィードバック。ただし、この触覚フィードバックをスマホゲームで再現するのは、かなり厄介です。

 というのもAndroid端末で使用できる標準APIでは、振動のオンオフの切り替えがミリ秒単位でできるだけだからです。
 この環境で「爆発した感じ」「銃を乱射した感じ」などの振動を表現するには、プログラマがかなり試行錯誤する必用が出てきます。
 もっとも、どういたシーンでどのような振動フィードバックを再生するかを決めたり、振動を細かく調整したりするのは、本来プログラマではなく、ゲームデザイナーの領分です。
 しかも振動はサウンド以上に口頭で指示するのが難しいという側面を持っています。

 家室氏から講演のバトンを受け継いだ櫻井氏は「そんな時に役に立つのがCRI HAPTIX」だと強調しました。
 CRI HAPTIXには爆発やダブルクリックなど、良く使用される振動パターンが124種類プリセットされており、ゲームデザイナーが選択するだけで簡単に設定できます。
 コア技術を提供しているのは振動フィードバックで約20年の研究開発を行っている米イマージョン社で、これをCRI・ミドルウェアが独自の技術でカスタマイズしました。
 しかもサウンドミドルウェアのADX2のエディタに統合される形で提供され、ADX2でサウンド演出を行いながら、それにあわせて振動演出も可能。爆発音にあわせて最適な振動を再生させるといったことが、手軽にできるのです。

 実機での確認が手軽にできる点も特徴の一つ。PCとWIFI接続したAndroid端末があれば、CRI HAPTIXで設定した振動パターンを即座にAndroid端末で確認したり、実行中アプリの振動をAndroid端末で確認・調整することが可能です。
 もちろんADX2を使用せずに、独自のゲームエンジンなどで振動テンプレートデータを直接読み込み、再生することも可能。
 またAndroid端末では端末によってサウンド再生支持を出してから実際に音が鳴るまで機種毎にばらつきがあります。
 この問題もADX2のサウンド遅延時間推測機能を利用して、振動と音のタイミングを調整する機能を搭載することで、解消していきたいと抱負が述べられました。

触覚フィードバックでゲームの熱中度も向上

 それにしても、スマホゲームに触覚フィードバックを与えることで、どの程度ゲームの没入度が高まるのでしょうか。

 CRI HAPTIXのコア技術を提供している、米イマージョン社が行ったABテストによると、ゲームプレイ回数の増加や課金意欲の向上が見られたと言います。
 また気になるバッテリー消費についても、CRI・ミドルウェアの調査によると、「誤差の範囲内」とのこと。
 CRI HAPTIXはAndroidのネイティブ開発に加えて、Unity 5、cocos2d-x Ver.3でのAndroidむけ開発に対応しており、試用版も提供しているので、ぜひ問い合わせて欲しいとのことでした。
 ちなみに気になるiOS版の情報ですが、これはアップル側の振動サポートの問題もあり、対応は未定とのこと。

 もっとも、この点も時間の問題ではないかといいます。すべてのスマホに標準搭載されている振動機能を、ぜひもっと活かして欲しい。そして新しいゲームを楽しみたい。
1ユーザーとして、そのように感じさせられたセッションでした。

 

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