[CEDEC 2016]『チェインクロニクル』3年の運用と開発事例から、スマホゲームにおけるゲーム性と物語性を運用で摩耗させないその方法

記事カテゴリ: iPhone Android
あっぽすぎ
2016年08月25日

 国内最大のゲーム業界向けカンファレンス『CEDEC』が2016年8月24日(水)横浜みなとみらい・パシフィック横浜にてスタート。
 今回の『CEDEC』は、VRそして、どちらかというとミクロな技術的内容がセッションとしてラインナップしてています。
 そん中気になったのは、初日に行われたセガ・インタラクティブ松永純氏の「スマホゲームにおけるゲーム性と物語性の"運用で摩耗しない"基礎設計手法 ~チェインクロニクル3年の運用と開発の事例を交えて~」。
 先日ジーパラでもスマホゲーム『チェインクロニクル』のサービスが4年目を迎えるにあたり、特別鼎談を実施。そのユニークなゲーム設計、運用の考え方などを紹介したばかり。

 このセッションで松永氏は、スマホゲームでコンシューマやアーケードライクなゲームが作れるような環境にあるとしながらも、ソーシャルゲーム全盛期の 「ゲーム性が作り込まれていると逆に面倒」「物語は添え物」「キャラは、お金を生むための商品」という風潮がまだまだ業界にあると説明。
これらの風潮は「パッケージ販売ではなく運営するゲームだからこそ」と、ある一面で真理としながらも、松永氏はこの風潮に異を唱える。決してコミュニティ要素が多くはなく、ソロプレイでも十分にゲーム体験ができ、多くのキャラクターを登場させ、その物語に魅了されたファンが数多くいる『チェインクロニクル』。4年目を迎えた『チェインクロニクル』の運営してきた氏ゆえの説得力をもった講演。
 今回の講演のテーマは、運営するゲームであっても、ゲームやストーリーが面白く、キャラクターが魅力的なコンテンツができるという視点から、『チェインクロニクル』のヒットに隠されたその裏側を見ることができます。

■関連コンテンツ
・開発チームも運営チームもユーザーも、みんながみんな『チェンクロ』らしさについて、一家言を持っている〜『チェインクロニクル3』に向けた特別鼎談
http://www.gpara.com/infos/view/36319

・[チェンクロ]10年後・20年後も続くゲームにするための分岐点〜『チェインクロニクル3』に向けた特別鼎談
http://www.gpara.com/infos/view/36506

ゲームのコアデザインが複雑につくられているか

 まずはゲーム性について。
 大切なのは、「ゲームのコアデザイン」「ゲームの拡張要素」を分解し、ゲームを設計することにあるとは松永氏。

 ここで言う「コアデザイン」とは、ゲームの基本ルール、あとから絶対に変更しない要素、プレイヤーがはじめに楽しむ要素。
 一方「拡張要素」は、ゲームの発展ルールや追加を行う要素、プレイヤーが後から楽しむ要素になります。

[CEDEC 2016]『チェインクロニクル』3年の運用と開発事例から、スマホゲームにおけるゲーム性と物語性を運用で摩耗させないその方法
▲ゲーム性あるある

 『チェインクロニクル(チェンクロ)』でいうと、「ディフェンスゲームの基本ルール」(ラインを超えるか全滅すると負け等)「基本操作方法」(タッチで行き先を指示)「基本パラメータ各種」(HPとATKがある等)が「コアデザイン」。

 「スキルの内容」「アビリティの内容」「武器の内容」「職業の種類」「敵の行動パターン」といったものが「拡張要素」になります。

 そして重要なことは「コアデザインがどれだけ“複雑”につくられているか」だと話を続けます。

 『チェンクロ』のコアデザインにおける「フィールド」要素の場合、バトル時にキャラクターは6×3のマスのMAP上を移動することができます。
 ですが、実際にキャラクターは、将棋のマス目に沿って動くわけでも、マス目に留まるわけでもありません。6×3ポイントに見えるマスが、実は何億もの移動ポイントが存在していて、複雑な状況が発生する設計になっているとのこと。これにより微妙な位置で立ち止まったり、マス目に沿わずに自由動けるようになります。

[CEDEC 2016]『チェインクロニクル』3年の運用と開発事例から、スマホゲームにおけるゲーム性と物語性を運用で摩耗させないその方法
▲『チェインクロニクル』コアデザインを複雑にすることで可能にした必殺技の拡張性

 また松永氏は、ゲーム性を追求する上で作り手が認めなければならないこととして「人は同じゲームにいつか必ず飽きる2年も3年もやるわけはない」「運営スタッフは、要素が乏しいと無茶をしなければいけなくなる」とし、運営でゲーム性を迷わせないようにするためには「コアゲームの設計において、パラメータ等をたくさん持たせながらも、ユーザーには簡単なゲームに見えるようにする」ことが大事だと説きます。

物語は、無限に拡張が可能な最高の消耗品

 ゲームの運営が行き詰まったときに行う施策。
 「キャラの追加」「イベントフォーマットを変える」「ゲーム性を拡張するアップデート」。
 しかし、この施策には限界はあるとは松永氏。

 その一方で、摩耗していくゲーム性やキャラ性とは異なり、物語は無限に拡張が可能。しかも、大きく変えることがリスクとなるイベント設計とは異なり、投下することがノーリスク。
 でもなぜ責任者は、「ストーリーは不要、もしくはストーリーの充実に二の足を踏むのか」。

 それは「開発効率が低い」ことにあると松永氏は話を続けます。
 ライティング、演出家、プランナーさまざまな人がひとつのストーリーを作り上げる。
 でも、ユーザーがそこに触れるのは5分…。

[CEDEC 2016]『チェインクロニクル』3年の運用と開発事例から、スマホゲームにおけるゲーム性と物語性を運用で摩耗させないその方法
▲物語性あるある

 ではどうやったら効率が上がるのか。
 答えは2つ。
 「書き手が早く・良い物語を作れるようになる」「物語を効果的に配置する」。
 「書き手が〜」はビジネス論、精神論の範疇ということで、ここでは「物語を効果的に配置する」という点で話は展開します。
 物語を置く土台の効率化は、「ヘビーユーザーしか行きつけない場所より、初心者でも誰もが見れる場所に良い物語を配置する」こと。

 例えば、『チェンクロ』の場合。
 ストート地点の酒場で出現する☆1キャラ「ナックル」専用シナリオ。
 ☆1のキャラクターゆえ、プレイヤーキャラクターとしてのゲームの価値で言うとほぼゼロ。しかし、あえてこの「ナックル」にあえて重点を置いて物語を「非常に面白い」と思えるクオリティまで調整。
 ユーザーが良く目に触れる設置点に上質の物語を用意することで、ユーザーモチベーションを高めるだけでなく、キャラクターも生かす手法になります。

 そして、松永氏は「ずっと濃いシナリオを続くと読む人が疲れて、楽しみきれず非効率」とし、間に軽い物語が入れるなどし、シナリオ密度・テイストの緩急をつけることで効率化がはかれると説明。

 例えば『チェンクロ』のゲームシステムにあるレベルアップ時にキャラ専用ストーリーが開放される「絆クエスト」。ユーザーは、レベルアップ分のプレイ時間を“キャラとともに旅をしてきた”ということで、すべてをシナリオとして用意するのではなく、行間としてユーザーがキャラクターのイメージを補完した上で物語を体験できるように効率化が図られています。またこのシステムを介してキャラクターの深堀を演出しています。メインストーリーとサブストーリーを用意することでユーザーの飽き生まれにくい役割も担っています。

 さらに、ユーザーの達成感とシナリオを結びつける手法を用いています。
 「バトル後に」、「キャラを引いた瞬間に」ドラマが挿入されます。「キャラを引いた瞬間に」はカードがキャラクターだと感じられる価値的昇華を行うための最も効率の良い仕組みとして紹介されています。

 これら運営で物語の価値をキープする、開発局面で物語の価値を証明するには「すべては効率」。
 良い物語をユーザーが良いと感じられるような効果的なゲームの土台をどう作り上げられるかが重要。

キャラの価値を守る続けるには「すべてのキャラに唯一無二の特徴を」

 最後に、キャラクターの価値を守り続けるにはどうしたら良いのでしょうか。
 キャラクターは、物語と違って、ゲーム性と同じく増えていけば増えていくことでその特徴が摩耗していくものです。
 その理由は2つ。
 新キャラが「かぶる」。
 既存キャラが「ぶれる」。

 これらを防ぐには「すべてのキャラに唯一無二の特徴を持たせること。あらかじめキャラの特徴をたくさん出しやすい世界観を作っていくことが唯一の解決方法」とは松永氏。

 『チェンクロ』の場合、登場する国ごとに明確な特徴づけをおこない、各国で出てくキャラクターが絶対に被らないようにあらかじめ世界観を分けて設定。さらに、各国ごとギルドをたくさん用意するなどさらに細分化しています。

 松永氏は、「運営でキャラの量産をしていく中で、その価値をキープするにはあらかじめ量産しやすい世界観に出来ているかですべて決まる」と説明しています。

 松永氏は、「パッケージゲームと違って売ったら終わりではありません。だから運営を続けていくゲームはもうひとつハードルが高い。ゲームはずっと遊ばれれば、いずれ飽きられます。運営は、やれることが無くなったら作品性を摩耗させざるを得ません。だからこそ、初期設定が何よりも大切。ゲーム性、物語性、キャラ性すべてに共通するのは、初期設計で合理的に設計されているか。」とし、セッションを締めくくりました。

 
ジャンル RPG / ファンタジー / 声優 / 経営・育成
リリース日 2013年07月26日 (【スマホ】Android(アプリ))
2013年08月01日 (【スマホ】iPhone(アプリ))
価格 基本プレイ無料
コピーライト (C) SEGA / (C) SEGA Networks
公式コミュ https://twitter.com/PirikaChro
PRサイト http://chronicle.sega-net.com/
 

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あっぽすぎ

 
温和な顔をして大概何かに怒っています。
部屋が暑い。食事が出てこない。無理矢理起す。イタズラされる。……あ!これウチのチビ(リクガメ)のことだった!
今一番気になっているのは、いまさら…いや!あらためて電子書籍。端末が変わればもっと売れると思うんだけどな~。

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